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ユーロ/円の2月見通し「ECB早期利下げに現実味」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のユーロ/円ポジション動向
・2月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 2月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 1月の推移

1月のユーロ/円相場は155.066~161.860円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約2.2%上昇した(ユーロ高・円安)。

4日、良好な米労働関連指標を受けて上昇したドル/円につれたほか、独12月消費者物価指数(CPI)の加速を受けて156円台から158円台へと急伸。10日には日米の株高などを背景にさらに円安が進み160円目前へと続伸した。17日には欧州中銀(ECB)のラガルド総裁が市場の早期利下げ観測をけん制したとの見方から161円台へ上伸するなどユーロ高・円安基調が続き、19日には161.86円前後まで上昇して昨年11月30日以来の高値を付けた。

ただ、その後は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退する一方でECBの早期利下げ観測が根強く残ったためユーロ/ドルが徐々に軟化。これにつれてユーロ/円の上値も重くなった。25日にはECBが市場の早期利下げをけん制したものの効果は薄く、月末にかけてじりじりと上値を削る展開となり159円台を割り込んで1月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
155.583 161.860 155.066 158.985


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

4日
独12月CPI・速報値は予想通りに前年比+3.7%へと加速(前回+3.2%)。一方、欧州連合(EU)基準の独12月CPIは前年比+3.8%と市場予想(+3.9%)に届かなかったが、前回(+2.3%)から大幅に伸びが加速した。

5日
ユーロ圏12月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.9%と市場予想通りに前回(+2.4%)から加速。コアHICP・速報値は前年比+3.4%と予想通りに前回(+3.6%)から鈍化した。

9日
独11月鉱工業生産は前月比-0.7%と市場予想(+0.3%)に反して低下。6カ月連続のマイナスとなった。一方で、ユーロ圏11月失業率は6.4%と市場予想(6.5%)を下回り、過去最低水準に並んだ。ビルロワドガロー仏中銀総裁は「欧州中銀(ECB)は今年、インフレ見通しが2%にしっかりと固定された時点で利下げに踏み切る」と表明。ただ、「利下げはデータによって決定される」として時期については明言しなかった。

15日
独連銀のナーゲル総裁は「インフレはまだ高すぎる」として「利下げの議論は時期尚早」と発言。「利下げを考える前に、夏の休暇を待つことができるかもしれない」との考えを示した。その後、オーストリア連銀のホルツマン総裁は、中東の地政学リスクを指摘した上で「2024年は利下げを全く想定すべきではない」と強調した。

16日
ECBの11月調査で、ユーロ圏消費者の1年先のインフレ期待が3.2%に低下(前回4.0%)したことが明らかになった。3年先のインフレ期待も2.2%に低下した(前回2.5%)。独1月ZEW景気期待指数は15.2と市場予想(11.7)に反して前回(12.8)から上昇。6カ月連続の改善となった。

17日
ラガルドECB総裁は、この夏に利下げする可能性が高いとしながらも「我々は正しい道を歩んでおり、方向性としてはインフレ率2%に向かっている。しかし、2%を中期的に持続できると確信し、それを裏付けるデータが得られるまで、私は勝利を宣言するつもりはない」と述べた。オランダ中銀のクノット総裁は、ECBが利下げに踏み切るには賃金動向が鍵になるとした上で「市場が緩和的になればなるほど、利下げの可能性は低くなる」との見解を示した。

24日
独1月製造業PMI・速報値は45.4と市場予想(43.7)を上回り前月(43.3)から上昇。一方、同サービス業PMI・速報値は47.6と予想および前月(いずれも49.3)を下回った。その後に発表されたユーロ圏1月製造業PMI・速報値は46.6(予想44.7、前月44.4)、同サービス業PMI・速報値は48.4(予想49.0、前月48.8)だった。

25日
ECBは予想通りに主要政策金利を4.50%に据え置いた。声明で「政策金利が必要な限り十分に制約的な水準に設定されることを確実にする」と表明。ラガルドECB総裁は会見で「ユーロ圏経済は第4四半期に停滞した可能性が高い。入手されるデータは短期的に弱さを示唆し続けている」「経済成長に対するリスクは依然として下方に傾いており、金融政策の効果が予想以上に強くなれば、成長率は低下する可能性がある」などと発言。

一方で「利下げを議論するのは時期尚早だというのが理事会でのコンセンサスだ。われわれはデータに依存していることを再確認した」と述べて市場の早期利下げ観測をけん制した。

29日
仏中銀のビルロワドガロー総裁は28日付の仏紙で、ECBの利下げについて「正確な日付については、除外されるものは一つもなく、今後の政策会合は全てがオープンだ」と語った。デギンドス副総裁はこの日、「インフレ状況の進展に関して良いニュースがある。遅かれ早かれ、それが金融政策に反映されるだろう」と述べた。

1月の各市場

1月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

2月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 2月の見通し

2月のユーロ/円相場は方向感を欠く相場展開となりそうだ。欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「利下げは夏以降」との姿勢を崩さないが、ユーロ圏の景況感の弱さから市場では4月にも利下げに踏み切るとの見方が多い。同じ早期利下げ観測でも、景気が底堅さを保つ米国とそうでないユーロ圏とでは真実味が違う。

米国の利下げが「予期せぬ労働市場の弱体化」が見られた場合に行われそうな一方で、ユーロ圏の利下げは「予期せぬ賃金の上振れ」が起きなければ前倒しで実施される公算が大きいと市場は見ている。こうした点から、ユーロは2月も対ドルを中心に弱含みの展開が想定される。

一方、日銀は1月31日に発表された金融政策決定会合における主な意見が予想外にタカ派的だったことから、3月にもマイナス金利解除に踏み切るとの見方が増えつつある。ただ、そうした状況でも円買いが強まらないのは、仮に日銀がマイナス金利を解除してもせいぜい0.1%ポイントの利上げであり、内外金利差は容易に縮小しないとの見方が浸透しつつあるためだろう。貿易や投資の面で円売り需給が根強いとの観測も円買いに傾きにくい大きな要因であろう。

そうした中で、ユーロが弱含んでも円が全面的に上昇する展開は想定しにくい。いわゆる、ユーロ安と円安の綱引きの状態に陥りやすいと見られ、2月のユーロ/円相場は160円以上の水準では上値が重い半面、155円割れでは底堅く推移しそうだ。
(予想レンジ:154.000~161.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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