執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年6月20日 12時50分
”ドル安・円安”でドル円の戻りは限定か
米ドル/円、戻りを試す展開が優勢に
米ドル/円は底堅い展開。一部報道で「(イランは)米国がイスラエルの軍事行動に加わらない限り、米国との核協議を再開する用意がある」と伝えられると、投資家心理が改善し、米ドル/円は143.651円を底値に145.438円まで上昇しました。その後、米個人消費の鈍化を示唆する指標結果や、米国がイランに対して攻撃を含む複数の選択肢を検討していることが明らかとなり、米ドル/円は144.323円まで下げました。しかし、パウエルFRB議長が利下げに慎重な姿勢を示すと、米ドル/円は145.767円まで上昇幅を広げるなど、ヘッドラインに振り回されながらも、底堅い展開となりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米ドル安の中でドル円はどこまで戻すのか
足もと、米ドル/円は底堅い展開が続いています。中東の緊張が今後も続くと見られる中、米ドル/円がもう一段上方向を試す可能性があります。シカゴIMM通貨先物でこれまで積み上がった円ロングの巻き戻しが十分に進んでいない点も、米ドル/円を押し上げる燃料になりそうです。
ただし、米ドルの底堅さは対円に限ったもので、他通貨に対しては軟調な地合いが継続しています。主要通貨に対する米ドルの強弱を示すドルインデックスも低下基調にあり、正直、今の市場は“円独歩安”と解釈した方が腑に落ちる気がします。
円安の背景には、地政学的リスクによる原油価格の上昇懸念や、日米関税協議の先行きが不透明で、日銀の追加利上げ期待が高まりにくいことなどがあると見られます。米ドル安・円安という状況下で、米ドル/円の戻しの持続性には疑問が残ります。
さらに、四半期末決算に関連したドル需要が今後は後退する見通しであり、今後、米ドル/円が頭を抑えられる場面も目立ってくるのではないでしょうか。米ドル/円は、戻り売りのタイミングを慎重に模索したいと考えています。
147円前半では頭打ち感も(テクニカル分析)
米ドル/円は日足一目均衡表の雲上限145.545円に接近しています。これまで気になった遅行スパンも、米ドル/円が現状レベルを維持すれば、今後ローソク足を上抜けする可能性もあります。こうした中で、今年の年初の高値158.866円(1/10)を起点とする三角保ち合いからの上放れ期待も、米ドル/円をサポートしている印象があります。
しかしながら、ローソク足は依然として200日移動平均線の下側であるため、上昇の勢いが緩やかである点は見逃してはいけません。年初の高値158.866円からの下落幅の38.2%戻しである147.13円付近では戻りの勢いが鈍くなる可能性があると見ています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:143.500-147.500
6/23 週のイベント:
一言コメント
「日本への津波の影響なし」と気象庁が発表——インドネシアのレウォトビ火山が噴火しました。「日本への津波の影響なし」との報にひとまず安堵しましたが、噴煙の大量放出により気象条件が変化し、今後は作物の生育に影響が出る可能性もあり、懸念しています。
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