
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は95.75円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.16円前後で週初を迎えました。19日と20日には米国のS&P500種やナスダック総合指数といった株価が大幅に下落したことで、景気動向に敏感な資源国通貨である豪ドルやNZドルが売られました。加えて20日にはNZ準備銀行(RBNZ)が政策金利を発表。市場予想通り25bp(0.25%ポイント)の利下げだったものの、声明で25bpと50bpの利下げで採決をしたことが明らかになるとNZドル売りが強まりました。20日には豪ドル/円は94.40円前後、NZドル/円は85.55円前後まで下落しました。21日には米国の企業景況感の改善や米連邦準備制度理事会(FRB)高官が9月利下げに否定的な見解を示したことで米ドルが全般的に買われ、米ドル/円の大幅な上昇の影響から豪ドル/円、NZドル/円は反発しました(執筆時)。
豪7月CPIで利下げ期待に変化出るか?
豪準備銀行(RBA)は8月12日に開催した金融政策委員会で市場予想通り政策金利を3.60%へと25bp(0.25%ポイント)の利下げを実施しました。その際にブロック総裁は「物価安定のために金利をさらに引き下げる必要がある可能性がある」との認識を示しましたが、「大幅利下げに関する議論は行われていない」と慎重な姿勢を示しました。さらに「利下げの可能性は否定しないが市場予想に届かない可能性がある」「会合ごとに判断する」と利下げの可能性を先取りして動きたがる市場をけん制しています。来週は27日に豪7月消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は6月の前年比+1.9%から+2.3%へ反発となっています。 市場の予想を下回った(特にインフレの伸びが鈍化した)場合には、RBAの連続利下げへの期待が高まることになるでしょう。市場では次回(9月30日)会合での利下げを26%程度しか織り込んでいないことから、利下げ期待が高まれば豪ドルは売られることになりそうです。ただし、RBAは月次CPIについては「変動が大きい」ため、あまり重視しない姿勢も示しています。次々回の会合(11月4日)の直前に豪7‐9月期CPIが発表されるため、四半期CPIを見て判断との見方になってもおかしくありません。豪7月CPIが大幅に市場予想を下回るなどとならなければ、豪ドル売りは限定的になりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は終値ベースでは日足一目均衡表の雲下限でサポートされています。目先の下値目途は引き続き雲下限となりそうです。この水準を下抜けた場合は、6月後半に93円台後半がサポートとして機能したため、同水準が意識されそうです。一方上値では、今週は一目均衡表の基準線がレジスタンスとなりましたので同線や、雲上限が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:93.50-97.50、NZD/JPY:85.00-88.00
8/25週のイベント:
08/25 (月) 07:45 NZ 4-6月期四半期小売売上高
08/26 (火) 10:30 豪 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
08/27 (水) 10:30 豪 7月消費者物価指数(CPI)
08/28 (木) 10:00 NZ 8月ANZ企業信頼感
08/28 (木) 10:30 豪 4-6月期四半期民間設備投資
一言コメント:
まだまだ暑い日が続いていますが、私が出社する早朝(5時台)は少しずつ暗くなってきており、徐々に夏が終わりつつあることを感じられます。うだるような暑さももう少しと思って、夏を楽しみましょう。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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