株式会社トレジャリー・パートナーズ社が日経平均株価と米株市場についてまとめたデイリーレポートです。
前営業日の日本株式市場の振り返り
9日の日経平均株価は続落、前日比▲128.39円、▲0.34%となる38,073.98円で大引け。
寄り付き前の8:50に公表された2024年4月25、26日開催分の日銀金融政策決定会合における主な意見において、「円安が物価上昇に与える影響について注意を必要とする」という内容に加えて、文中で計6回の「円安」記載があったことから、今後、日銀が円安を強く意識した金融政策を執り行う可能性が高まったと見る向きが増え、為替は円の買戻し、日経平均株価CFDは上昇の勢いが減退。
日経平均株価は前日の終値より41円高い38,243円で寄り付き。序盤は円の買戻しが優勢のなか、38,115円まで下落。しかしこのレベルでは次第に買い戻され38,200円台を回復した。その後10:30に中国本土および香港株式市場がオープン、買い圧力が強く、日経平均株価も連れ高となり38,384円まで上昇して前場クローズ。
後場は38,425円と高いレベルで寄り付いたものの、その後は一転して売りが優勢となり、じり安の展開。ダラダラと値を下げ続け、終盤に当日の安値である38,115円を割り込むと、38,074円まで値を下げそのまま大引け。
業種別では、機械や化学などで買いが優勢になったが、個別に成長が見込まれる大型株が軟調に推移したことで全体では前日比マイナスとなっている。半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロンが▲105円、創業者一族の柳井氏が一部株式を売却したファーストリテイリングが▲52円、ソフトバンクグループが▲40円、それぞれ日経平均株価を押し下げた。
なお、今朝の日経平均株価CFDは38,432円で取引されており、10日の東京株式市場は上窓を開けてオープンしそうな状況。
前営業日の米国株式市場の振り返り
9日の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇。特にDow30の上げ幅が目立った。
20:00にイングランド銀行が金融政策を公表。政策金利を引き続き5.25%に据え置いた。ただし9名中2名の委員が利下げを支持していたことが判明。前回より追加で1名が利下げ支持へと回ったことが確認された。
21:30に発表された米国新規失業保険申請件数は23.1万人と昨年11月以来の高水準を記録。これを受けて米長期金利が低下、ドル安、米株高の展開となった。
S&P500指数は前日終値より1ドル高い5,189ドルで寄り付くと、じり高の展開で、午前の内に5,208ドルまで上昇。午後に入っても米長期金利低下、ドル安、米株高の流れは変わらず5,215ドルまで上昇したのち、そのまま5,214ドルで高値引け。
業種別ではITを除いた全業種が上昇。特に米長期金利の低下を受けて不動産が+2.31%と大きく上昇した。
Dow30(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)が連日の好調。住宅関連の小売を営むホームデポが+2.54%と大きく上昇した他、建設業のCaterpillar Inc.が+2.11%、金融大手のゴールドマンサックスが+1.93%と続いた。
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本日の注目点
①弱さを見せ始めた米国の経済指標。4月雇用統計に加えて、新規失業保険申請件数が増加するなど、ここにきて米国の労働市場関連の指標に弱さが見え始めている。本日はカナダ4月雇用統計や米国5月ミシガン大学消費者センチメントの発表を控えており、こうした経済指標への注目度がさらに高まってくることが想定されるため、内容を確認しておきたい。
②中東情勢。イスラエルとハマスの交渉団がエジプトを離れたとの情報が入っており、交渉は一旦、決裂に終わった可能性が高そうな状況ではある。引き続きモニターしておきたい。
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