総括
FX「ハリスかトランプか。最高裁判事8名が辞表。対円で5か月ぶり陽線も心配事多い」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.3-7.8
(ポイント)
*対円で5か月ぶり陽線も心配事多い(司法、トランプ、ニアショアリング)
*司法制度の混乱続く、最高裁判事8名が同時に上院に辞表
*年間では通貨、株価が最弱
*10月は月間4位、米大統領選を待つ
*3Q・GDPは予想を上回る。11月の追加利下げ予想は変わらず
*11月7日に10月消費者物価の発表
*財務副大臣が通貨のボラティリティを懸念(米大統領選)
*メキシコはやるべきことをやり始めた ニアショアリング
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*イエレン財務長官がトランプ氏のメキシコ政策を批判
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
(10月は月間4位、米大統領選を待つ)
10月は5か月ぶり陽線となった。ただ初旬に高値をつけてからはジリ安。月間では対円で3.98%高、年間では8.67%安で最下位。対ドルで20ペソ台にのせて弱い。
7月の日銀介入以降で唯一対円で雲の上に出ていないメキシコペソだ。
トランプ氏が大統領になれば、先週のG20財務相・中銀総裁会議でも懸念していたように保護主義が打ち出され、メキシコだけでなく世界経済が一時混乱に陥る懸念がある。
ただメキシコ新政府は、司法制度改革によって生じたメキシコへの投資の不確実性を払拭すべく行動している。米民主党政権ならば対話を通じてニアショアリング問題を解決出来そうだ。
今月はパウエルFRB議長の「利下げを急がない」発言からのドル高、米金利上昇もあり、ペソは対ドルでやや小緩んでいる。
株価(ボルサ指数)は弱く、年初来11.72%安で世界最弱。10年国債利回り10.42%。
(3Q・GDPは予想を上回る。11月の追加利下げ予想は変わらず)
3Q・GDP速報値は前期比1.0%増となり、予想の0.8%を上回った。プラス成長は11四半期連続。農業、漁業、鉱業などの第1次産業が4.6%増と大きく伸びた。
製造業が含まれる第2次産業、サービス業などの第3次産業はそれぞれ前期比で0.9%増となった。前年同期比は1.5%増、予想の1.2%増を上回った。2Qの2.1%増からは鈍化した。アナリストは11月に追加利下げが行われるとみている。
また2024年は、米国の成長率より減速していることも気がかりだ。
(9月貿易収支)
9月貿易収支は5.8億ドルの赤字で前月の48.7億ドルの赤字、予想の33億ドルの赤字から改善した。石油製品の輸入減少が貢献した。
(今後の指標、11月7日に10月消費者物価)
今夜は10月製造業PMI、来週は10月自動車生産・輸出、消費者物価の発表がある。
政策金利決定は11月15日。
(財務副大臣が通貨のボラティリティを懸念)
メキシコ財務副大臣は通貨のボラティリティの高さを非常に懸念しており、米国選挙によりさらに悪化すると予想される発言した。
テクニカル分析
10月月足陽線も後半伸び悩む
日足、10月4日の3σ上限からは下落、伸び悩む。10月21日-31日の上昇ラインがサポート。10月29日-31日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向く。
週足、ボリバン2σ下限から反発も中位に届かず、まだ雲の下。9月30日週-10月21日週の上昇ラインがサポート。7月8日週-10月28日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向、20週線下向き。
月足、5か月ぶり陽線。9月-10月の上昇ラインがサポート。24年7月-10月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向き、20か月線上向き
年足、23年で3年連続陽線。ただ今年7月は日銀介入もあり年足が陰転。22年-23年の上昇ラインがサポート。年足陰転すれば4年振り。
VAMOS MEXICO
司法制度の混乱続く、判事8名が同時に上院に辞表
メキシコ国家最高裁判所は10月30日、司法制度改革に不満の判事8名が同時に上院に辞表を提出した。メキシコの最高裁判所には11人の判事がおり、そのうち8人の辞任は最高裁判所が大規模な再編を受ける可能性があることを意味する。上院は欠員を補充する新しい判事を任命する責任を負う。来年、司法改革の結果として初めての司法選挙が行われる。
9月11日、メキシコ上院本会議は司法改革計画の採択を可決した。改革案には普通選挙による判事や判事の選出や、最高裁判事の定数を11人から9人に削減することが盛り込まれ、今後の裁判に政権の支配が強まり司法の独立性の不確実性で海外からも懸念されている。
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