執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年6月21日 14時50分
物価と選挙と日銀の三つ巴、米ドル/円は160.50円を視野に
米ドル/円、159円台へ
仏国債市場が表面的に小康状態となったことで米金利が上昇したため、米ドル/円もこれに引っ張られて158.50円付近のストップを巻き込んで、159.10円台までレンジ上限を広げました。さすがに、この水準からは政府・日銀の円買い介入警戒もあって上昇の勢いは限定されましたが、週を通して底堅い展開が続きました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、日銀砲、円高の流れはこれからか (2024年6月20日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
円キャリー取引の需要は継続か
来週は6月開催の日銀会合の主な意見、米大統領候補者による一回目の討論会、米個人消費支出(PCE)統計などが予定されています。幅が広く掴みづらい部分はありそうですがこれらのイベント結果を受けて振幅しながら、次の方向性を探ることになるのではないでしょうか。日銀会合の主な意見では、6月会合後も円安が進んでいる点を踏まえ、7月利上げや国債買い入れ減額への意識を高めるような編集がなされれば、円高圧力になる可能性はあります。
また、今回のPCE統計では変動幅の大きい食品・エネルギーを除いたコア価格指数(デフレーター)の前月比は0.1%の伸びと、昨年12月以来の低水準となる見込みです。市場予想通りにインフレ鈍化の進展が確認できれば、米国の9月利下げ開始への期待が持ち直し、米ドルを圧迫すると考えられます。逆に、予想ほど下げなかった場合は、米ドルの底堅さが増すでしょう。また、米大統領候補者の討論会における両候補の政策や主張は、通商問題や安全保障の問題などに対して、どのような内容の発言をするのかも気にかけたいです。
とはいえ、ここから先の円安水準では政府・日銀の円安警戒が高まってくることは予見されるものの、株式市場の底堅さを受けて円キャリー取引の需要は大きく崩れていないため、前述したようなところで米ドル/円が下押しした場面は、押し目買いの好機かもしれません。
160.50円を視界に捉えた可能性も(テクニカル分析)
昨年末の140.255円を起点とする下値支持線にサポートされて、半年近い上昇基調が継続しています。2022年2月以降の米ドル/円の上昇サイクルを見ると、22年2月から10月、23年3月から11月と各々8カ月程度上昇トレンドが続いています。今回もこれがワークするなら、もうしばらくは上昇トレンドが続く期待はあります。直近のチャネル上限となる165円はさすがに離れているものの、チャネルの中央付近となる160.300円付近は十分に狙えるのではないだろうか。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:157.000-160.500
6/24 週のイベント:
一言コメント
都知事選出馬者が56人と過去最多となり、7月7日まで各候補とも意欲的に支持者獲得に都内を駆け回るのでしょうね。56人、AKB48総選挙よりも多いのは驚きました。
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