執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年5月9日 12時55分
ユーロ/円200日線に底打ち感、ポンド/円上昇過程の最終局面の可能性も
ユーロ/円、ポンド/円はV字回復
前半はアジア通貨高に伴う円買いの動きから、ユーロ/円は161.594円、ポンド/円は190.311円までそれぞれ下落しました。その後は、米関税策を巡る協議への期待を背景とした円売りの流れから、ユーロ/円は163.935円、ポンド/円は193.500円まで反発しました。英国と米国が関税協議で合意に達したことで、米国と他国との協議も進展するのではないかという期待感もポンド/円の上昇を支える要因の一つになりました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米関税策の行方次第
欧州連合(EU)は、米国の関税措置が撤回されなかった場合に備え、950億ユーロ(16兆円)相当の米製品に追加関税を計画していると報じられており、米国との交渉は難航しているようです。米国は英国との貿易で黒字を維持しているのに対し、EUとの貿易では赤字であり、それが最大の要因となっています。ユーロ圏の成長に対する不安は残ったままといえそうです。米国との関税協議が進展するかどうかが、引き続き重要なポイントになります。
また、英国については8日に英中銀が政策金利を0.25%引き下げ4.25%にすることを決めました。ただ、採決では2名の委員が据え置きを支持したことで、利下げサイクルは段階的なものとなりそうで、次回6月の追加利下げへの期待は低下しています。追加利下げが期待されるECBとの温度差は引き続きポンドをサポートする材料になります。ただ、米中協議の行方次第では、リスク回避の流れが強まりクロス円が下落する可能性もあるため、油断はできません。
ポンド/円、最後にもう少し上昇か(テクニカル分析)
ユーロ/円は50日移動平均線をサポートラインとして、じわじわと下値を切り上げています。また、これまで低下基調だった200日線には底打ち感が見え始めている点も、ユーロ/円を支える要因となっています。直近のレンジでの値動きは続いているものの、レンジブレイクも期待できそうです。レンジ上限付近の165.00円を突破すれば、次は167.00円を意識した展開になりそうです。
また、ポンド/円のチャート形状は、2月末から3月下旬にかけて示されたチャート形状と似ているように感じます。前回は上昇局面では、最終段階でいったん調整した後、直近の高値を上抜けてトップを形成しました。今回もこの形が当てはまるなら、直近の高値193.762円(5月2日)を超えて少し上昇した後、頭打ちとなるかもしれません。そのレベルは195.04円付近と考えており、そこに到達するまでは買い目線で追随し、目標レベル付近からは戻り売りの戦略に切り替えたいと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:160.500-165.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:188.500-195.500
5/12 週のイベント:
一言コメント
インドとパキスタンの緊張が高まっています。両国とも核保有国であるため、軍事対立が激化しないことを願うばかりです。
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