総括
FX「中銀総裁がリラを語る。4QはG20で最も高い成長。25年も上方修正」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価5位)
予想レンジ トルコリラ/円3.8-4.3
*中銀総裁がリラを語る
*24年4QはG20で最も高い成長。25年も上方修正
*株が伸びるが、リラが伸びない
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*円独歩高でリラ安。スワップ益がまだリラ下落についていけず
*政策金利は2.5%引き下げ
*1月鉱工業生産、小売売上はまずまず
*中銀への外貨売却率低下
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*2025年は3%成長予想、EBRD、OECDは3.1%
*ビジネス界が政府を批判し拘束される
*財務相は正統派経済を貫くが、国民はまだリラを全面的に信頼せず
*中銀、インフレ予想を21%から24%に上方修正
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
*さらなる利下げを宣言、エルドアン大統領
(3月中旬から少しリラの下落ペースが和らいできた)
今年のリラは唯一ドルより弱い通貨だ、年初来対ドルで3.3%安、対円では8.14%安。リラ円のスワップ年率は買いで約28%。昨年のリラは1年で対円で7.14%安だったのでスワップ金利で十分に為替差損を賄えたが、今年の下落ペースがやや速いのは円の上昇ペースが速すぎるからだ。
ただ円は3月は上昇ペースを鈍化させている。日本の3月の決算に関わる円売りが出ているのだろう。
(株価は強い)
今年のトルコ株価指数は強い。年初来では一時マイナス圏に陥っていたが現在は10.49%高。シリア復興期待、ウクライナ・ロシア休戦期待などがある。
10年国債利回りは26.4%出高止まりしている。
(トルコの2024年4Q成長率はG20諸国の中で最も高い)
OECDによると、トルコは2024年4QにG20諸国の中で最も急速に成長した国となった。4Qは3Qに比べて1.7%拡大した。G20諸国の経済は2024年4Qに前期比0.9%成長。
トルコの経済規模は2024年に1兆3,200億ドルに達し、一人当たりの所得は15,463ドルとなった。トルコ経済は2023年に5.1%拡大し、規模は1兆1,300億ドル。
トルコ政府は、2025年にGDP成長率が4%に加速すると予想している。この予想が実現すれば、経済規模は1兆4,700億ドルに拡大し、一人当たり所得は1万7,028ドルに達する。
政府の中期計画の予測によれば、GDP成長率は2026年に4.5%に加速し、翌年にはさらに5%まで上昇し、経済規模はそれぞれ1兆6,400億ドルと1兆7,700億ドルに達する。政府は、一人当たりの所得が来年には18,990ドル、2027年には20,420ドルに増加すると予測している。
(OECDの25年の成長、インフレ見通しは)
OECDは2025年の経済成長率を3.1%と予想しており、これは12月に予測した2.6%から上方修正。しかし、2026年の予測は4%から3.9%に引き下げられた。
インフレ率は現在の39%から今年は31.4%に上昇し、2026年には17.3%に緩和すると予想している。両予測は、それぞれOECDの12月の推定値である30.7%と17.2%よりも高いものだ。
(今週の指標)
2月自動車生産は前年比13.4%減少、前月は2.8%減少。他に3月消費者信頼感指数、2月のトルコへの観光客数などの発表がある。
(1月小売売上は増加)
1月小売売上は前年比12.5%増、前月は14.0%増。1月の鉱工業生産に続きまずまずの数字だ。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ下限から小反発、5日線上向き
日足、ボリバン2σ下限から小反発。3月14日-17日の上昇ラインがサポート。3月3日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線下向き。
週足、ボリバン2σ下限へ下落。2月10日週の長い上ヒゲ効いて続落。8月26日週-3月10日週の上昇ラインがサポート。
3月3日週-10日週の下降ラインを上抜く。2月17日週-3月3日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
月足、8月の月足の長い下ヒゲ効果が薄れた。8月-12月の上昇ラインを下抜く。24年7月-25年1月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限は3.856。
。
年足、2024年で10年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。2025年も陰線でスタート。
メルハバ
中銀総裁の通貨リラへの考え
カラハン中銀総裁は、年末のインフレ目標である24%を達成するため「あらゆる手段を講じる」と誓約し、需要状況がデインフレの道筋を損なうことは許さないと述べた。インフレ率の低下はベース効果ではなく、金融引き締め政策に支えられた基調トレンドの低下が主な要因であると強調した。
総裁は「需要状況がインフレ抑制のプロセスを損なわないよう徹底する」と述べ、トルコリラ建て預金への転換が外貨建て預金への転換を上回っていることにも言及した。インフレとの戦いや金融政策のほか、外貨建て預金、トルコリラへの転換、外貨建て融資など、さまざまな話題について語った。
「実質的な増価に関しては、現在の金融政策はトルコリラの実質的な増価に焦点を当てて策定されたものではない。為替レートの水準や変動について目標は設定していない。しかし、断固とした金融政策姿勢はトルコリラへの関心の高まりにつながっている。この関心の当然の結果として、準備金の増加と実質的な増価の両方が起きている」と説明した。
リラへの関心が続いていることに言及し、外貨建て担保付き預金口座を段階的に廃止する最近の措置についても言及した。
「12月に、為替保護預金口座の利回りを削減する変更を導入した。1月には長期口座を廃止し、最終的に2月には法人向け為替保護口座の開設と更新を中止した。これらの展開にもかかわらず、トルコリラへの関心は継続していると考えている」と述べた。
「今後、我々の優先事項は、予想されるデインフレの道筋に必要な引き締めを確実にする形で政策金利を決定することだと改めて強調したい。インフレの持続的な低下によって物価安定が達成されるまで、我々は引き締め政策の姿勢を維持する。我々の断固たる金融政策の姿勢は、トルコリラへの関心を支えるだろう」と付け加えた。
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