【FX】ドル/円、米雇用統計FX売買戦略&追い風が吹く高金利通貨はこれだ!(2025年2月7日(金) 12:00~13:00)
雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2025年2月7日(金) 21:00~23:00)
更新日時:2025年2月10日 11時30分(データを更新)
執筆日時:2025年2月6日 11時10分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
過去3回は大幅上振れ、雇用拡大ペースは鈍化が鮮明か
はじめに-市場の利下げ回数予想の変化方向に注目
2025年2月7日(金)、日本時間22時30分に米国で1月分の雇用統計が発表されます。昨年12月にFRBが示した今年の利下げ回数見通しは2回(0.25%を1回として)でしたが、それ以降発表されたデータから市場では後ずれ観測が進み、現時点では1回と2回で見方が分かれています。結果を受けて、市場の見方が修正されてFRBの見通しへ押し戻されるのか、それとも1回の利下げ織り込みが進むのか、注目されます。では振り返りからです。
前回のおさらい-製造業の悪化をサービス分野がカバー
・失業率も改善
1月10日に発表された、米国の12月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の16.0万人増を大幅に上回る25.6万人増となりました。また、失業率は11月から0.1%ポイント改善し4.1%になったほか、時間給は前月比が市場予想通り0.3%の伸びとなりました。製造業は振るわなかったものの、小売業・ヘルスケア・教育分野と民間サービス分野が雇用拡大をけん引しました。結果を受けて、米国のインフレ退治の長期化が意識されました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:データ米国労働省
指標発表後、為替市場では米ドル高へ傾斜し、158.00円前後だった米ドル/円は一時158.866円まで上昇しました。しかし、短期的に円ショートが積み上がり過ぎていたほか、米長期金利が4.8%手前まで上昇し株式市場が大幅安となりリスク回避の円買いが集中したため、米ドル/円は157.227円まで反落しました。また、ダウ平均は696.75ドル安い41938.45ドル、ナスダック総合株価指数は317.25ポイント安い19161.63ポイントで取引を終えました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-『木を見て森を見ず』は避けたい
・24年は雇用創出のペースダウンがより鮮明に
・失業率の悪化に警戒
過去16回分の1月分だけのNFP速報値と市場予想(図表3.)を見ると、9回が市場予想を上回る結果になっています。しかも直近3年間では市場予想を大幅に上回っていて、今回の結果に対しても期待する投資家は相当数いるようです。高頻度データである新規失業保険申請件数は直近のレンジ19.0-22.0万件での推移が続いているほか、Indeed job postings Indexは若干、低下しているものの底打ち感が見られ、労働市場の堅調さが窺えます。
もっとも、米大統領選挙の翌年の1月だけに着目すると、市場予想からの乖離は小さくなっている点や、ロサンゼルスの山火事は雇用に影響はほとんどないものの、ボーイングの人員削減や寒波の影響から、NFPに対して過度に期待を持ちすぎると危険と感じます。
図表3.過去の1月分NFPの市場予想と結果
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
※単位:万人
※網掛けは米大統領選挙の翌年
また、ベンチマーク改定にも注意が必要です。24年12月までの1年間で94.3万人減少(全数調査で70.0万人減、サンプルでは捕捉しきれない起業と廃業による雇用の変化をBirth-Deathモデルでモデル化した分が24.3万人減)との見方があります。これに従えば、昨年の月間雇用増加数は5万~10万人で、失業率を安定させるのに必要なレベル(10万~15万人)を下回ることになり、これまでの労働市場への見方が大きく変わる危険はあります。この場合、市場のタカ派な見通しが巻き戻され米追加利下げへの思惑が強まりやすいと考えます。
図表4.直近の雇用関連データ
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
※:新規失業保険申請件数は雇用統計調査週と同時期のデータ
また、家計調査から求められる失業率にも注意が必要です。コンファレンスボードが調査する労働情勢認識格差は昨年の夏場以来の低水準へ落ち込み始めていますので、消費者が感じる労働市場への期待はかなり後退している恐れがあり、失業率の動向にも気を配りたいです。単月の数字は雇用拡大は底堅いペースと受け止められる可能性はありますが、全体的には過去の修正分から雇用拡大ペースの減速がより鮮明になり、FRBの想定する年2回利下げへ市場の見方が近づくのではないかと考えています。米ドル/円は下方向を警戒したいと考えています。
失業率とNFP
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
図表6.ドル円チャート
米ドル/円 8時間足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表7.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2025年01月 | 17.0 | 14.3 | 4.1 | 4.0 |
2024年12月 | 16.0 | 25.6 | 4.2 | 4.1 |
2024年11月 | 20.0 | 22.7 | 4.2 | 4.2 |
2024年10月 | 10.8 | 1.2 | 4.1 | 4.1 |
2024年09月 | 14.0 | 25.4 | 4.2 | 4.1 |
2024年08月 | 16.0 | 14.2 | 4.2 | 4.2 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2025年01月 | 0.3 | 0.5 | 62.6 |
2024年12月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2024年11月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2024年10月 | 0.3 | 0.4 | 62.6 |
2024年09月 | 0.3 | 0.4 | 62.7 |
2024年08月 | 0.3 | 0.4 | 62.7 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2025年01月 | 50.3 | 52.3 |
2024年12月 | 45.4 | 51.4 |
2024年11月 | 48.1 | 51.5 |
2024年10月 | 44.4 | 53.0 |
2024年09月 | 43.9 | 48.1 |
2024年08月 | 46.0 | 50.2 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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