ドル円急落と米経済指標の影響分析【外為マーケットビュー】
動画配信期:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の内容まとめ
ドル円相場の急落と市場動向
昨日のドル円相場は、144円台前半から142円台中盤まで急落し、現在も上値の重い展開が続いています。この下落の主要因は、アメリカの経済指標が軒並み弱い結果となり、米経済の減速懸念が強まったことでドルが押し下げられたことにあります。
ADP民間雇用者数の衝撃的な結果
ADP民間雇用者数は3万7,000人となり、予想の11万人を大幅に下回りました。前回の6万人も下方修正された上での結果であり、市場に衝撃を与えました。業種別では建設業、IT、金融業で増加が見られたものの、製造業や専門サービス業では減少となりました。この発表を受けて、ドル円は144円20-30銭付近から143円50-60銭付近まで急落しました。
ISM非製造業景気指数の悪化
ISM非製造業景気指数は51.6から49.9へと大幅に低下し、新規受注も52.3から46.4に急落しました。この数字を受けて、ドル円は143.50円を割り込み、一気に143円割れまで下落しました。
トランプ関税政策の企業活動への影響
ISMの分析やベージュブックによると、トランプ政権の関税政策の不透明感が企業の前向きな投資や雇用を阻害している状況が浮き彫りになっています。企業が積極的な活動を控えていることが経済指標の悪化につながっています。
金融政策への圧力と市場の反応
ADP雇用統計の弱い結果を受けて、トランプ大統領は即座にパウエルFRB議長に金利引き下げを求めましたが、インフレ懸念が徐々に台頭する中で、FRBは動きにくい状況にあります。今週は求人数の減少やADP雇用統計の悪化を受けて、本日の新規失業保険申請件数、そして明日の雇用統計が注目される展開となっています。
金利と株式市場の動向
アメリカの長期金利は4.6%程度まで上昇していましたが、昨日は4.35%程度まで低下しました。これを受けてドルが下落した一方で、株価市場はそれほど大きな下落は見せませんでした。ダウ平均は0.22%下落したものの、S&P500はほぼ変わらず、ナスダック総合指数は0.32%上昇となりました。特にテクノロジー系企業の上昇が目立ち、SOX指数は1.39%の上昇となり、米国株を下支えしました。
ドイツ市場の好調と減税政策効果
注目すべきは、ドイツの株価が史上最高値圏まで上昇していることです。これは、ドイツ政府が法人税減税法案を閣議決定したことが要因とされています。2029年までに460億ユーロの減税、最大30%の減価償却、連邦法人税の15%から10%への引き下げなど、大規模な減税政策がドイツ株式市場にとってプラス材料となっています。
今後の注目ポイントとテクニカル分析
ドル円相場は142.50円付近で反発を試みているものの、143円付近が重い抵抗となっています。142円前半が今日のサポートレベルとなると予想され、前回安値の142.38円、142円付近がサポートと考えられます。142円を割り込むと141円前半への下落が予想される一方、143円台を上抜けできれば143.50円がターゲットとなります。143.50円は昨日、一昨日とサポートしていたレベルであり、反発時にはレジスタンスとして機能する可能性があります。重要なポイントは、142円と143.50円のどちらに抜けるかということになります。
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株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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