このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
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メキシコ3年ぶり利下げ、日本は17年ぶり利上げを決定
メキシコ中銀は先週21日、政策金利を11.25%から11.00%へと引き下げ、3年ぶりの利下げに踏み切った。ただ、声明で「慎重な金融政策運営を続けるに値する課題やリスクが残っている」として利下げサイクル(連続的な利下げ局面)入りは否定した。他方、日銀は19日にマイナス金利の解除を決めて17年ぶりの利上げに踏み切ったが、植田総裁は「緩和的な金融環境は当面維持される」として追加利上げを急がない姿勢を強調した。
慎重利下げVS慎重利上げでペソ高・円安維持
メキシコ中銀の「慎重な利下げ」は高金利通貨としてのペソの地位を揺るがすものではなかった一方、日銀の「慎重な利上げ」では低金利通貨としての円の弱みを払拭できなかった。結果的に、依然として大きい金利差に逆らってまでペソ売り・円買いに動く向きはほとんどいなかったと見られる。ペソ/円は日銀利上げの翌日20日に15年5カ月ぶりの高値となる9.078円前後まで上昇。メキシコ中銀の利下げ後も9.0円台をほぼ維持している。
一部に追加利下げと追加利上げの思惑も
ただし、市場の一部にはメキシコ中銀が次回5月10日の会合で追加利下げに動くとの見方や、日銀が7月にも追加利上げに動くとの観測がくすぶっている。今後、日墨金利差が有意に縮小するとの見方が強まるようなら、ペソ安・円高に相場の流れが転換することも考えられるだけに、両中銀の動向をこれまで以上に丁寧に確認する必要があるだろう。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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