材料出尽くしで為替相場は小動きへ、普段よりもスピードが速いので振り回されないように【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/12/21
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 日銀会合振り返り
2:53 足元のドル円動向
3:28 メキシコペソ円の動向
3:59 年末までの相場動向
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要約
日銀会合振り返り
注目だった日銀の政策会合ですが、結局は何もなかったということで、肩透かしを食らった形になりました。日銀の植田総裁が、年末から来年にかけてはチャレンジングになる、というような話をしたことを受けて、「これは何かあるんじゃないか?」というような臆測がマーケットに飛び交ったんですが、全然どうでもなかったということです。
正直驚いたのは、その後の会見で植田総裁が、「チャレンジングという意味は、一体何だったんですか?」というふうに記者から質問を受けたときに、「就任から1年経ってこれから仕事が段々と本格化してくる、より大変になってくるという責任感を感じている、というような一般論を話しました」というふうに話をしていて、ちょっとびっくりしたんですね。というのは、日銀総裁や財務大臣のような当局の責任者と言われる方は、市場に対しての影響力が非常に大きいので発言には十分注意をする、意味深なことは言わない、というのが一般的なんですけれども、植田総裁は自分のした発言がマーケットに影響を及ぼすかもしれない、ということをあまり考えていなかったんだな、ということに私は愕然しました。やっぱり学者出身なんだな、ということがよくわかりました。これは多分言い訳じゃなくて、本当に一般論として言ったんだと思います。今後、我々も教訓にしなきゃいけないのは、この方は恐らく先の事について発言する時はこういう意味深なことを言ってもあまり意味がないことを言っているんだと、あくまでも一般論を話しているだけで、先行きの政策方向については多分語らない、そういう人なんだということがよくわかってきました。ですから、今後こういうような発言が出てきてマーケットが混乱した場合は、これは一時的だと思って逆を張る方が効果的だなというのが今回の一つの教訓です。
ただ、植田総裁自身も少し反省しているかもしれませんので、今後は言い回しについては誤解を招くような言い方は避けてくるとは思います。ただ、我々としても今回のことはいい教訓にしなきゃいけないなと思っているところです。
足元のドル円動向
マーケットは非常に薄くなってきているので、昨日も薄いところで上げ下げを繰り返して振り回されている感じです。これは年末に向けての特徴的な動きで、マーケットが薄いなか方向感がなくなってくると、ドル円でいうと1円ぐらいすぐに上げ下げしてしまうことがよく起きます。これから1週間にかけてはフラフラとした動きになってくると思います。
メキシコペソ円の動向
メキシコペソ円も今8.37円ぐらいですが、もう落ち着いてくると思います。ちょっと広めに取って8.2円~8.5円、狭めに取るなら8.3円ぐらい~8.45円ぐらいのところのレンジに、この1週間は入り込んでくるんだろうなと思っているところです。
年末までの相場動向
年末に向けてほとんど材料が出尽くしまして、それの償還も終わりましたので、そういう意味においては、小動きになっていくということだと思います。
クリスマスの翌日がボクシングデー(贈り物の日)ということで、休暇になるところが多いですので、実質的にはそれが明けてから本格的にマーケットが始まるので、そこからまた戦略を立てていきたいということだと思います。それまでは方向感のないフラフラとした動きが続くと想定して、普段よりもスピードが速いと思うので振り回されないようにやっていくことが必要かと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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