欧州の歴史的転換点と安全保障の変化
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相場分析ポイント解説
# 欧州の歴史的転換点と安全保障の変化
## 発端と主な動き
- 2月末のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談決裂が発端
- 欧州はアメリカから安全保障で独立する必要性を認識
## 欧州委員会の動き
- 8,000億ユーロの再軍備計画を策定
- 1,500億ユーロ:EUがマーケットから調達し、各国の国防支出拡大に融資
- 6,500億ユーロ:各国がGDP比1.5%の国防費増加を4年間実施
- EU財政赤字規定(GDP比3%)を一時的に緩和
## ドイツの対応
- 憲法上の「債務ブレーキ」(財政赤字をGDP比0.35%に抑える規定)を事実上撤廃
- 国防費に関してGDP比1%を超える部分は基準から除外
- 5,000億ユーロの特別資金を国防費とインフラ投資に充当
- 2月の総選挙後、両極端政党が議席を増やしたが、選挙後30日間は旧議席配分で議会を開催可能
- 臨時国会で憲法改正を迅速に進める見込み
## 経済への影響
- ドイツの10年債利回りが一日で0.3%上昇(1990年以来の大規模な金利上昇)
- 金利差に為替が反応し、ユーロ高に
- 「良い金利上昇」か「悪い金利上昇」かは不明確
- 国防費のための財政赤字拡大は経済にとって必ずしもプラスではない
- 欧州がより統合を進め、安全保障だけでなく構造改革や経済成長で協力すればユーロにプラスとなる可能性
## トランプ大統領のウクライナ政策
- トランプ氏は「即時停戦」に関して一貫している
- ゼレンスキー大統領との会談では、停戦を主張
- ゼレンスキー大統領が和平交渉に前向きな姿勢を示すと評価
- ロシアの攻撃激化に対しては制裁を警告
- ロシア寄りというより「停戦」を重視
## アメリカの安全保障戦略の可能性
1. 欧州・中東から撤退し、中国対策としてアジアに集中する戦略
- この場合、日本は国防費拡大で協力すべき
2. 西半球に閉じこもり、他地域への関与を最小化する戦略
- プーチン大統領、習近平国家主席との「国防縮小」協議の提案
- 核保有大国同士で世界運営を行う可能性
- 日本にとっては「天国と地獄」の分かれ道:中国にアジアを任せる可能性も
## 結論
欧州は安全保障の独立を目指して大規模な再軍備と財政規律の緩和に動き始めている。この動きはユーロ高をもたらしたが、今後の経済的な影響は不透明。アメリカはウクライナ問題で即時停戦を主張し、グローバルな安全保障戦略を転換しつつある。この戦略変更が日本を含むアジア地域にどう影響するかは重要な注目点となる。
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高橋 祥夫(たかはし・よしお)氏
野村総合研究所でエコノミストとして勤務した後、ドイツ証券、バークレイズ証券で20年以上にわたり外国債券と為替のストラテジストとして活躍。現在、ナットウエスト・マーケッツ証券チーフ・エコノミストとして日本経済の分析を海外向けに発信するとともに、豊富な経験に基づき為替を含めた海外投資戦略を幅広い投資家に提供している。
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