2025年も残すところあと1ヶ月半。トランプ政権の復活や高市政権の誕生など、激動の一年となった今年のマーケットを振り返りつつ、ゴールドマン・サックスやドイツ証券でプロップトレーダーを歴任し、現在も現役トレーダーとして活躍する志摩力男氏に、2026年以降の為替相場とマーケット展望を伺いました。
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トランプ政権下で難しい相場環境
今年はトランプ政権の誕生により、マーケットにとって難しい一年となりました。民主党政権と異なり、トランプ氏は政策方針を頻繁に変更するため、トレードの難易度が高まっています。
志摩氏は当初から「円高・ドル安」への誘導を予想していましたが、4-5月の急激な円高の後、日銀の利上げ先送り姿勢により相場が反発するなど、振幅の大きい展開となりました。
高市政権で円安方向へ
石破政権から高市政権への事実上の政権交代により、今後は円安方向に進むと予想されます。高市総理の積極財政政策と日銀への利上げ牽制姿勢が、明確な円安材料となります。
植田日銀総裁との会談後の表情からは緊張感が読み取れ、今後日銀の金融政策運営に制約がかかる可能性があります。
インフレは継続、個人のリスクヘッジが重要
現在のインフレはコストプッシュ型であり、円安が進めば継続する見込みです。米価など食料品の高止まりが続く中、消費者は高い価格を受け入れざるを得ない状況です。
●個人投資家へのアドバイス:
・消費を抑え、投資に回せる資金を確保する
・積立NISAなどインフレヘッジ資産への投資を検討する
・不動産も選択肢の一つ(高値でも今が最安値の可能性がある)
AI相場は継続、日本企業の課題
マグニフィセント・セブンを中心としたAI関連企業への投資は今後も続きます。OpenAIやデータセンターへの巨額投資は、AGI(汎用人工知能)開発競争の表れです。
●日経平均について:
・ソフトバンク、アドバンテスト、東京エレクトロン、ファーストリテイリングの4銘柄で約40%を占める
・実質的に「ソフトバンクインデックス」となっている
・下落局面は買い場になる可能性がある
・6-7万円も視野に入る
日本企業では唯一ソフトバンクがAI開発競争に参戦しており、他社の追随が課題となっています。
アメリカ経済:格差拡大の中で堅調維持
失業率上昇が予想されますが、AI導入による雇用削減が主因となる可能性があります。GDP自体は堅調を維持し、上位10%の盤石な消費が経済を支える構造が続きます。
トランプ政権は中間選挙を控え、下位層への配慮(2,000ドル配布案など)を強化する見込みです。
ドル円160円到達も視野に!2026年の為替見通し
●年内:
・ドル円160円突破の可能性がある
・現在155円台から年内に5円程度の円安進行を予想
・介入はまだ入らない見込み
●来年:
・高市政権下で円安基調が継続
・165円程度まで想定される
・介入は162円超えてからだと予想
・3-4月頃にリスクオフの円高局面もありえる
志摩氏は「高市政権になった以上、円安圧力がかかり続けます。年内に160円を試す展開も十分ありうる」と指摘しています。
●投資家へのアドバイス:
・FXトレーダー:下がったところは買い、介入に備える
・株式投資家:高値掴みを避け、下落時の買い余力を残す
・急落局面(1万円程度)は買い場と捉える
・不動産などインフレヘッジ資産の保有を検討
ボラティリティの高い相場が続きますが、長期的にはインフレ経済下での資産形成を意識した投資が重要となります。
志摩力男 氏慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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