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南アフリカランド 月間為替予想「南アフリカ・ランド相場の底堅い推移:ドル連動性と金利政策の影響分析」FXレポート 2025年10月

南アフリカランド相場見通し

南アランドの底堅い推移とその要因

南アフリカ・ランドの対ドル相場は、グローバルな為替市場におけるリスクセンチメント、そしてそれを大局的に反映して変動する安全通貨であるドルの名目実効為替レートと基本的に連動性が高い(第1図)。

第1図:南アフリカ・ランド対ドル相場とドル名目実効為替レート(資料)Bloomberg

ドルは米雇用統計の下振れが続き、9月以降も下落基調が続いた。米インフレ指標も関税による上振れはこれまでのところ限定的であり、2026年にかけてFRBの利下げが相応に進展するのではないかとの見方が9月FOMCに向けて強まり、ドル相場はFOMC直前までに7月初旬の水準まで下落していた。もっとも、9月FOMCでは予想通り0.25%で利下げが再開されたものの、パウエルFRB議長はインフレへの警戒を依然として維持し、保険的な利下げと発言したことなどから市場による今後の利下げ期待が一部剥落。米金利と共にドルは反発した。ランドもこうしたドルの動きに沿って、FOMCに向けては上昇し、FOMC後は上昇に足踏みがみられているが、FOMC後に多くの通貨が対ドルで反落した中でも、ランドは直近最高値を更新するなど比較的底堅い推移がみられている。米S&P500株価指数の上昇が続くなど、市場のリスク選好が維持されており、相対的に高金利通貨であるランドが底堅く推移し易い環境が続いているようだ。加えて、9月FOMCの翌日18日に、南アフリカ準備銀行(SARB)が市場予想通りながら政策金利を据え置いて利下げを一旦停止したことも一定の支援材料となったようだ(第2図)。


第2図:南アフリカ政策金利とCPI上昇率(前年比)(資料)Bloomberg

南アランド見通し

9月9日に発表された第2四半期GDP成長率が前期比+0.8%と約3年ぶりの高い水準をつけるなど、景気情勢はこれまでのところ安定しており、インフレ率も電気料金の影響などから今後幾分かの上振れが予想される中で、SARBは昨年9月からの利下げの影響を見極めると説明している。米国による南アフリカに対する30%の相互関税の引き下げは依然実現しておらず、不安要素も少なくないが、内外情勢が一先ず安定・バランスを維持する中で、当面ランドは対円を含めて底堅い推移が続きそうだ。但し、市場センチメントの変化には引き続き注意が必要だ。

【南アフリカランド/円 日足】

南アフリカランド 特設サイト:
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新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
 
橋本 将司氏 公益財団法人 国際通貨研究所 経済調査部 上席研究員
橋本 将司(はしもと・まさし)氏
慶應義塾大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。国際通貨研究所研究員、グローバルマーケットリサーチ・シニアアナリスト、経済調査室ニューヨーク駐在などを歴任し、グローバルな為替市場やマクロ経済に加え、米国金融業界や金融規制など幅広い分野の調査業務に従事。現在国際通貨研究所において、為替市場や主要国の金融政策・マクロ経済動向の分析を担当。理論的な観点からの為替市場分析を得意とする。
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