10/31の日銀会合・為替介入の実績公表は要注目【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日：2023/10/26
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 相場振り返り
1:30 日銀会合の注目点と介入の真意
3:08 ドル円展望とトレード戦略
4:28 メキシコペソの動向
4:43 まとめ
5:06 【PR】書籍プレゼントキャンペーン
要約
この1週間も簡単に言えば小動きということでありました。全体的には少しドル高に向かってきていますけれども、動きは非常にゆっくりという感じです。
週初に一旦ユーロドルは1.07ドル近くまで上がり、ドル円も149円前半まで下がるというドル安の展開がありました。米長期金利が少し下がったことが原因でしたけれども、これがちょっとダマシのような形ですぐに反転して、むしろドルが強くなる弾みをつけてしまったということで戻ってきていまして、今ドル円も150円台に乗ってくるという展開になっています。ただ、基本的には小動きということですね。
昨日の米新築住宅販売件数も予想を上回っていますが、それほど重要度が高くない指標ですので決定的な材料にはなっていないんですけれども、アメリカの金利が上昇する一つの要因となってそれがドルをじりじりと強くさせているというような展開が続いています。ただ、繰り返しになりますけど非常に動きは緩やかです。
注目は来週の日銀金融政策決定会合です。月末に行われるわけですが、この日は2つの大きなポイントがあります。
1つは会合の結果です。市場予想は8割ぐらいの方が据え置き、今までと現状維持ということを予想していますけれども、2割ぐらいの人たちはひょっとしたらYCCの撤廃など
新しい政策が発表されるのはないだろうかという予想している人たちもいます。新しい緩和政策というか、これは緩和政策を少し修正するという方向になると思いますけれども、それがもし出ると円高方向に振れるという可能性は十分にあります。
もう1つは、その日の夜に10月の為替介入の実績についての公表があります。今月ニューヨーク市場でドル売り・円買いの為替介入が行われたのではないかという観測が流れましたけれども、それが本当だったのか、ガセだったのかというのがいまだに議論が分かれています。これが来週はっきりわかってくるということですので、政府のスタンスを確認するには非常に重要になってきます。それまでの間は基本的にはドルは強い動きですけれども、やっぱり小動きということになってくると思います。
ドル円は150円を超えてきました。政府がどうするかということですけど、悩ましいのはやっぱりスピードがゆっくりなので、介入しづらいと。これが動きが激しければ
大義名分が成り立つんですけど、これだけゆっくりじわじわ上がってくると、なかなか介入がしづらい。市場がそれを今見透かしてじわじわ買ってきているという感じです。
もうはっきり言って口先介入をしているだけでは効かないと思います。実際の実弾を入れて介入をやっていかないと、もうマーケットの人たちはスルーしてしまうと思うので、その辺がどうなるかというのを今後の財務省あるいは政府関係者の発言を聞きながら読み解いていきたいと考えているところです。
方針としては、これまでずっとドルの押し目買いということを言ってまいりましたけれども、それは基本的に継続ということであります。
メキシコペソはやっぱりアメリカの金利が上がってくるとなかなか上がらなくなってくる。ペソが米ドルに対して弱いので、結果的にはメキシコペソ円も上がらないという状態になっています。これは当面続くと思います。
いずれにしましてもアメリカの金利が高止まりはするのはほぼ確実で、この間一回下押しした時の戻りを見ると、どうもまだ上に行きたがっているなという雰囲気です。それ考えるとベースはやっぱりドルが強くなる方を視野にトレードに臨んだ方がいいなということですので、ドル買い中心でやって参りたいと思います。
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株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までＵＦＪ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年４月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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