執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中!
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は97.55円前後、ニュージーランド(NZ)ドル/円は88.47円前後で週初を迎えました。今週は豪州にて主要な経済指標の発表はありませんでした。ただ、豪州と交易関係の強い中国の11月小売売上高が市場予想を大きく下回ったことが豪ドルの重しとなりました。また、ドイツやユーロ圏、英国、米国の12月製造業購買担当者景気指数(PMI)がいずれも市場予想を下回ったことが、資源国通貨である豪ドルにはネガティブな材料になりました。18日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の「タカ派的な利下げ」を受けてNYダウ平均株価が大幅に下落したことから、一時95.80円前後まで下落する場面も見られましたが、日銀金融政策決定会合での金利据え置きや、植田総裁の会見内容が予想以上にハト派的だったことで急速に円売りが強まり、一時98円台後半まで上昇しました。NZドル/円は豪ドル/円と同様に上値が重く、19日に発表されたNZ7—9月期国内総生産(GDP)が-1.0%と予想を下回ったことで売りが強まり86.72円前後まで下落しました。NZ経済は2四半期連続のマイナス成長でテクニカルリセッション入りとなりました。ただ、日銀のハト派的な姿勢により89円台前半まで買い戻される場面もありました(執筆時)。
RBA議事録に利下げのヒントを探す
来週は24日に豪準備銀行(RBA)が12月10日に開催した金融政策会合(理事会)の議事要旨が公表されます。RBAはこの会合で政策金利を4.35%に据え置きましたが、声明ではインフレの減速に対してこれまでよりも自信を強めている内容に変わっていました。豪州の労働市場はひっ迫状態が続いている一方で、GDP成長率からみる豪経済は期待したほどの強さを見せていません。その中で、今後発表されるデータ次第ではありますが、次回(2月)のRBA理事会での利下げ期待が高まる内容なのか注目です。
来週は、そのほかに豪州やNZ、中国にて主要な経済指標の発表はありません。25日はクリスマスで欧米市場は休場、26日はボクシングデーで英国連邦(英国や豪州、NZ、カナダなど)は休場となります。海外勢を中心にホリデームードが強く、方向感が見出しにくくなりそうです。その中で25日の昼過ぎに植田日銀総裁の講演が予定されています。19日の日銀金融政策決定会合後の定例記者会見がハト派色の強い内容で、円全面安の流れとなったことから、植田総裁が火消しに回る発言をする可能性もあるでしょう。市場参加者がかなり少ないタイミングでの発言になるため、為替相場が通常よりも大きく反応することも考えられます。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は日足一目均衡表雲下限付近での推移となっています。目先の上値目途は週足一目均衡表転換線(98.69円前後)となりそうです。その上の水準では心理的な節目となる100.00円や200日移動平均線(100円台後半)が意識されそうです。一方で下値は12/6安値の95.52円前後が目先の目途となりそうです。この水準を下抜けた場合は心理的な節目となる95円前後や、9/11安値の93.60円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:95.50-100.00、NZD/JPY:86.50-89.50
12/23週のイベント:
12/24 (火) 09:30 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
一言コメント:
健康診断に行ってきました。今年は3月頃から食事の量を減らすなど、減量を少しだけ意識して生活してきました。結果として〇kgの減量に成功しました。ただ、目標体重はもう少し下なので、この結果に満足せずやりすぎない程度に頑張ります。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。