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ドル/円の11月見通し「円安地合い継続 円買い介入は? 」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 10月の推移
・10月の各市場
・10月のドル/円ポジション動向
・11月の日・米注目イベント
・ドル/円 11月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 10月の推移

10月のドル/円相場は147.309~151.713円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.6%上昇した(ドル高・円安)。日本政府・日銀による介入誤認騒動で147円台前半へと下落する場面もあったが、米長期金利の上昇を背景にドルの下値は堅かった。

6日に発表された米9月雇用統計や17日の米9月小売売上高が米経済が堅調を維持していることを示した上に、2023年度(22年10月~23年9月)の米財政赤字が前年比で約1兆ドル拡大したことなどから米国債利回りが上昇。10年債利回りは23日に5.02%前後まで上昇して2007年以来の高水準を記録した。イスラエルとハマスの大規模衝突を巡る中東情勢の不透明感から「有事のドル買い」が強まる場面もあった。

節目の150.00円付近では円買い介入への警戒感から伸び悩んだが、31日には日銀がイールドカーブ・コントロールの柔軟化を決めた上で金融緩和の継続を発表すると一気に151円台へと上伸。3日の一時的な円急騰が介入によるものではなかったと判明したこともあって約1年ぶりに151.71円前後まで上昇した。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

2日
日銀短観は大企業・製造業DIが9となり、市場予想(6)および前回(5)を上回った。大企業・非製造業でも27と前回(23)から改善が見られた。事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業)は2023年度通期で1ドル=135.75円と、前回の132.43円から3円あまり円安方向に修正された。米9月ISM製造業景況指数は49.0と市場予想(47.9)を上回り昨年11月以来の水準に上昇。個別指数ではインフレ動向にかかわる「仕入価格」が低下した一方、「雇用」や「新規受注」が上昇した。

3日
米8月JOLT求人件数は961.0万件と市場予想(881.5万件)に反して前月(892.0万件)から増加した。米雇用市場は依然として堅調との見方から米長期金利が上昇するとドル/円は節目の150.00円を突破。ところが、その直後に一転して円買いが強まると数分間のうちに147.31円付近まで急落した。市場には、日本政府・日銀が円買い介入を実施した可能性があるとの見方が広がった。なお、財務省幹部の話としてその後「介入の有無についてはノーコメント」と伝わった。

6日
米9月雇用統計は非農業部門雇用者数が33.6万人増と市場予想(17.0万人増)を大幅に上回った一方、失業率は3.8%と予想(3.7%)より高かった。平均時給は前年比+4.2%に鈍化した(予想、前回ともに+4.3%)。

9日
前週末7日、イスラエルでイスラム主義組織ハマスが大規模攻撃を実施。イスラエルはハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへ報復攻撃を行った。中東情勢を巡る不透明感が高まり原油価格が急伸した。ダラス連銀のローガン総裁は「米連邦準備制度理事会(FRB)はここ数カ月で大幅に悪化した金融状況を考慮する必要がある」「長期金利の上昇が期間プレミアムの上昇によるものであれば、利上げの必要性は低くなる可能性がある」と発言。ジェファーソンFRB副議長も「債券利回り上昇の引き締めへの影響に留意」「リスクバランスが改善する中、FRBは慎重に進むことが可能」との認識を示した。

12日
米9月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%と予想(+0.3%)を上回り、前年比でも+3.7%と予想(+3.6%)以上の伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+4.1%で予想通りに前月(+4.3%)から伸びが鈍化した。同時に発表された米新規失業保険申請件数は20.9万件と引き続き低水準にとどまり、市場予想(21.0万件)を僅かに下回った。

17日
米9月小売売上高は前月比+0.7%と予想(+0.3%)を大きく上回った。8月分も前月比+0.6%から+0.8%に上方修正された。自動車を除いた9月小売売上高も前月比+0.6%と堅調に伸びた(予想+0.2%、8月+0.9%)。

19日
パウエルFRB議長は今後の金融政策運営について「不確実性とリスク、これまでの道のりを考えて注意深く進めている」と発言。ただ、「持続的にトレンドを上回る成長、あるいは労働市場の逼迫がもはや緩和していないことを示す新たな証拠があれば、インフレのさらなる進展がリスクにさらされる」とし、その場合「追加の引き締めが正当化される可能性がある」と述べた。

31日
日銀は長短金利操作(YCC)の運用をさらに柔軟化することを決定。長期金利の上限について目途を0.50%から1.00%に引き上げた上で、「粘り強く金融緩和を継続する方針である」と表明した。YCCの運用については、1.00%の利回りでの指値オペを「毎営業日、実施する」としていた従来の文言を削除し、「機動的にオペなどを実施する」とした。同時に発表した展望リポートでは2023年度と2024年度の物価見通しをともに2.8%に上方修正。ただ、2025年度は1.7%への小幅な引き上げにとどめた。ほぼ事前に報じられた観測報道どおりの「YCC柔軟化」だったことから、円は材料出尽くしで売りが優勢となった。

10月の各市場

10月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

11月の日・米注目イベント

ドル/円 11月の見通し

10月31日に本邦財務省が公表した外国為替平衡操作の実施状況によれば、10月の介入実績は0円だった。10月3日のNY市場における一時的な円急伸は円買い介入によるものではなかったことが明らかになり、この日に円安が一段と進行する一因となった。

月が替わった1日の午前中には、さっそく神田財務官が為替介入を含めた対応は「スタンバイ状態だ」と市場の動きをけん制。昨年9月22日の円買い介入の直前にも「スタンバイの状態」と発言しており、実際に財務省・日銀は臨戦態勢にあると考えられる。もっとも、現状では円買い介入くらいしか円安を止める手立てがないのも事実であり、日銀が大規模緩和を粘り強く続ける姿勢を維持している以上、介入がなければ円が売られやすい地合いは今後も続きそうだ。仮に介入があっても、ドル高基調が続いていればドル/円の下落は一時的にとどまるだろう。

11月もドル高基調が続くかどうかは、米長期金利の動向がカギとなる。10月に米10年債利回りは5.02%前後まで上昇する場面があった。これによって、米長期金利はひとまずピークを付けたとの見方もある一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ期待や米国債の増発によってさらに利回りが上昇するとの見方も根強い。FRBの利上げ期待については、1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、3日の米10月雇用統計や14日の米10月消費者物価指数(CPI)、15日の米10月小売売上高の結果が焦点となろう。米国債増発については、1日に四半期定例入札の詳細が明らかになる見通しで、国債発行の規模が注目されそうだ。8月の入札で1030億ドルだった発行規模がどこまで膨らむかが焦点で、大幅増なら過剰供給への懸念から債券売り(金利上昇)が進む可能性もある。
(予想レンジ:148.000~153.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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