
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は100.74円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は88.06円前後で週初を迎えました。4日には豪準備銀行(RBA)が政策金利を市場予想どおり4.00%に据え置きましたが、声明内容が予想よりもハト派的と受け止められたことで豪ドルは売られました。さらに、米国の景気減速懸念を背景に米株価指数が大幅に下落したことも資源国通貨である豪ドルの重しとなり、豪ドル/円は5日には98.83円前後まで下落しました。一方、NZドルは5日に発表された7〜9月期のNZ雇用統計で就業者数が市場予想を下回ったことを受け、NZ準備銀行(RBNZ)の追加利下げ観測が高まりました。加えて、米株価指数の下落も重しとなり、NZドル/円は7日には86.00円を割り込む場面も見られました(執筆時)。
豪雇用統計は失業率に注目
RBA(豪準備銀行)は4日の金融政策会合で政策金利を据え置きました。7〜9月期の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.2%と上昇し、インフレ率はRBAの想定を上回りました。しかし声明では、「多くの州で電気料金の割引が終了した影響を踏まえれば、想定内の結果だった」と評価。また「7〜9月期CPIの基調インフレ率の上昇の一部は一時的な要因によるものと判断している」とも示しました。
さらに同時に公表された「金融政策報告」では、「中心的な予測は2026年にさらに1回の利下げが行われるという技術的な前提に基づいている」と明記し、来年1回の利下げを示唆しました。
同報告では、四半期ベースの失業率が当面4.4%で推移するとの見通しが示されています。来週13日には10月の豪雇用統計が発表予定です。9月の失業率は単月ながらRBAの想定を上回る4.5%まで上昇しており、今回も失業率の動向に注目が集まります。市場では現時点で、失業率は9月の4.5%から4.4%へ低下すると予想されています。
もし結果が市場予想を上回れば、豪労働市場の減速懸念が強まり、利下げ観測が高まる可能性があります。ただし、RBAはインフレ率の一部を一時的要因とみなしつつも、インフレ率が依然として目標(2〜3%)を上回っている点を懸念しており、失業率の高止まりが直ちに追加利下げにつながる可能性は低いと考えられます。
日米株価動向に要注意
米国の株式市場は4月以降、上昇基調が続いており、この間にNYダウ平均、ナスダック総合、S&P500種の3主要株価指数は、幾度も史上最高値を更新してきました。 しかし、ここにきて高いバリュエーションを理由に「調整局面入りもあり得る」との見方を複数の金融機関が示し始めています。 その影響もあって、今週の米国株式市場では値動きがやや不安定な展開となっています。 豪ドルは資源国通貨として、株式市場の動向に敏感に反応しやすい特徴があります。 来週も米国をはじめ、世界の株式市場の動きには注意が必要でしょう。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円の下値は日足一目均衡表の基準線がサポートして機能しています。この水準を下抜けた場合には、日足一目均衡表の雲が次のサポートして意識されそうです。
一方、上値は今年の年初来高値(10月30日)の101.21円前後が目先の上値目途として意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:97.50-101.50、NZD/JPY:84.50-87.50
11/10週のイベント:
11/11 (火) 08:30 豪 11月ウエストパック消費者信頼感指数
11/11 (火) 09:30 豪 10月NAB企業景況感指数
11/13 (木) 09:30 豪 10月新規雇用者数
11/13 (木) 09:30 豪 10月失業率
11/14 (金) 11:00 中国 10月小売売上高
11/14 (金) 11:00 中国 10月鉱工業生産
一言コメント:
先週はインフルエンザにかかってしまいました。電車内ではマスクをして、うがい手洗いを徹底していましたが、子供たちにうつされてしまいました。みなさんも引き続き気を付けましょう
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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