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【米国株】図表でわかる財務分析 マイクロソフト(Microsoft)2026年2Q決算・3Q予想 2026年4月28日

マイクロソフト(Microsoft)はAI技術とクラウドインフラを両輪として、テクノロジー業界を牽引し続けています。直近の決算ではクラウド事業アジュール(Azure)が力強い成長を見せ、営業利益率も高い水準を維持しています。これまでの実績を振り返りつつ、2026年度(FY26)第3四半期(3Q)の業績予想を通じて、同社の現在地と未来の展望を探ります。

(1)マイクロソフト(Microsoft)の最新業績と2026年(FY26)3Qの業績予想

マイクロソフト(Microsoft)は、AIインフラへの投資を継続しながら、高付加価値なサービスによって高収益性を維持しています。私は2026年(FY26)3Qに向けた業績予想は売上高82,500百万ドル、営業利益39,000百万ドルを見込んでいます。市場アナリストたちのコンセンサスも、ほぼ同水準での推移を予想しており、同社が順調に成長していると見ているようです。しかし、AI需要に応えるための設備投資負担が大きくなっており、利益への影響を注意深く見る必要があります。

※(※1)EPS=希薄化後一株当たり利益 (※2)PER=株価収益率 (※3)PBR=株価純資産倍率

市場の期待は、アジュール(Azure)を中心としたクラウドインフラの需要がAI活用によって一段と高まっている点です。法人向けAIツールであるコパイロット(Copilot)の普及も収益を下支えしています。

他方で、マイクロソフト(Microsoft)の課題は、データセンター拡充に伴う設備投資の増大が、将来的な減価償却費の増加を招くリスクや、AI需要に対して供給が追いつくかどうかというインフラ整備のスピードです。

(2)売上高の動向

同社の通期売上高は2021年(FY21)の168,088百万ドルから2025年(FY25)には281,724百万ドルまで力強く成長しています。2023年(FY23)には一時的に成長が鈍化しましたが、AI需要を追い風に再び加速しています。

2026年(FY26)1Qと2Qの合計売上高は158,946百万ドルです。2025年(FY25)通期ベースでの実績281,724百万ドルに対して約56.4%の進捗となっています。2026年後半に向けて、このペースが維持できれば、通期でのさらなる売上高更新が期待できます。

(3)営業利益の動向

マイクロソフト(Microsoft)の営業利益は2021年(FY21)の69,916百万ドルから、2025年(FY25)には128,528百万ドルへ増加しました。営業利益率は40%台前半から半ばで安定しており、効率的な経営を証明しています。

2026年(FY26)1Qと2Qの合計営業利益は76,236百万ドルであり、2025年(FY25)通期ベースの実績128,528百万ドルに対して約59.3%の進捗率です。売上以上のペースで利益が蓄積されており、同社の収益体質の強さが際立っています。

(4)当期純利益の動向

当期純利益は2021年(FY21)の61,271百万ドルが2025年(FY25)の101,832百万ドルまで成長しました。2023年(FY23)には、対前年比でマイナス0.5%と一時的な停滞がありましたが、2024年(FY24)には21.8%増と回復しました。

2026年(FY26)1Qと2Qの当期純利益の合計は66,205百万ドルで、2025年(FY25)通期実績の101,832百万ドルに対して約65.0%と極めて高い進捗率です。これは事業の効率性と投資利益などが、好影響を与えていることを示唆しています。

(5)株主価値指標の動き

続いて、マイクロソフト(Microsoft)の株価が、企業価値に対して「割安」か、それとも「割高」か、株主にとって重要な判断指標を見ていきます。

1)EPS(希薄化後の一株当たり利益)

EPSは1株当たりの利益であり、投資家が受け取る実質的な利益を意味します。2021年(FY21)の8.05ドルから2025年(FY25)には13.64ドルへと、右肩上がりに成長しています。これは企業価値の向上を反映しています。

2026年(FY26)2Qまでで既に8.88ドルに達しており、年度末にはさらに上昇が見込まれます。

2)PER(株価収益率)

PERは株価が利益の何倍まで買われているかを示す期待値です。2021年(FY21)から2026年(FY26)2Qまで、26倍から38倍までの間で推移しており、市場がマイクロソフト(Microsoft)の将来成長を高く評価し続けていることを示しています。

3)PBR(株価純資産倍率)

PBRは株価が純資産の何倍かを示す指標です。2021年(FY21)には14.35倍、2026年(FY26)2Qは9.19倍でした。その間はほぼ同じ水準で推移しています。これは、企業の純資産が利益の積み上げで増加しているためであり、極めて高い水準を維持しつつも、株価に対する評価の落ち着きが見られます。

(6)貸借対照表から見る「財務の安定性」

会社の「財産(資産)」「借金(負債)」「返済不要の自分のお金(純資産)」のバランスを示す貸借対照表は、まさに会社の「健康診断書」です。マイクロソフト(Microsoft)の健康状態を見てみましょう。

1)資産の動向

マイクロソフト(Microsoft)の総資産は2022年(FY22)の364,840百万ドルから、2026年(FY26)2Qには665,302百万ドルへと倍近く拡大しました。この要因は主にデータセンター関連の固定資産の急増によるものです。将来の成長のために巨額の投資を行っている結果といえます。

2)負債の動向

同社の負債合計は、2022年(FY22)の198,298百万ドルから2026年(FY26)2Qには274,427百万ドルに推移しています。急拡大の資産と比較すると、負債の増加は極めて緩やかです。自らの稼ぐ力で事業拡大を支えており、過度な借金に頼る必要がないことを示しています。

3)純資産の動向

マイクロソフト(Microsoft)の純資産は2022年(FY22)の166,542百万ドルから2026年(FY26)2Qには390,875百万ドルに増加しました。これは長年積み上げた利益が内部留保として純資産を押し上げているためです。極めて盤石な財務基盤です。

4)流動比率の動向

流動比率は1年以内に支払い義務のある負債を、手元の流動資産でどれだけカバーできるかを示す指標です。100%超になると「その会社は安全」という判断になります。2022年(FY22)の178.46%から、2026年(FY26)2Qには138.60%になっています。低下の背景には、手元資金を設備投資などの固定資産へ積極的に振り向けていることがありますが、それでも100%を十分に超えており、短期的な資金繰りの懸念はありません。

5)自己資本比率の動向

自己資本比率は資産全体に対する純資産の割合で、経営の安定性を示します。マイクロソフト(Microsoft)の自己資本比率は2022年(FY22)の45.65%から、2026年(FY26)2Qは58.75%に向上しています。借金に頼らず、純資産で事業拡大ができる高い安全性を証明しており、マイクロソフト(Microsoft)は理想的な財務状態といえます。

(7)キャッシュフロー計算書から見る「事業の健全性」

最後にキャッシュフロー計算書を確認しましょう。キャッシュフロー計算書は、会社の「お金の家計簿」。お金の流れを3つの活動に分けて見ていきます。営業キャッシュフロー(営業CF)は本業で稼いだ現金の力、投資キャッシュフロー(投資CF)は成長のための設備投資などに使った現金、財務キャッシュフロー(財務CF)は株主還元や借入金返済に使った現金の流れを指します。

1)営業キャッシュフロー(営業CF)

マイクロソフト(Microsoft)の営業CFは増加しています。2025年(FY25)には136,162百万ドルまで拡大しています。2026年(FY26)1Qと2Qの合計営業キャッシュフローは80,815百万ドルで、2025年(FY25)の通期実績136,162百万ドルに対して約59.4%の進捗率です。本業で稼ぐ現金が年々高まっていることを示しています。

2)投資キャッシュフロー(投資CF)

投資CFは常に大きなマイナスです。マイクロソフト(Microsoft)は将来の成長への投資を加速させています。2026年(FY26)1Qと2Qの合計金額はマイナス57,264百万ドルでした。これは2025年(FY25)の通期実績であるマイナス72,599百万ドルに対して約78.9%の進捗です。インフラ投資のスピードが、以前にも増して速くなっていることが読み取れます。

3)財務キャッシュフロー(財務CF)

財務CFも一貫してマイナスで推移しています。これはマイクロソフト(Microsoft)が積極的な株主還元を行っている証拠です。2026年(FY26)1Qと2Qの合計はマイナス29,416百万ドルで、2025年(FY25)の通期実績マイナス51,699百万ドルに対して約56.9%の進捗です。本業で稼いだ資金を、将来への投資へ回して、余剰資金を株主に還元するという理想的な循環ができています。

(8)AI時代の覇者は持続的な成長に向けた

これまでの分析から、マイクロソフト(Microsoft)は、生成AIとクラウドサービスという次世代技術の主導権を握るために、過去最大規模の設備投資を行い、同時に売上高と利益を拡大させる経営を行っていることが分かります。

私は2026年(FY26)3Qの業績を、売上高を82,500百万ドル、営業利益39,000百万ドルになると予測しました。マイクロソフト(Microsoft)がさらなる成長を遂げると見ています。

企業の真価は、売上や利益という結果にだけ現れるのではありません。収益性、成長性、財務の安定性などから、立体的に捉えることが大切です。マイクロソフト(Microsoft)は巨額投資を継続しながら、営業利益率で高水準を維持し、自己資本比率も向上させています。「攻め」と「守り」を世界最高レベルで達成しています。今後は、データセンターへの投資を、どの程度のスピードで回収できるのか、そして継続的に実施されている株主還元とのバランスを注視していくことが重要になるでしょう。

 
岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。
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