執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は100.53円前後で週初を迎えました。月曜日(14日)には、中国が景気支援のために超長期の特別国債を発行する可能性が報じられたことで、一時100.94円前後まで上値を伸ばす場面も見られました。ただ、カナダの9月消費者物価指数(CPI)が予想以上に低下したことや、隣国のニュージーランド(NZ)の7‐9月期CPIが予想通りながらも大幅に低下を示し両国通貨が下落したことなどで、同じ資源国通貨に分類される豪ドルはつれて下落しました。ただ、17日に発表された豪9月雇用統計が市場予想を上回るきわめて良好な結果となったことで、再び100円台半ばまで買い戻されました。
NZドル/円は90.93円前後で週初を迎えました。NZ7‐9月期CPIが前期から大きく低下したことで16日には90.06円前後まで下落する場面も見られましたが、中東情勢を巡る過度の懸念が和らいだことや米国の強い経済指標の結果を受けて、90円台後半まで買い戻されました(執筆時)。
強すぎる豪雇用統計 RBAの利下げは来年か?
10月17日に発表された豪雇用統計の結果は表1の通りです。
【表1. 豪9月雇用統計結果】
雇用者数は大幅に増加で、内訳を見ても正規雇用者数が大幅に増加しています。また、失業率は上方修正(改善)された前月と変わらず4.1%、さらに労働参加率は過去最高の67.2%へ上昇していました。内容を伴うきわめて良好な結果と言えるでしょう。この結果を受けて金利先物市場では年内の利下げ開始の織り込みが24%程度まで低下しています。
中国LPRに注目
来週は豪州やNZで主要な経済指標の発表は予定されていません。21日には中国人民銀行が1年物/5年物最優遇貸出金利(ローンプライムレート:LPR)を公表します。9月末から中国が矢継ぎ早に経済支援策を公表していることもあり、市場はLPRもともに0.20%金利が引き下げられることを予想しています。主要国では0.25%刻みの金利調節が主流となっていますが、中国はそのあたりはあまり気にしていません。2022年以降で見ても0.05%の時もあれば0.25%の時もありました。そのため、今回も市場予想に対して結果が上振れ、下振れする可能性はあると考えています。市場予想よりも利下げ幅が小さかった場合には失望、利下げ幅が大きかった場合はサプライズとなり、中国と交易関係の強い豪ドル相場にも大きく影響を与えそうです。
その他では、あまり材料がないため、欧米の株価指数を眺めながらの動きとなりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は200日移動平均線付近での動きが続いています。8月初旬の安値と9月中旬の安値でダブルボトムが完成し、9月初旬の高値を上抜けたことでネックラインを抜けたとも受け止めることが出来ます。ネックラインだった99.86円前後が引き続き目先の下目目途となりそうです。同水準には日足一目均衡表の雲上限もありますので意識されそうです。一方で目先の上値目途は101.30円前後です。この水準は10月3,4,7日の高値のほか、7月高値と8月安値を結んだフィボナッチリトレースメントの半値戻しの水準でもあります(8月5日の長い下ヒゲは考慮しない)。その上の水準では同フィボナッチ61.8%戻しの103.25円前後が目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:98.50-102.50、NZD/JPY:88.50-92.50
10/21週のイベント:
10/21 (月) 10:00 中国 1年物/5年物 ローンプライムレート
10/22 (火) 06:45 NZ 9月貿易収支
一言コメント:
夏に捕まえたカブトムシが先日亡くなりました。息子にとっては初めて飼育したものなので大泣きでした。調べてみるとカブトムシの成体の寿命は約3カ月。我が家に来てから3カ月半ほど経っていたので、しっかりと育ててあげられたのかな?と感じています。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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