
平素より野村雅道氏のトルコリラ見通しレポートをご利用いただき、誠にありがとうございます。 誠に勝手ながら、2025年10月28日をもちまして本レポートの配信を終了させていただくこととなりました。これまで長らくご愛読・ご利用いただき、心より御礼申し上げます。
総括
FX「レバ1倍6.22%。上限レバ25倍で155.5%の利益、2025年リラ円キャリー実績」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価10位)
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9
*今年のリラのパフォーマンスは?
*株価が急落 長期金利は高止まり
*リラ相場は巧みな介入で小幅安に留める
*中銀、インフレ懸念で利下げペース鈍化を示唆
*野党の弾圧が続く
*エルドアン大統領の強権的経済政策は憲法から逸脱か
*経済指標は悪くはない、経常黒字が過去最大
*野党弾圧 アンカラ市長にも
*9月消費者物価、予想外に上昇
*トルコに膨大なレアアースの埋蔵があるとされている
*今年は金利差が為替差損をかろうじて上回っている
*OECD、EBRD、IMFがトルコの成長見通しを上方修正
*リラ安の大きな要因は膨大な外貨預金
*格付け引き上げ、ムーディーズ
(レバ1倍6.22%。レバ2倍なら12.44%、上限のレバ25倍なら155.5%の利益、2025年リラ円キャリー)
10月のリラ円はここまで0.84%上昇、年初来では18.78%安。年間スワップ金利が約30%。1-10月では約25%。運用・調達の孫利は無視して、10月まででリラ円キャリートレードは約6.22%の利益となる(レバ1倍)。レバ2倍なら12.44%、上限のレバ25倍なら155.5%の利益となっている。(ただハイレバは日中の乱高下で大きな損失を被ることもあるので注意したい)、
円キャリートレードで利益が出るのは中銀がリラの急騰は狙っていないが、介入の売買を巧に活用して小幅なリラ相場の下落に留めていることにある。
(株価が急落)
トルコ株価指数(イスタンブール100)は今年一時15%高となったが、現在は6.65%高。先週末は3.85%高であった。エルドアン政権の野党弾圧によるものだ。
3月は次期大統領選挙で一番支持率が高いイマモール・イスタンブール市長を逮捕、9月には2023年の最大野党の党首選を無効にし、10月は野党二番人気のヤヴァシュ・アンカラ市長にも汚職の罪で訴追しようとしている。政敵を次々に攻撃している。
(長期金利も30%超で高止まり)
インフレ低下で一時は30%割れとなっていた10年国債利回りは31-32%で推移している。インフレ上昇と政局不安である。
(中銀、インフレ懸念で利下げペース鈍化を示唆)
ワシントンでのIMF・世銀総会の関連でカラハン中銀総裁が国際債券保有者に「インフレ懸念で利下げペース鈍化」を示唆した。
参加者によると、トルコ中銀関係者はは木曜の金利決定を前に市場の期待を注意深く監視する意向を強調し、「粘着性」インフレと表現した事態への懸念を指摘した。
トルコのインフレ率は9月に33.3%に上昇し、予想を上回り、2024年5月にインフレ率が75.4%でピークに達して以来初の年間上昇となった。
ロイターがエコノミスト17人を対象に行った調査では、今回の決定に対する予想が大きく異なっていることが明らかになった。金利据え置きから2.5%利下げ迄多種だ。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
10月9日、14日の2回の「陽の陽はらみ」を出し反落
日足、10月6日は上窓明けでボリバン3σ上限へ。10月9日、14日の2回の「陽の陽はらみ」を出してその後は反落。10月3日-17日の上昇ラインがサポート。10月15日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発。3月17日週-9月29日週の上昇ラインがサポート。10月6日週-13日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、3月-4月の上昇ラインを下抜く。2σ下限から若干上に乖離。3月-9
月の上昇ラインがサポート。4月-8月の下降ラインが上値抵抗。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から3円台へ沈む。2025年もここまで陰線。

メルハバ
最高裁、憲法上の権利侵害で、エルドアン大統領の経済権限を制限
(スウェーデン紙)
トルコの憲法裁判所は、大統領に主要な経済活動に直接影響を与える決定を下す広範な権限を与える法律条項を無効とし、この措置はトルコ憲法に違反すると判断したと、ビアネット・ニュース・ウェブサイトが報じた。
裁判所は、この条項は大統領に、外貨、貴金属、証券、関連金融商品の移動を含む広範な金融活動を規制する過度に広範な権限を与えているものの、その権限の行使方法や条件が明確にされていないと判断した。裁判所は、このような裁量権は、財産所有、事業活動、私的契約締結の権利を含む憲法上の権利を侵害するものであり、基本的人権と自由に対する制限を課せるのは立法府のみであることを改めて確認した。
エルドアン大統領は議会の監視をしばしば無視し、行政権をますます行使して金融政策や通貨政策を決定してきた。
実際には、この条項は大統領に外国為替取引、貴金属や金融商品の移動、その他の主要な経済分野を規制する権限を与えていた。「トルコ通貨の価値を守る」ための取り組みと位置付けられているものの、批評家は、これらの権限によってエルドアン大統領は法的制約をほとんど受けずに市場に介入することができたと指摘している。
エルドアン大統領は高金利を「諸悪の根源」と呼び、これに強く反対した。この政策は中銀への圧力、総裁の度重なる解任、そして経済学者が「異端」と呼ぶ政策につながった。これらの介入は高インフレを招き、リラの急落を招き、投資家の間では制度的独立性に対する懸念が高まった。
裁判所は判決の中で、このような広範な権限は大統領令だけでは行使できないことを強調した。(国内紙では報道されていないので、さらに追っていきたい)
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