執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年3月14日 14時03分
日銀・FOMCとも辛抱強くタイミング見極め、ドル円150.50円付近までの戻りも
米ドル/円、ショーカバー優勢
米ドル/円は反発。シカゴ通貨先物のポジショニングが3月4日時点で、米ドルに対して円が約13.4万枚の買い越しとなる中、米国が示した30日間の休戦提案にウクライナが同意する用意があることが明らかになると、ポジション調整に伴う円売りが強まり、米ドル/円は146円半ばから149.196円レベルまで切り返しました。その後、トランプ大統領の関税策による米景気減速への懸念がくすぶる中、米ドル/円は147.411円まで押し戻される場面はありましたが、米政府機関閉鎖が回避されるとの期待から148円半ばへ戻しています。ただ、週を通じて決め手になるような材料はなく、来週の日米金融政策会合や4月2日発動予定の米国の相互関税・自動車関税についての新たな材料待ちの中で、ポジション調整が進んだようにも感じました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
日米金利差縮小の流れ継続
来週は日銀金融政策決定会合、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。日米ともに政策変更はないと思われ、注目は次回以降の会合に対して、市場とどのようなコミュニケーションをとるかとなりそうです。日銀については、植田総裁が「長期金利、市場と日銀の見方に大きな齟齬はない」との認識を明らかにしているため、金融市場を確認しながら緩和の度合いを調節していくとの立場は変わらないと思われ、円安バイアスは限定されるのではないかと、考えています。ただ、トランプ関税を巡る不確実性が高まる中で、無用な混乱を避けたいとの思いを強調し過ぎて控えめな印象になれば、円ロングポジションの巻き戻しが進む危険もありそうです。それでも、基本は利上げ方向を向いていることに変わりがないため、円安バイアスも長続きしないのではないでしょうか。
かたやFRBは、昨年12月に25bpの利下げを実施して以降、ディスインフレ停滞が意識されていますが、労働市場が冷やされる中で、これまでの見通しから外れていないとの見方で、緩和路線は維持されると考えています。ただ、トランプ関税の影響が今後、顕在化してくる危険はあり、そうした点も考えれば辛抱強く利下げのタイミングを確認していくスタンスになるのではないかと見ています。おおまかには日米の金利差縮小の流れから米ドル/円は下目線を維持ですが、日銀、FRBともに政策の方向に対して強いバイアスを掛ける時期ではないため、市場の反応が微妙と言える状況になることも考えられます。
まだ、下目線(テクニカル分析)
米ドル/円は、ディセンディングトライアングルを下回って下値を広げたものの、昨年10月4日安値145.922円割れを回避すると、148円半ばまで切り返し、短期的には下落圧力が緩和しています。前回のサポートラインである148.65円より上の水準で定着出来れば、日足一目均衡表・基準線150.673円付近への戻りも期待できそうです。ただ、少し長い目で見れば下落トレンドが転換したとは言い切れず、150円半ばから151円付近では戻り売りが被さってきそうで、150円台に乗せた辺りでは戻り売りを検討したいと、考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:146.500-151.000
3/17 週のイベント:
一言コメント
色々な材料が出て、日替わりランチのようにその日の相場観が変化して、辛い日々が続いています。市場との距離を取った方が良いのかな、と感じています。
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