このレポートでは、トルコリラと日本円との為替レートの動き、トルコリラの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 宇栄原宗平
X(Twitter): https://twitter.com/gaitamesk_ueha
動画でチャートを解説
日銀会合で円売りが加速すればトルコリラ円も持ち直す可能性
1. 現在の市場状況:
- トルコリラ/円相場は上値の重さが目立つ
- 一時的に4.3円を割り込む展開
2. テクニカル分析:
- 20日、80日線が下向き
- 10日線が上向きに転換するも、現在は上値抵抗として機能
- RSIが30ラインを再び割り込み、売り圧力優勢
3. 今週の注目イベント:
- 8月20日(火)20時:トルコ中央銀行の政策金利発表
4. 市場予想:
- 政策金利据え置きの可能性が高い
5. 政策金利据え置き予想の背景:
- トルコ中銀総裁が物価安定達成まで金融引き締め姿勢維持を表明
- インフレ率は鈍化傾向も依然として高水準(前年比60%台)
- 現行の政策金利(50%)でも実質金利はマイナス
6. 他の通貨ペアの状況:
- ドル/トルコリラ、ユーロ/トルコリラともに史上最高値を更新中(リラ安)
7. 投資戦略の示唆:
- 現時点での積極的な買いは慎重に
- 相場が安定してきた場合や、レンジ上限突破時に買い場の可能性
- ドルコスト平均法や分割買いなどの戦略的アプローチを検討
- トルコリラ/円で4.4円台を突破した場合、持ち直しの動きが見られる可能性
8. 注意点:
- トルコリラの不安定な動きが続く可能性
- ドル/トルコリラ、ユーロ/トルコリラの上昇トレンドが続く中、リスクは高い状態
トルコリラ/円相場は、トルコ中央銀行の政策金利発表を控え、上値の重さが目立つ展開となっています。市場では政策金利据え置きが予想されていますが、高インフレが続く中での中央銀行の姿勢に注目が集まっています。テクニカル分析からも売り圧力優勢の状況が続いており、慎重なトレードが重要です。ただし、トルコリラ円の4.4円台突破などの明確な上昇シグナルが出た場合には、買い場の可能性も出てくるため、相場の動向を注視する必要があります。
トルコリラ/円 日足チャート
ドル/トルコリラ 日足チャート
ユーロ/トルコリラ 日足チャート
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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