執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年3月1日 15時30分
対円では堅調、イベントレスで円が相場を主導か
2月26日週のユーロ/円、ポンド/円は調整主導で下落
株高・円安の流れからユーロ/円は163.715円、ポンド/円は191.311円まで上値を広げたものの、日銀金融政策を巡り早期修正への思惑から、ユーロ/円は161.678円、ポンド/円は189.049円まで各々下落しました。もっとも、植田日銀総裁の軌道修正発言も飛び出して下落幅を縮めるなど、方向性が定まりづらいところもありました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECB理事会は無風通過も
先日公表された10-12月の妥結賃金は前年比4.46%と賃金の伸びがピークアウトし、当局の利下げに追い風が吹き始めている兆候が見られました。ただ、依然として賃金の伸びが強いとの認識で、ECBは利下げに対し慎重姿勢を崩していません。5 月に公表される2024 年1-3 月期のデータなどから、目標達成を確認できると確信できれば利下げに踏み切る考えのようです。それまでは、ファンダメンタルズを確認しながら現行の政策スタンスを維持しそうで、利下げ時期に対する新たな材料は提示されないでしょう。ただ、QT(量的引き締め)や短期市場調節の方針を巡る議論の行方によっては、ユーロが強含むかもしれません。
ユーロ/円は、2月1日安値(158.080円)からの上昇幅の38.2%押しのレベルで踏み止まっており、上昇チャネルの中を底堅く推移しています。2月26日から29日にかけての下落幅の61.8%戻しとなる162.94円付近で頭が抑えられれば、161円割れを試す展開が意識されますが、同抵抗を突破してくれば、165円を目指しそうです。163.00円手前の動向が目先、ポイントになりそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:160.000-165.000
ポンド円、押し目拾い
英国経済はテクニカルリセッションとなり、先行きに対する不透明感はなくなっておらず、英経済に対しては控えめな見方にしかなりません。もっとも、賃金の上昇で個人消費の改善は期待できそうで、発表されるサービス業PMIから内需拡大への期待が広がれば、ポンドには追い風が吹くかもしれません。それでも、対ドルでは直近のレンジをブレイクしてくるだけの材料が出てくるとは考えづらく、ポンド/円は円中心の相場展開になるのではないでしょうか。
ユーロ/円と同じように、ポンド/円も21日線が支持線に下げ渋る格好になっています。日足一目均衡表・基準線(188.273円、執筆時点)をバックにまずは買い目線で参入ポイントを探りたいと思います。ただし、日足基準線を割り込んできたら、無理せずポジションを決済して、次なる方向性を確認したいです。上方向は、2月26日高値(191.311円)を起点とするV計算値の193.57円付近が一つの目途になりそうです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:187.000-194.000
3/4 週のイベント:
一言コメント
市場の値動きについていけてません。日銀の政策修正期待を高める発言があったかと思えば、それを微調整する発言が流れるなど、激し過ぎる展開にへとへとです。
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