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ポンド/円・豪ドル/円の3月見通し「日銀マイナス金利解除は4月の公算 クロス円への影響は?」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のポンド/円ポジション動向
・3月の英国注目イベント
・ポンド/円 3月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月の豪ドル/円ポジション動向
・3月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 3月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 2月の推移

2月のポンド/円相場は185.234~191.311円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.6%上昇した(ポンド高・円安)。

英中銀(BOE)は1日の金融政策委員会(MPC)で利上げの打ち止めを示唆したものの、2名の委員が利上げを主張していたほか、ベイリー総裁が早期利下げに否定的な見解を示したことから185.23円前後で下げ止まると、その後は持ち直しの動きが鮮明となった。

内田日銀副総裁がマイナス金利解除後も緩和的な金融状況が続くと述べたことがハト派的と受け止められると8日には円売り主導で188円台を回復。13日にはドル/円の150円台への上伸に加え、英10-12月の週平均賃金が予想を上回る伸びとなったことで一時190円台に続伸した。

15日は英10-12月期国内総生産(GDP)・速報値が2四半期連続のマイナス成長となったことでポンド売りに傾いたが、翌16日には英1月小売売上高の大幅な伸びを受けて反発。その後も堅調推移が続き、22日に再び190円台に乗せると26日には191.31円前後まで上値を伸ばして2015年8月以来の高値を付けた。

ただ、月末にかけては伸び悩む形となり、29日には高田日銀審議委員の「物価目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」との発言をきっかけに円に買い戻しが入り190円台を割り込んで2月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
186.214 191.311 185.234 189.334

出所:外為どっとコム

1日
BOEは大方の予想通りに政策金利を5.25%に据え置いた。声明では「政策金利を現在の水準にどの程度維持すべきか検討する」とし、従来の「一段の引き締め」が必要になるとの文言を削除した。議事録ではMPC9人のうち6人が据え置きに賛成。2人は25bp(0.25%ポイント)の利上げを主張し、1人は25bpの利下げを主張したことがわかった。

また、同時に公表した金融政策報告書で24年のインフレ見通しを2.75%とし、前回の3.25%から下方修正した。ベイリー総裁は、インフレは「正しい方向に進んでいる」としながらも、「仕事が終わった」わけではないと強調。「インフレが目標の2%まで低下し、その水準にとどまるという証拠を利下げ前に見極める必要がある」と述べた。

2日
BOEのピルMPC委員は、今後数カ月の間にインフレ率が外的要因によって2%の目標に回帰した場合でも、BOEはそれが一時的なことを見抜く必要があると指摘。その上で「政策金利の引き下げが可能となる時期はまだしばらく先だ」との見解を示した。

5日
英国立統計局(ONS)は、昨年9-11月の失業率を試験的に公表していた推計値の4.2%から3.9%へ大幅に下方修正した。なお、ONSは新型コロナウイルスの影響で回答率が低かったため昨年10月に家計労働力調査の公表を中止し、以降は代わりに税などのデータを用いて試験的な推計値を公表している。

13日
英1月失業率は4.0%、同失業保険申請件数は1.41万件であった(前回4.0%、0.55万件)。英10-12月の国際労働機関(ILO)基準の失業率は3.8%で市場予想(4.0%)を下回り、9-11月(3.9%)から低下した。同週平均賃金(除賞与)は前年比+6.2%と前回(9-11月:+6.7%)から伸びが鈍化したものの、市場予想(+6.0%)は上回った。

14日
英1月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%と市場予想(+4.1%)を下回り、伸び率は前月から横ばいだった。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも前年比+5.1%と横ばいだったが市場予想(+5.2%)は下回った。

なお、その後BOEのベイリー総裁はCPIについて「先月は予想をやや上回り、今月は予想をやや下回った」として「プラスマイナスはほぼゼロに戻った」との見解を示した。その上で1月CPIについては「あり得たかもしれない数字に比べて、明らかに励みになる」と語った。

15日
英10-12月期GDP・速報値は前期比-0.3%と予想(-0.1%)を下回り、7-9月期(-0.1%)に続きマイナス成長となった。英12月鉱工業生産は前月比+0.6%と予想(-0.1%)に反して上昇。英12月貿易収支は139.89億ポンドの赤字と、赤字額は市場予想(149.00億ポンド)より少なかった。なお、ハント英財務相はGDPの結果を受けて「英国経済は曲がり角に差し掛かっている兆しがある」と指摘した。

16日
英1月小売売上高は前月比+3.4%と市場予想や前月(+1.5%、-3.3%)を大幅に上回った。英小売り各社が値引きをしたことが消費者の購買意欲上昇につながったと見られる。

20日
ベイリーBOE総裁は議会下院で「市場は年内に複数回の利下げがあると考えている。市場が織り込む金利のカーブを承認することはしない」としつつも「市場がそう考えるのは理不尽ではない」との見解を示した。また、「利下げの前にインフレ率が目標に達する必要がないのは明らかだ。極めて明確にしておく」と語った。2四半期連続でマイナス成長となったGDPについては「極めて軽微なリセッション(景気後退)だ」と指摘。「経済が上向いた明らかな兆し」があると主張した。

22日
英2月製造業PMI・速報値は47.1と市場予想(47.5)を下回った一方、同サービス業PMI・速報値は54.3と予想(54.1)をやや上回った。

2月の各市場

2月のポンド/円ポジション動向

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3月の英国注目イベント

ポンド/円 3月の見通し

2月のポンド相場は、対円では上昇したが、対ドルでは小幅に下落、対ユーロでは小幅に上昇とマチマチの動きであった。つまり、2月のポンド/円の上昇はそのほとんどが円安によるものだったと言うことができる。

なお、英国経済は国内総生産(GDP)成長率が2四半期連続でマイナスとなり、定義上の景気後退局面にあることが確認された。にもかかわらず、英中銀(BOE)のベイリー総裁は「英経済が上向いた明らかな兆しがある」との認識を示して早期の利下げに距離を置く考えを強調している。

2月の金融政策委員会(MPC)で利上げを主張した委員が2人もいたことを踏まえると、BOEは3月21日のMPCでも早期利下げに否定的な見方を示す公算が大きいだろう。英経済を巡る不透明感とBOEの政策金利高止まりへの期待が交錯する形でポンド相場は3月も方向感を欠く動きが続きそうだ。

そうなると3月も円相場の動きがポンド/円相場のカギを握ることになりそうだ。高田日銀審議委員の発言(2月29日)で一時高まった3月19日のマイナス金利解除観測は、内田副総裁(2月8日)と植田総裁(3月1日)の発言によってほぼ否定された。3月中、もしくは4月初めに日本政府がデフレ脱却を宣言したのち、日銀が4月25-26日の会合でマイナス金利を解除すると見るのが自然だろう。

そもそも、仮に日銀がマイナス金利を解除しても円が絶対的な低金利通貨であることに変わりなく、物価を加味した実質金利がマイナスである点も不変なことから、円相場を押し上げるには力不足と言わざるを得ない。3月も円安主導でポンド/円が強含みやすい地合いが続くと見ており、場合によっては2015年6月に付けた195.80円台の高値を試す可能性もあると見ている。
(予想レンジ:187.000~195.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 2月の推移

2月の豪ドル/円相場は95.502~99.052円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.0%上昇した(豪ドル高・円安)。

1日には上海株の続落などを背景に95.50円前後まで下落する軟調なスタートとなった。しかし、豪中銀(RBA)が6日の理事会で追加利上げに含みを持たせたことや、日銀の内田副総裁が8日に、仮にマイナス金利を解除しても緩和的な金融状況が続くと発言したことで豪ドル買い・円売りが優勢となり97円台を回復。その後もじりじりと上値を伸ばして16日には2カ月半ぶりに98円台に乗せた。

ただ、この間13日には米1月消費者物価指数(CPI)の上振れを受けてドル買いが強まると豪ドル/米ドルが3カ月ぶりの安値に沈むなど、対ドルでの豪ドル安が重しとなり豪ドル/円の上昇ピッチは緩やかだった。もっとも、その後豪ドル/米ドルが下げ止まると、22日には日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新して3万9000円台に上昇する中で99円台にタッチ。翌23日には2014年12月以来の高値となる99.05円前後を付けるなど続伸した。月末に向けてはNZドルの下落や円の買い戻しを背景に調整が入り97.44円前後で2月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
96.467 99.052 95.502 97.442

出所:外為どっとコム

5日
豪12月貿易収支は109.59億豪ドルの黒字と、黒字額は市場予想(105.00億豪ドル)をやや上回った。輸入が前月比4.8%増加したため、貿易黒字は11月(117.64億豪ドル)から縮小した。

6日
RBAは政策金利を予想通りに4.35%に据え置いた。声明で「最近の指標はインフレが鈍化していることを示しているが、インフレ率は依然として高い。理事会はインフレ率が持続的に目標レンジに向かうと確信する必要がある」と表明。その上で「インフレが合理的な期間内に目標に戻ることを最も確実にする金利の道筋はデータと今後のリスク評価次第だ。追加利上げの可能性は排除できない」とした。

同時に発表した金融政策報告で、政策金利が年末に3.9%、来年末に3.4%になるとの見通しを示し、今年から来年にかけて緩やかなペースで利下げを行うことを示唆した。ブロック総裁はその後の記者会見で「インフレで良い進展があるが、仕事は終わっていない」「利下げには消費者物価指数(CPI)が持続的に2.5%に達する確信が必要だ」などと述べた。

9日
ブロックRBA総裁は議会証言で「インフレの最近の動向は心強い」「勇気づけられる兆候もあるが、オーストラリアのインフレ問題は終わっていない」としてインフレ鈍化を歓迎しつつも警戒を続ける姿勢を示した。その上で「現段階で理事会はさらなる利上げを否定はしていないが、認めたわけでもない」と述べた。

15日
豪1月雇用統計は、新規雇用者数が0.05万人増にとどまり、市場予想(2.50万人増)を大きく下回った。失業率は4.1%と前月(3.9%)から上昇して市場予想(4.0%)以上に悪化した。労働参加率も66.8%と前月から横ばいで市場予想(66.9%)に届かなかった。

20日
RBAは2月6日に開いた理事会の議事録を公表。「25bp(0.25%ポイント)の利上げも検討したが、インフレ動向の進展や労働市場の逼迫が予想以上に速いペースで緩和していることを踏まえて金利据え置きを決定した」と明らかにした。「インフレが目標水準に戻ることを確信するには、まだ時間が必要」とした上で「経済見通しがかなり不透明で、高インフレが根強いことから、追加利上げの可能性を排除しないことが適切との見解で一致した」と表明した。

21日
豪10-12月期賃金指数は前年比+4.2%と市場予想および7-9月期(+4.1%)を上回り、15年ぶりの高い伸びとなった。

28日
豪1月CPIは前年比+3.4%と市場予想(+3.6%)を下回った。伸び率は前月から横ばいだった。CPIを受けた豪ドル売りは一時的だったが、その後NZ中銀(RBNZ)が政策金利を据え置いたことでNZドルが下落すると豪ドルもつれ安した。

29日
豪1月小売売上高は前月比+1.1%と市場予想(+1.5%)には届かなかったが12月の-2.1%から大きく改善した。豪10-12月期民間設備投資は前期比+0.8%と予想(+0.5%)を上回り7-9月期の+0.3%から伸びが拡大した。ただ、豪ドルの反応は限定的で、その後日銀の高田審議委員が「物価安定目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」と発言したことをきっかけに円買い主導で下落した。

2月の各市場

2月の豪ドル/円ポジション動向

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3月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 3月の見通し

2022年10-12月期に前年比+7.8%まで伸びが加速していた豪州のインフレ率は23年10-12月期に+4.1%へと鈍化した。これについては豪中銀(RBA)のブロック総裁も「心強い」と歓迎の意向を示している。

一方で23年10-12月期の賃金上昇率は前年比+4.2%と15年ぶりの高水準を記録。賃金の伸びが物価の伸びを上回る中、ブロック総裁は「インフレ問題はまだ終わっていない」として警戒態勢を維持している。RBAとしては現在の引き締めスタンスを即座に撤回するのが難しい状況であろう。RBAは3月19日の理事会でも追加利上げの可能性に含みを残しつつ様子を見る姿勢を示す公算が大きいと見る。

市場は現在、RBAが6月に利下げに転じる確率を5割強と見ているが、これが3月中に大幅に上昇したり低下したりすることは考えにくい。その意味では、豪ドル相場も3月中は上値、下値ともに限定された値動きが続きそうだ。 仮に、3月中に豪ドル相場が大きく変動するとすれば外部要因の影響を強く受けた場合であろう。史上最高値の更新が続いている日・独・米の株価が何らかのきかっけで大きく調整するようなら豪ドルにも下落圧力がかかる可能性があるため注意が必要だろう。

他方、不動産問題などで低迷が続く中国経済は、政府が支援を一段と強化する姿勢を示しており、5日開幕の全国人民代表大会(全人代)では、今年の成長目標を昨年と同じ5%に設定した上で経済戦略を発表すると予想されている。「バズーカ砲」級の刺激策は期待薄との見方もあるが、「ポジティブ・サプライズ」を期待する声も少なくない。豪ドルにも「ポジティブ・サプライズ」が起きるか念のため注目しておきたい。
(予想レンジ:96.000~99.750円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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