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ポンド/円・豪ドル/円の5月見通し「介入騒動で円相場は荒い値動き クロス円も巻き込まれる可能性」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月のポンド/円ポジション動向
・5月の英国注目イベント
・ポンド/円 5月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月の豪ドル/円ポジション動向
・5月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 5月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 4月の推移

4月のポンド/円相場は189.995~200.515円のレンジで推移し、月間の終値ベース約3.2%上昇した(ポンド高・円安)。上旬はポンド高と円高が綱引きし、中旬は一転してポンド安と円安の綱引きとなったため、概ね190円から193円のレンジで方向感が出にくかった。英経済指標も12-2月週平均賃金が予想をやや上回った一方、3月消費者物価指数(CPI)が予想を僅かに下回るなどマチマチの結果で決め手を欠いた。

しかし、23日に発表された英4月購買担当者景気指数(PMI)でサービス業の景況感が大幅に改善したことなどから対ドルでポンドが下げ止まると、翌24日には193.60円台に上昇して3月に付けた年初来高値を更新。26日には日銀が円安対応の追加引締めを見送ったことで円売りが強まると一気に197円台へと上伸。翌29日にはリーマンショック直前の2008年8月以来となる200円台へと続伸したが、本邦政府・日銀による介入と見られる円買いで193円台半ばまで反落するなど、円相場主導で乱高下した。

始値 高値 安値 終値
190.982 200.515 189.995 197.136

出所:外為どっとコム

10日
米3月CPIが予想を上回ったことを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が9月に後ずれするとの見方が強まる中、ドル買いが活発化。ドル/円は上昇したものの、ポンド/ドルが下落する中でポンド/円にも下落圧力がかかった。

16日
英3月失業率は横ばいの4.0%、失業者数(失業保険申請件数)は1.09万人だった。12-2月の国際労働機関(ILO)失業率は4.2%と市場予想(4.0%)を上回り、6カ月ぶりの水準に上昇。12-2月の週平均賃金(除く賞与)は前年比+6.0%と前回(+6.1%)から伸びが鈍化したものの、市場予想(+5.8%)を上回った。

17日
英3月CPIは前年比+3.2%と市場予想(+3.1%)ほどには伸びが鈍化しなかった(前回+3.4%)。食品やエネルギーなどを除いたコアCPIも前年比+4.2%と市場予想(+4.1%)を上回った(前回+4.5%)。その後、英中銀(BOE)のベイリー総裁はインフレについて「来月の数字はかなり強力な低下を示すと見ている」との見解を示し「英国には独特の家庭用エネルギー料金設定制度があるからだ」と説明した。

19日
「イラン中部の都市イスファハンで大きな爆発があった」「シリアやイラクでも同時多発的に爆発が起きた」などとする報道をきっかけに中東の地政学リスクが意識されて、一時円を買い戻す動きが強まった。ただ、イラン高官が「イランに対するミサイル攻撃はなかった」「イスファハンの爆発音は防空システム発動によるもの」と説明したことなどから、対立激化を巡る過度な警戒感は後退した。なお、英3月小売売上高は前月比±0.0%と市場予想(+0.3%)を下回った。自動車燃料を除いた売上高は前月比-0.3%と予想(+0.3%)に反して減少した。

23日
英4月製造業PMI・速報値は48.7(予想50.4、前回50.3)、同サービス業PMI・速報値は54.9(予想53.0、前回53.1)だった。

26日
日銀は政策金利を0~0.10%に維持。長期国債の買い入れも月6兆円を目途とする方針を維持した。植田総裁は会見で「当面、緩和的な金融環境が続くと考えている」「基調的な物価上昇率に、円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」などと述べた。日銀が円安への対応を協議するとの観測報道が相次いでいたが、そうした動きは全く見られなかったことから円売りが強まった。

29日
昭和の日の祝日で薄商いの中、ストップロスの誘発を狙った仕掛け的な円売りと見られる動きでドル/円が急上昇するとポンド/円も2008年8月以来の高値となる200.52円前後まで急伸。しかしその後は日本政府・日銀による介入と見られる円買いが断続的に入り193円台まで反落した。なお、財務相の神田財務官は「介入の有無について申し上げることはない」としながらも「投機による激しい異常とも言える変動が国民経済に与える影響を看過できない」「必要に応じて適切な対応をする」「介入かどうか申し上げないが24時間365日、平時であっても対応できる」などと述べた。

4月の各市場

4月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

5月の英国注目イベント

ポンド/円 5月の見通し

英中銀(BOE)のベイリー総裁は4月17日の講演で、インフレについて「来月の数字はかなり強力な低下を示すと見ている」と発言した。5月9日の金融政策委員会(MPC)でいきなり利下げに動く事はなさそうだが、MPC後の会見でベイリー総裁がインフレについて4月と同様の見解を示せば利下げ前倒し観測が高まる可能性はあろう。政策発表と同時に示される金融政策報告書のインフレ見通しにも注目したい。

なお、同報告書では2024年の第2四半期にインフレ率が一時的に目標の2%まで低下する一方、第3四半期、第4四半期に再び上昇し、2024年末までに約2.75%となると予測していた。現在(5月2日時点)のところ、市場は9月の利下げ開始をほぼ100%織り込んでおり、8月が8割程度、6月は3割強の織り込みとなっている。BOEのMPCを経て織り込みがどのように変化するかがポンド相場の目先的な焦点となるだろう。

また、当然ではあるが5月22日に発表される英4月消費者物価指数(CPI)への注目度も高い。英政府が4月にエネルギー価格の上限を引き下げたことから伸びは鈍化すると見られるが、ベイリーBOE総裁の予言通りに「強力な低下」となるか注目したい。なお、3月のCPIは前月比+0.6%、前年比+3.2%だった。

 他方、円相場は政府・日銀による円買い介入騒動で荒い値動きが続いている。介入が常態化する公算は小さいと見るが、仮にドル/円が160円に接近した場合は再介入の可能性が高まるだろう。ポンド/円も巻き込まれて乱高下する可能性があるため注意が必要だ。
(予想レンジ:190.000~200.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 4月の推移

4月の豪ドル/円相場は97.778~104.947円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約3.7%上昇した(豪ドル高・円安)。中国経済を巡る過度な懸念が後退する中、豪ドルは買いが先行。9日には豪ドル/米ドルの上昇とともに豪ドル/円も100.80円前後へと強含んだが、10日の米3月消費者物価指数(CPI)が上振れるとドル高主導で反落した。19日にはイランとイスラエルの対立激化が懸念される中、97.78円前後まで下落する場面もあった。

しかし、その後は24日の豪1-3月期CPIがサービスインフレのしつこさを示すと豪中銀(RBA)の利下げ観測が後退したため101円台へと反発。さらに26日は日銀が円安対応の追加引締めを見送ったことから円売りが強まると一気に103円台へと上伸。週明け29日には仕掛け的な円売りで2013年4月以来11年ぶりに104.95円前後まで上値を伸ばしたが、本邦政府・日銀による介入と見られる円買いで一時101円台へ反落するなど乱高下した。結局、前月終値より3.65円高い102.16円前後で4月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
98.600 104.947 97.778 102.163

出所:外為どっとコム

2日
RBAは3月理事会の議事録を公表。政策見通しについては「将来のキャッシュレート(政策金利)の変更を選択肢に入れることも排除することも困難とするのが適切」との見方で一致したとした。なお、議事録には利上げを支持する議論への言及はなかった。

10日
米3月CPIが予想を上回ったことを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が9月に後ずれするとの見方が強まる中、ドル買いが活発化。ドル/円は上昇したものの、豪ドル/米ドルが下落する中で豪ドル/円にも下落圧力がかかった。長期金利の上昇を嫌気して米国株が下げたことも豪ドルの重しとなった。

16日
中国1-3月期国内総生産(GDP)は前年比+5.3%と市場予想(+4.8%)を上回った。一方、同時に発表した3月鉱工業生産は前年比+4.5%(予想+6.5%)、3月小売売上高は前年比+3.1%(予想+4.8%)といずれもさえない結果だった。

18日
豪3月雇用統計で、新規雇用者数は0.66万人減と市場予想(1.00万人増)に反して減少。失業率は3.8%と予想(3.9%)は下回ったものの、前月(3.7%)から上昇した。労働参加率は66.6%に低下した(予想、前月ともに66.7%)。

19日
「イラン中部の都市イスファハンで大きな爆発があった」「シリアやイラクでも同時多発的に爆発が起きた」などとする報道をきっかけに中東の地政学リスクが意識されて、一時円を買い戻す動きが強まった。ただ、イラン高官が「イランに対するミサイル攻撃はなかった」「イスファハンの爆発音は防空システム発動によるもの」と説明したことなどから、対立激化を巡る過度な警戒感は後退した。

24日
豪1-3月期CPIは前期比+1.0%、前年比+3.6%と市場予想(+0.8%、+3.5%)を上回った。コアCPIにあたるトリム平均は前年比+4.0%と10-12月期(+4.2%)から鈍化したものの、市場予想(+3.8%)を上回った。サービスインフレの根強さが浮き彫りになったことでRBAが年内に利下げを行うとの観測が後退した。

26日
日銀は政策金利を0~0.10%に維持。長期国債の買い入れも月6兆円を目途とする方針を維持した。植田総裁は会見で「当面、緩和的な金融環境が続くと考えている」「基調的な物価上昇率に、円安が今のところ大きな影響を与えているということではない」などと述べた。日銀が円安への対応を協議するとの観測報道が相次いでいたが、そうした動きは全く見られなかったことから円売りが強まった。

29日
昭和の日の祝日で薄商いの中、ストップロスの誘発を狙った仕掛け的な円売りと見られる動きでドル/円が急上昇すると豪ドル/円も2013年4月以来の高値となる104.95円前後まで急伸。しかしその後は日本政府・日銀による介入と見られる円買いが断続的に入り101円台まで反落した。なお、財務相の神田財務官は「介入の有無について申し上げることはない」としながらも「投機による激しい異常とも言える変動が国民経済に与える影響を看過できない」「必要に応じて適切な対応をする」「介入かどうか申し上げないが24時間365日、平時であっても対応できる」などと述べた。

30日
豪3月小売売上高は前月比-0.4%と市場予想(+0.2%)に反して減少。物価高を背景に消費者が支出を控えたと見られる。

4月の各市場

4月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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5月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 5月の見通し

豪中銀(RBA)は5月7日に政策金利を発表する。前回3月会合で引き締めスタンスを弱めて「おおむね中立」のスタンスを示しており、今回も政策金利は4.35%に据え置かれる可能性が高い。

ただ、4月24日に発表された豪1-3月期消費者物価指数(CPI)は予想ほどには伸びが鈍化しなかったことから、インフレへの警戒姿勢は維持すると見られ、いくぶんタカ派寄りに傾斜する余地はありそうだ。なお、RBAがコアインフレとして重視するトリム平均CPIは前年比4.0%と高止まりしており、サービスインフレの粘着性を示している。

他方、豪州の景気にはやや息切れ感が出ており、経過を観察したい。3月雇用統計は2月の大幅増の反動があったとはいえ新規雇用者数が減少に転じた。また、3月小売売上高は予想に反して減少した。5月に発表される1-3月期賃金指数(15日)や4月雇用統計(16日)および4月小売売上高(28日)、4月CPI(29日)などの経済指標に注目だ。

 RBAの中立スタンスに目立った変化がなければ、豪ドル相場自体に明確な方向感が出にくい地合いも続くと見られる。それだけに、このところ介入騒動などで荒い値動きが続く円相場の動向が、豪ドル/円のカギを握ることも考えらえる。仮にドル/円が再び160円に接近するようなら、あらためて円買い介入が発動される可能性もあろう。豪ドル/円も一時的せよ急落に巻き込まれる可能性があるため注意が必要だろう。
(予想レンジ:98.000~105.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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