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天然ガスCFDはこんな投資!

 

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が 保証するものではありません。

 地球温暖化を防ぐため、温室効果ガスの排出削減は国際社会の共通課題です。日本政府も2020年に、「2050年までに『カーボンニュートラル』な社会の実現」を宣言しています。そのため石炭や石油に比べて二酸化炭素などの排出量が少ない「天然ガス」は「低炭素エネルギー」として高い注目を集めてきました。CFDを利用すると、原油などと同じように、天然ガスにも少額から投資が可能です。この天然ガスはどのような特徴を持つエネルギーなのでしょうか。

天然ガスとは

石炭や石油と同じ化石燃料

 天然ガスも石炭や石油と同じ化石燃料です。地中から噴出する可燃性の気体で、メタンを主成分としています。揮発性が高く、常温では急速に蒸発します。天然ガスは無臭なので、一般用に提供される場合は、「ガス漏れ」がわかるようにするために、わざと臭いがつけてあります。

環境汚染物質が少ない

 天然ガスが注目を集めている最大の理由は、石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出量が低いことです。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2013」によると、石炭を基準(100)すると天然ガスの二酸化炭素(CO2)排出量は60。光化学スモッグの原因となる窒素酸化物(NOx)は40です。また、酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SOx)にいたってはゼロです。

(「エネルギー白書2013」より作成)
温室効果ガス排出を削減する上で、石炭や石油よりもメリットのある天然ガスの需要は、世界各国が石炭など化石燃料の段階的な利用廃止と、再生可能エネルギーへの移行を目指す中、移行期間を支える代替エネルギーとして、今後さらに需要が増えることが見込まれています。

天然ガスの輸送方法

 天然ガスの輸送方法は2つです。地理的に近い場合は、気体のまま地上や海底に敷設されたパイプラインを使って送られます。もうひとつは-162°Cまで冷却することで、気体は液体となります。これが液化天然ガス(LNG)です。容積も1/600になるので、LNGタンカーで遠隔地まで大量に輸送することが可能になりました。  

 日本でも新潟県や千葉県で天然ガスが生産されていますが、2022年の生産量は約23億㎥で国内供給量の2.2%にしか過ぎません。島国である日本は国内で消費する90%以上の天然ガスをオーストラリアやマレーシアなどからの輸入に頼っており、LNGタンカーによって運搬されています。世界のLNGの約70%はアジアの国々が輸入していて、中でも中国の需要が急速に伸びています。現在では日本と肩を並べるほどの輸入量となっています。

 これに対してヨーロッパでは天然ガス輸送のパイプラインが網の目のように整備されており、ロシアや北海から大量の天然ガスがパイプラインを使って供給されています。  

天然ガスの価格決定要因

 エネルギー資源である天然ガスの価格は需給バランスが最大の決定要因となります。どのようなことが需給バランスに影響を与えるのか、把握しておくことが大切です。


米国エネルギー情報局(EIA)の公表データから著者作成

※1米ルイジアナ州にある天然ガス集積地。ここで売買される天然ガスの価格がNYMEXの先物価格の指標値になる
※2Btuは英国熱量単位(British thermal unit)の略称。1ポンドの水の温度を1°F上昇させるのに必要な熱量を示す。天然ガスの取引で使われる単位。天然ガスでは1百万Btu=0.021トン(25㎥)に相当

1)地政学的リスク

 2022年2月末にロシアとウクライナの間に勃発した紛争は、天然ガスの価格に大きな影響を与えました。ヨーロッパで消費される天然ガスの約1/3はロシア産で、ウクライナを経由するパイプラインで供給されています。紛争でヨーロッパ中に「天然ガスの供給が足りなくなるかもしれない」という懸念から短期的な需給バランスが崩れ、天然ガスの価格は一時急騰。その後、「エネルギー危機」に備えるために、天然ガスの需要が高まり、夏にかけて価格は上昇しました。このように戦争や紛争、産出国の政情不安など「地政学的リスク」は天然ガスの価格に大きな影響を与えます。

2)季節変動

 2022年に価格が高騰した天然ガスですが、2023年春にかけてヨーロッパは予想外の暖冬となり、ヨーロッパでは冬場の天然ガス不足が回避されたことで、天然ガスの価格は下落しました。このように猛暑や冷夏、暖冬や厳寒のような気候は、オフィスや家庭の冷暖房需要に大きな影響を与えます。

3)備蓄・貯蔵

 ヨーロッパなどでは、枯渇したガス田や油田などを使った地下貯蔵施設に天然ガスは貯蔵されています。夏季と冬季の需要変動を吸収し、ピーク時の供給を確保することで安定的に供給するためです。この貯蔵状況が天然ガスの価格に影響を与えます。貯蔵が十分に確保されていれば、価格下落要因になりますし、不足すれば、価格上昇の要因になります。

4)景気動向

 エネルギー価格と景気の動向は密接な関係にあります。経済が回復し、景気が良くなると、工業製品の生産などが増えるため、石炭、原油、天然ガスなどのエネルギー需要が高まり、価格上昇の要因になります。

5)その他の化石燃料の需給

 天然ガスは長年にわたって、石炭、石油に次ぐ3番目エネルギー源でした。石炭や石油の需給バランスに変化があると、その過不足分の調整役を果たしながら、着実にシェアを伸ばしてきました。天然ガスは石炭や石油の需給動向の影響を受けやすい特徴を持っています。当然その価格にも影響が出ます。

(資源エネルギー庁 エネルギー白書2022より)

天然ガスCFDに投資する際は、上述したような価格変動要因に注意しながら行うようにしましょう。

天然ガスCFDのメリットと注意点

 さて、ここまで天然ガスの特徴についてみてみきました。天然ガスはCFD以外にも、ETFなどで投資することができますが、天然ガスCFDで投資した場合の最大のメリットは、まずレバレッジが利用できることでしょう。これにより少額で大きな取引をすることができるようになります。そして、ETFでは信託報酬の費用と発生しますが、CFDにはありません。売買手数料はかからず、スプレッドだけです。また、CFDは天然ガス市場のスポットや先物価格で売買することができますが、ETFは連動型のファンドですので、市場価格そのもので売買するわけではありません。

 一方の注意点ですが、原油同様に天然ガスも「価格調整額」が発生することでしょう。原資産が「限月」という期限のある先物市場の価格を参照して売買レートが提供されているため、原資産が取引最終日を迎える前に、参照する先物の限月を「期近」から「期先」に切り替えるからです。価格が同一ではないため、限月を切り替えるたびに評価損益が発生します。価格調整日は銘柄ごとに確認できますので、事前にチェックするようにしましょう。