このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
「ほぼトラ」から「確トラ」へ ワリを食うメキシコペソ
今月13日に起きたトランプ米前大統領の暗殺未遂事件は、同氏の大統領返り咲きに追い風となるとの見方が多く、これで「もしトラ」は「ほぼトラ」に変わったとされる。さらに21日にはバイデン米大統領が大統領選からの撤退を決めたことで、一段とトランプ氏が有利になったとの見方が多い。今後、市場では「確トラ」に備える動きが強まる可能性がある。
「確トラ」で最もワリを食いそうな通貨がメキシコペソだろう。トランプ氏は18日の共和党大会での大統領候補者の指名受諾演説で、メキシコや中国など国外に建設された自動車工場を「取り戻す」と強調。「同意しなければ100~200%の関税を課し、米国で自動車を売れないようにする」と主張した。また、「就任初日に南部国境を閉鎖する」として、メキシコ国境の壁の建設を完了させ不法移民の入国を阻止する考えを表明した。さらには、「確トラ」で世界的に貿易摩擦が強まるとの懸念から、22日は殆どのアジア株が下落した。こうした市場環境は金利差に着目したキャリー取引の解消を誘発しやすいと考えられる。
いずれも、印象論であり持続性については不透明ではあるが「確トラ」がペソの逆風になりやすいことは間違いなさそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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