執筆日時:2025年8月4日 13時10分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

※チャート:ドル/円-5分足 外為どっとコム「ネオチャート」
米労働市場は減速基調が鮮明に、年内毎会合利下げ見通しが予想の中心へ-米ドル/円147円台へ急落
8月1日に発表された米国の7月非農業部門雇用者数(NFP)は、市場予想の10.4万人に対して7.3万人と、予想を大幅に下回る結果となりました。加えて、5月分のNFPは初回発表値の13.9万人から1.9万人へ、6月分は14.7万人から1.4万人へと下方修正されるなど、雇用ペースの著しい鈍化が明らかになりました。
失業率は4.2%と小幅な悪化となったものの、これは労働参加率が6月の62.3%から62.2%へ低下したことが、失業率の悪化を一部相殺したためとみられます。仮に労働参加率が前回と同水準であれば、失業率は4.3%に達していた可能性があります。
労働市場の需要と供給がともに縮小傾向にある点で、先行きに対する懸念が高まっています。9月16日までのFOMCまでに、雇用統計が1回、消費者物価指数が2回発表されるため、市場の見通しはまだ固まっていませんが、「CMEのFedWatchツール」では、9月・10月・12月のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げが実施されるとの見方がコンセンサスとなっています。
各市場の反応
【為替市場】
米ドル/円は3円超の急落となりました。
米労働市場の減速を受けて、米金融当局による利下げ期待が高まり、米ドル/円は150.50円付近から149.25円付近まで急落。その後も売り圧力が強い中、NY終盤には147.29円まで下げ幅を広げました。長期金利の指標となる米10年債利回りも、4.40%付近から4.21%付近まで低下しました。
【株式市場】
労働市場の軟化を受けて、米国の経済成長に対する警戒感が高まり、主要株価指数は揃って下落しました。決算内容が嫌気されたアマゾン・ドット・コムの下落も相場の重しとなりました。
- ダウ平均:前日比 -1.23%(-542.40)の43,588.58ドル
- ナスダック総合:前日比 -2.24%(-472.32)の20,650.13
- S&P500種:前日比 -1.60%(-101.38)の6,238.01
【金市場】
株安・金利低下などリスクオフの流れが強まり、安全資産とされる金に買いが集まりました。スポット価格は3,364ドル付近まで上昇し、その後も高値圏でもみ合いながら、週の取引を終えました。

※チャート:左上から横に米国S&P500、米国D30、日本N225、金スポット、5分足 外為どっとコム「株価指数・商品CFDチャート」
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