円安の波を読み解く:日銀政策と市場動向から導く投資家の対応策とは【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/7/11
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:37 円安の継続:クロス円の上昇と市場動向
1:21 米国CPI発表の影響予測
1:48 日銀金融政策決定会合:円相場への影響
3:30 今後の円相場予測と投資戦略
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動画要約・まとめ
円安の継続:クロス円の上昇と市場動向
気付けば円安という流れが継続しており、この1週間もその傾向が続いています。ドル円相場は160円台から161円台の間を推移していますが、その中でクロス円が徐々に上昇しています。例えば、豪ドル円は109円台に達しています。一時期、政治不安で下落していたメキシコペソも回復し、9円を超えてきました。様々な変動があっても、結局は円安になるという傾向が依然として続いています。この流れは今後もおそらく続くでしょう。
米国CPI発表の影響予測
本日、アメリカのCPI(消費者物価指数)が発表されます。予想は前年比3.1%の増加となっていますが、これより弱ければドルがやや売られる可能性はあります。しかし、現在は円安が主な要因であり、ドル相場ではないため、円相場そのものにはあまり影響を及ぼさないでしょう。ドル円には多少影響するかもしれませんが、クロス円への影響は限定的と考えられます。
日銀金融政策決定会合:円相場への影響
今後は7月31日の日銀の金融政策決定会合が一つの大きな転換点となります。既に国債の買い入れ金額の減額が発表されていますが、先行発表により具体的な金額への注目が集まりすぎています。そのため、多少の金額減少では、かえって円安が進む可能性があります。
現在、毎月約6兆円の買い入れが行われていますが、これを即座に3兆円程度に減らすような大幅な変更であれば円高効果が期待できます。しかし、1兆円程度の減額や、数年後の減額計画といった小幅な変更では、むしろ円安が進むと考えられます。
もう一つの重要なポイントは、政策金利の引き上げが行われるかどうかです。可能性としては低いですが、現在の円安を止めるにはこの程度の措置が必要です。つまり、日銀が円安に対してどの程度の危機感を持っているかがここで明らかになります。
今後の円相場予測と投資戦略
いずれにせよ、これからの1週間は大きなイベントがないため、基本的には円安傾向が続くと予想されます。日本の当局から牽制発言が出る可能性もありますが、現在の緩やかな動きでは介入も難しいでしょう。もし牽制発言などで円高になる局面があれば、それを捉えて円売りを入れていく戦略が有効かもしれません。
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今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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