
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年10月3日 12時51分
調整含みの展開がメインだが、下値も限定か
ユーロ/円・ポンド/円、植田総裁の発言で下げ渋る
ユーロ/円とポンド/円は下落。対米ドルで146円台まで円高が進行したことで、クロス円の上値が抑制され、ユーロ/円は172.266円、ポンド/円は197.493円まで下落しました。
その後、植田日銀総裁が「緩和的な環境を維持し、経済活動を支えていくことが大切」と利上げを急がない姿勢を示すと、ユーロ/円は173.10円付近、ポンド/円は198.40円付近まで反発しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研TEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ポンド、ユーロは調整含みか
9月のユーロ圏消費者物価指数・速報値が公表され、前年比2.2%と8月より伸びが拡大しました。ECBの利下げサイクルが終了したことを正当化するデータとみられ、ユーロを下支えする材料となりそうです。ECBの利下げ期待後退は、引き続きユーロのサポート材料となります。
ただし、東欧の地政学的リスクがくすぶる状況は変わっておらず、成長へのネガティブ材料はまだ残っています。米ドル安進展への反動でユーロは底堅い展開が続いているものの、ユーロ圏の成長ペースが限られる中で、ユーロ高の勢いが削がれても不思議ではありません。短期的には調整含みの展開となる可能性があります。
ユーロ/円は円安の流れから下値は限定されると考えますが、一方で上値も抑制されるため、結果的に直近の高値圏で振幅する展開になるのではないかと考えています。174.00円を中心としたレンジでの推移が予測されます。
一方、英国は政治的不安定さが増しつつあるようです。リーブス財務相は9月29日に、富裕税の導入を否定するとともに、複数の主要税率を引き上げないという選挙公約を遵守する姿勢を示しました。
しかし、党内からは反発の声も上がっており、政治が混乱する可能性があります。与党内の財政支出拡大派に押し切られるようだと、財政問題を通じた英国債下落(金利上昇)から、ポンドの上値が重くなる可能性があります。
また、財政出動に伴う予算確保のための大規模増税に向かう場合、成長を圧迫する展開も考えられるなど、ポンドの上値は抑制されやすい展開が想定されます。
ユーロ/円はレンジ切り下げ、ポンド/円は21日線の攻防へ(テクニカル分析)
ユーロ/円は、5月23日の安値161.083円と7月28日の高値173.893円を結ぶフィボナッチファンの50%ラインを下回り、これまでのレンジから一段レンジが切り下がった印象です。
このゾーンでの推移が続くと考える場合、下方向は171.00円付近が支持線とみられる一方、上方向は175.00円付近が抵抗帯になると考えられます。
また、ポンド/円は、4月9日の安値184.381円からのサポートラインを割り込み、197.493円まで下振れしたものの、8月4日安値195.011円と9月18日高値201.260円の上昇幅の61.8%押しとなる197.398円手前で切り返した格好です。
目先は、21日移動平均線の199.58円(執筆時点)を突破できるかどうかが注目されます。このラインを突破できれば、201.00円付近までの戻りを試す展開が期待される一方で、上値が抑えられるようであれば、195.00円付近まで下値を試す展開も想定されます。
【ユーロ/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:170.500-175.500
【ポンド/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:196.00-201.000
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一言コメント
トランプ関税や地政学リスクなどありますが、株高の流れが止まりませんね。このまま、日経平均株価は5万円を目指していくのかどうか、注目しています。
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