本日から日本当局からの円安けん制が激しくなってくる可能性【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2023/9/21
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
目次
0:00 FOMC振り返りと相場動向
2:31 為替介入の可能性とトレード戦略
5:24 おしらせ
要約
アメリカのFOMCでは、政策金利のFFレート、金利据え置きということが決定いたしました。これは予想通りだったということですね。その先についてどうなるかということなんですけれども、声明文あるいはパウエルFRB議長の発言を聞いても、今後についてはデータ次第だということで、今判断することではないというような見解が示されましたので、これも予想通りですし、何も示していないということなので、特段驚きのない内容となっています。
ただ今回は、ドットチャートと言われるFOMCメンバーのこの先の金利予想の平均値が発表されています。内容を見ると、年内利上げ予想の人が19人のうち12人、利上げはしないと予想している人が7人ということで、若干利上げ予想の人が多いということです。
そして注目すべきは2024年の末までにどれぐらいの政策金利になっているのかという予想なんですが、6月時点の4.50%~4.75%予想から、今回は5.0%~5.25%予想ということで、幅はそのままで0.5%上に予想が上がっています。上方修正されたという言い方をしてもいいんではないかなと思います。
これによりドル円も148円台に再び戻し、ユーロドルも1.06ドル台の半ばまで下がってきている。全体的にドル高が進み、クロス円としては横ばいというような動きになっています。
この状況だけを見ると、ドルは強いということでドル買いをしてもいいような気もします。しかし、ここのところ日米当局から日本の為替介入についての言及があります。神田財務官が最近の動きを非常に注視していると、過度な動きにはいつでも対応する用意があると。そしてイエレン米財務長官は、過度な変動を抑えるためにやる介入について我々は容認しますよ、という発言をしています。この2人の表現は非常に微妙でして、2人とも共通して言っていることは、動きが激しかったら介入しますよ、ということです。
いま円相場は円安には推移しているものの、動きが非常にゆっくりなわけですね。これを急激な変動と説明するにはなかなか難しい。ただ、148円台乗ってきて、まだ上がってきそうなところになると、こじつけというか、円安の動きが激しいというような発言をして、介入の準備をするということが起きてくる可能性があります。
今日から、日本の金融当局からの円安けん制が激しくなってくる可能性がありますので注目です。普通に考えれば、ドル円を買って150円を目指すというのが一番順当な流れですけれども、ドル円がドル高になればなるほど、為替介入の可能性が高まるということです。ここからは悩ましい展開になってきたというので、なかなか難しい状況に入ってきてしまったんじゃないかなと思います。
クロス円も全体的には安定しており、メキシコペソ円も安定して上がってきていますが、通常であればやっぱり8.7円に向かってまた上がっていくということになるんだと思います。けれども、これもやっぱり日本当局の介入警戒がありますから、悩ましい状況です。普通の状況ではまだまだ上がる可能性があるということで、介入を気にしながらそのあたりを考えていくということだと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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