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最新動画は【外為マーケットビュー】で公開しています。
動画配信期間:2023/11/10~2023/11/24
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
目次
0:00 相場振り返りと介入警戒感
5:45 埋まらない日米金利差
8:44 足元の注目材料
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要約
昨日は非常に静かなマーケットでした。パウエルFRB議長の講演があったんですが、FOMCの後の会見よりは少しタカ派的だったと思います。そのため、若干ドル高方向で反応してます。
昨日1つ大きなニュースがありまして、米30年債の入札があったんですが、非常に悪い結果でした。このため一気に金利が戻しています。4.5%割れぐらいのところまで来てたんですが、4.63%になっています。米2年債はこの悪い入札結果と、パウエルFRB議長の講演から5%台にまた乗せてきています。パウエルFRB議長がタカ派方向に明確にシフトした訳じゃないんですが、恐らくFOMC後の会見が少しハト派的過ぎたというのがあったんでしょうね。ここ1~2カ月ぐらいで米長期金利が5%に達するくらい急激に上昇しました。このスピードがあまりにも速かったので、FRB当局としても「このまま行ったらどうするんだろう」というちょっとまずいなっていうのがあったので、スピードを止めに入ったんだと思います。その結果、米10年債は5%から4.5%に下落しました。0.5%の下落っていうのは相当なもので、その結果FOMCと米雇用統計も悪い数字だったので、急激にドル円が落ちた訳です。
【ドル/円(USD/JPY) 15分足チャート】※2023年11月10日07:20頃
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しかし、今週に入って特に何のニュースもない中、ジリジリとドル円が上がっていって、ちょっと衝撃があったような気がします。
外為どっとコムのTEAMハロンズの動画、凄く楽しい動画で、僕も時々見させてもらってるんですが、コメント欄を見ると、ショートで捕まってるのかな、っていう感じはしました。それから、介入に関する質問が非常に多いです。介入を意識し過ぎる、もしかしたら「介入期待のショート」、これが多いのかなっていう感じがします。
トレンドは明確に円安方向なんです。でも介入があるので、例えば152円を超えてきたら、きっと入ってくるだろうという思いの人は多いと思う。ちょっと前だったら、150円になったらきっと介入が入るだろう、151円になったら入るだろうっていうことで、もし本当に介入が入ったら、5円ぐらい落ちるかもしれないので、リスクリワードを考えると、介入期待でショートにした方がいいように見えます。しかし、介入には制限があるので滅多に入らないです。昨年3日間、実質的には2回入りましたが、365日の中の2日しか入らないですよね。ビジネスで255~260日辺り、そのうちの2日しか入らないです。それを考えると「(介入が)入るぞ」と脅してますが、本当にいつ入るかは分からないんですが、殆どの日は入らない。入った時は入った時で対処するとして、すぐポジション切って、状況を見てショートにして、下がり切ったところでまたロングにする、ていうオペレーションになると思うんですが、大概の日は入らないので、ドル円のロングでいいんじゃないかと思っています。
このところ上がったり下がったりなんですが、振り返ると、日銀が政策変更するぞっていう報道があったのは10月30日で、ここでドル円が落ちて、また日銀が政策変更したんですが、思ったほどの内容ではありませんでした。それよりも大きかったのは、介入実績0っていう発表で急激にドルが戻しました。やっぱり皆さん介入は怖かったのかなと、月末リバランスのドル買いもあって、一気に151.70円台まで行きました。それを調整したのが先週の相場、FOMCと米雇用統計だったんですが、それも一気に取り戻してる感じです。
【ドル/円(USD/JPY) 15分足チャート】※2023年11月10日07:20頃
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材料に沿って上がったり下がったりしてるんですけど、このところの相場は本当に膠着状態だなと、いつかはドル円下がるんじゃないかっていう思いも強いんでしょうけれども、本当に変動率が低く、ボラティリティーが低く、振り返ると円安が進んでる相場になっています。通貨危機の時の新興国通貨と何となく動きが似ていて、円もそういう状態に入ったのかなと。
来年は恐らくどこかでアメリカの金利が下がるところがあるとは思います。それから日銀も金利政策を変えてくるところあるとは思うので、政策のベクトルがクロスオーバーするので、どこかでドル安・円高が来るんだっておっしゃられる方が多いと思うんですが、2023年も皆さんそういう予想をされていました。でも結局、予想以上にアメリカが強かったっていうのもありますし、日本の金利はそんな簡単には上がらないっていうのはあります。
昨日、国会でも植田総裁が答弁されたんですが、植田総裁とマーティン・ウルフさんとの会見があって、ここでハッキリおっしゃられてたんですけど、超金融緩和政策を反転させるというのはシリアスチャレンジだとおっしゃってたんです。黒田総裁は会見でよく「こんなに国債買って」と「こんな政策を取って将来禍根があるんじゃないか」「どうするんだ」というような質問をされて、「全く問題ない」という風にお答えされましたが、実際はそんなことはなくて、シリアスチャレンジと総裁は素直に認めておられます。マイナス金利の解除は相当先になるんじゃないか、っていう風に今思われるんですね。
アメリカはどこかで金利下げてくるかもしれませんが、大したことはなくて、結局5%近い金利差というのは恐らく2024年も続きます。相当部分2025年も続きます。金利差がずっと続くので、こういうようなレンジがずっと続いていくのかなと、狭いレンジの中ですね。
【ドル/円(USD/JPY) 日足チャート】※2023年11月10日07:20頃
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トルコリラなんかも今こういう動きをしていますが、同じようにずっと行くのかなっていうのは、今年後半、それから来年以降もこういう動きになるんじゃないかなと思います。どこかで介入が入るので、介入との戦いになるんだとは思いますが、だんだんドル円相場は細かい話がどうでもよくなってきている。例えば経済指標が出て、予想よりも良かった、悪かったとか、そういうのも大事なんですが、明確な金利差、明確なファンダメンタルズの格差が1~3年ずっと続くので、その間ドルにお金を置いておいた方が明確に有利ということだと思います。円安トレンドを変えるのは難しいと思います。
来週の指標を見てみますと、今週は本当に何もなかったですね。来週は米CPIがあります。
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これが一つポイントになると思います。このところ米CPIは落ち着いてるので、同じような感じになるとは思います。あまり米CPIが重要指標ではなくなるっていう状況に徐々になりつつあるとは思います。来週もどこかで介入があるのかな、152円超えてくると介入が入るのかもしれないし、そうではないかもしれないですが、基本的には円ショート・ドルロングで続行でいいのかなと思っています。
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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