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CFDでの原油取引とは?投資初心者は知っておくべき原油投資の特性

 原油は世界経済にとって非常に重要な資源です。現代のエネルギー源の大部分を占め、交通、製造、加熱、電力生成などに広く利用されています。また、原油からは多くの製品が生産され、プラスチックから薬品、化粧品まで日常生活のあらゆる側面に影響を与えています。その価格変動のリスクを抑えるため、もしくは利益を得るために原油は先物取引の対象となってきましたが、実はCFDでも売買することができます。ここでは原油CFD投資について紹介いたします。

一般的な原油先物取引の投資対象

 原油先物取引はいくつかの種類があり、それらは主に取引される地域や特定の原油の品質に基づいて区別されます。以下は最も一般的な原油先物の種類です。

1)ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)

 米国のテキサス州で生産される高品質の軽原油で、主にニューヨーク商品取引所(NYMEX)で取引されます。WTIは、特に北アメリカでの価格ベンチマークとして使用されます。

2)ブレント原油

 北海で生産される軽原油で、特に国際市場での価格指標として重視されています。ブレント原油先物はロンドンのICE(インターコンチネンタル取引所)で取引されています。

3)ドバイ原油

 中東で生産される重質の硫黄分が多い原油で、アジア市場における価格ベンチマークとして一般的です。
 これらの原油価格は世界の経済成長と国際政治にも密接に関連しているため、需要と供給の変動や政治的イベントによって大きく変動します。企業や投資家は、これらの価格変動から自身を守るためのツールとして、リスクヘッジ手段として、先物取引を活用するようになりました。

原油先物取引とは

 先物取引とは未来の買い物の約束のようなものです。例えば「(4月に)9月末の運動会の日に、ジュースを100円で購入します」という未来の約束と似ています。
  原油先物取引では、「将来のある日に、決められた価格で原油を売買する」と約束します。この「将来のある日」とは先物取引の満期日のことで、この日になって決められた価格で取引が成立します。先物取引では実際の原油が受け渡されるのではなく、満期日の時価と決められた価格との差額の受け渡しで決済されます。

 原油価格は大きく変動するので、先に価格を決めておくと、お金の計算がしやすくなります。例えば、ある会社が「来年の1月に、1バレル(原油の単位)あたり50ドルで原油を買う」と約束すれば、その会社は来年1月になっても、約束した通りの価格で原油を買う見通しがたちます。

先物取引とCFDの違い

 ただ、この満期日の存在によって、先物取引はCFDよりも柔軟性と短期取引の利便性が損なわれてしまうことがあります。
 先物取引では満期日には一旦決済しなければなりません。特に市場の変動が激しい時期には、投資家にとって大きなリスクになり得ます。
 
一方、CFDには満期日は存在しません。投資家は市場の状況に応じて、任意のタイミングでポジションを閉じることができます。この柔軟性により、CFD取引は市場の急激な変動に迅速に対応することが可能で、特に短期間での市場変動を利用しようとするトレーダーにとって有利です。

 満期日の存在は、先物取引が長期的な投資やヘッジング戦略に適している一方で、市場の急変時には不利な状況を生み出す可能性があります。この点で、CFD取引は特に柔軟性と短期取引の利便性において先物取引に優れていると言えます。
 その他、CFDには少額の資本で取引を始めることができるというメリットがあります。レバレッジを使って投資金以上の取引ができることは先物取引でも可能なのですが、CFDの証拠金のほうが少ないため、より少額の資本で取引を始められます。
 もちろん、証拠金を使ったレバレッジ取引のため、大きな利益が得られる可能性がある一方で、同じくらいのリスクも負うことになります。原油市場の変動は大きいため、予期せぬ損失を被る可能性もあります。

原油への投資戦略

 原油投資で利益を出すには、市場の動向を理解し、適切なリスク管理を行うことが不可欠です。市場のニュースを追跡し、経済指標や政治的な出来事に常に注意を払う必要があります。以下のポイントをおさえておくといいでしょう。

1)世界経済の成長

  経済成長はエネルギー需要を増加させ、原油価格にプラスの影響を与えます。

2)政治的・地政学的リスクの顕在化

 戦争、紛争が起こると原油価格は通常上昇する傾向があります。これは、戦争や紛争が原油の生産国や輸送路に影響を与え、供給の不安定化や中断を引き起こす可能性があるためです。また戦争・紛争は投資家の不安を高めるため価格のボラティリティが高まる傾向があります。

3)米FRBの政策金利

 原油価格の上昇はインフレ率の上昇と関連しており、FRBはインフレ率対策として政策金利を調整しています。FRBが利下げをした場合は、企業や個人の借入コストが下がるため、消費と投資を刺激することになり、経済活動を促進させます。これによってエネルギー需要が増加し、原油価格にプラスの影響を与えます。また、利下げは通常、ドルの価値を下げます。原油はドルで取引されるため、ドル安は原油の相対的な価格を上昇させます。

4)OPECプラスの動向

 石油輸出国機構(OPEC)のメンバー国と、OPECに非加盟の主要な石油生産国(ロシアを含む)の協力体制であるOPECプラスは、原油市場の安定化を目指し、生産力の調整などの合意形成を行います。OPECプラスは世界の原油供給に大きな影響を与えるため、原油価格や国際エネルギー市場におおきな役割を果たしています。

5)米国シェール産業の動向

 米国のシェールオイル生産拡大は、世界的な原油供給を増加させ、供給過剰の状況を生み出すことがあります。米国シェール産業の台頭により、OPECの市場における影響力が小さくなってきています。シェール産業による生産能力の調整は、市場の需給バランスを安定させ、価格の急激な変動を抑制しています。

6)米国政府の市場介入

 ガソリン価格の高騰は市場の不満を高め、米国政府への対応が期待されます。米国政府の市場介入も石油価格に大きな影響を与えます。

初心者向けCFD原油投資のステップ

 初心者が原油に投資する場合、上記のマクロニュースに注目し、理解することが必要ですが、それに加えてテクニカル分析も学んでおくとよいでしょう。
 原油市場は地政学的要因や経済指標に敏感に反応するため、マクロニュースを追うことは重要ですが、テクニカル分析を行うことで、市場のトレンドや価格のサポート・レジスタンスレベルを理解し、より精密な投資判断が可能になります。テクニカル分析は、マクロニュースを内包した価格動向や市場のセンチメントを読み解くための貴重なツールであり、初心者でも基本的な概念を学ぶことで投資の質を高めることができます。
 また、CFD取引は小額から原油投資を始めることができます。まずは少額から始めて石油の価格変動に慣れ、徐々に経験を積んでからポジションサイズを増やすことが推奨されます。

まとめ

 CFDを通じた原油投資は、柔軟性が高く、少額から始めることができるため、初心者にとって魅力的なオプションです。しかし、高リスクを伴うため、常にマクロニュースに注目し、市場の理解を深め、テクニカル分析の知識をもって賢くリスクを管理することが重要でしょう。

 
岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。