
本日午前に長野県金融経済懇談会で講演した田村日銀審議委員は、「適切なタイミングで利上げを実施し、物価安定を維持する」との見解を示した。具体的な利上げ時期や幅について、「2025年度後半には少なくとも1%程度」と自身が考える中立金利水準を示した。早期追加利上げに前向きと捉えた市場は、まず円買いで反応した。
もっとも田村委員の発言を受けたドル円やクロス円の下落は長続きせず、一巡後は水準を戻す動きに。タカ派の日銀審議委員が自らのスタンスに沿った見解を示したことは、市場にとってサプライズではないのだろう。本邦金利の先高観は強まったままだが、底打ち感が広がるようであれば、欧州前半は巻き戻しに注意したい。
英中銀の政策金利については、英国のインフレ動向や雇用状況からして市場の見込み通りとなりそうだ。注目はMPC委員9人の投票行動。金利据え置きの前回12月の会合でも、ラムスデン副総裁とディングラ、テイラー両委員が0.25%の利下げを主張した。
今回の会合では、前述した3人に何人追随するかがポイントになる。直近のアナリスト調査では、利下げ8人/据え置き1人との見方が優勢。先週と比較すると、据え置きと見られていた委員1人が利下げに移ったことになる。8対1や7対2を想定内とし、バランスが崩れた方にポンド相場は反応するのではないか。
想定レンジ上限
・ユーロ円、本日高値158.86円を超えるとピボット・レジスタンス1の159.87円
・ポンドドル、90日移動平均線1.2669ドル
想定レンジ下限
・ユーロ円、本日安値157.92円を下抜けると昨年12月4日安値156.99円
・ポンドドル、日足一目均衡表・基準線1.2338ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ