執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年7月19日 16時10分
円一段高織り込むには、米利下げ拡大期待が必要
米ドル/円、調整幅広がる
政府・日銀による円買い介入が警戒される中、158.856円まで緩やかに戻りを試す動きが先行しました。しかし、バイデン米大統領が対中半導体規制でさらに厳しいルール検討と同盟国に警告との報道や、トランプ氏から円安・ドル高をけん制する発言が聞かれたり、7月会合で日銀が追加利上げに踏み切るとの思惑が広がるなど、円売りポジションの巻き戻しを意識させる話題が散見されると、米ドル/円は155.361円まで急落しました。もっとも、米ドル/円の下落とこれらの話題との因果関係は不鮮明な部分もあり、傾き過ぎていた円安ポジションの目先の調整が済むと、米ドル/円は157円後半へ戻しました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、ドル円・日本株・S&P500大幅安「下値攻め」の様相 (2024年7月18日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米ドル/円、勇み足の巻き戻しも
ウォラー米FRB理事は「利下げが正当化される時期に近づいている」と語り、見通せる将来に利下げが実施される可能性に言及しました。タカ派とされる同氏の発言は、米国の緩和政策実施に一歩近づいたことを示しています。ただ、「今後2カ月、データを注視する」とも述べており、判断は7月会合ではなく9月会合になるとの認識を示し、もしかしたら7月利下げもあり得るとの市場の思惑をけん制しました。来週発表される4-6月期GDP、6月個人消費支出の結果次第では、7月利下げ観測がくすぶり続ける可能性はありますが、足もとの個人消費の堅調さを鑑みると、7月緩和期待は後退するでしょう。9月利下げを完全に織り込んだ中で、勇み足で7月利下げまでを織り込もうとしている様子は早計と思われます。円がもう一段買い戻されるには、米国のさらなる金利低下観測が必要と見られますが、それは今の時期ではないため、米ドル/円の下落も今後、徐々に落ち着くと考えています。
また、注目される日銀7月会合が近づくにつれて、観測報道も出やすくなると見られ、内容次第では円安を加速させたり、円買いを誘発したりと何かと値動きを増幅させる要因となるため、注意は怠れません。
157.00円中心の展開か(テクニカル分析)
米ドル/円は昨年12月28日安値の140.255円を起点とする下値支持線を割り込み、トレンド転換を意識させるチャート形状になりました。しかし、一目均衡表の雲にサポートされて切り返すなど、トレンド転換の材料は不十分との見方もあり判断が難しいです。一目の雲の下限(155.515円、18日時点)と同基準線(158.655円、18日時点)に挟まれた領域を中核レンジとして次の方向を探ることになるのではないかと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:155.000-159.000
7/22 週のイベント:
一言コメント
このままの水準で行けば、7月は円高に振れやすいとのアノマリー、当たりそうですね。
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