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ポンド/円・豪ドル/円の9月見通し「BOEは追加利上げへ、RBAは総裁が交代」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のポンド/円ポジション動向
・9月の英国注目イベント
・ポンド/円 9月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月の豪ドル/円ポジション動向
・9月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 9月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 8月の推移

8月のポンド/円相場は180.412~186.765円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.0%上昇した(ポンド高・円安)。英中銀(BOE)は3日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を大方の予想通りに5.25%へ引き上げたが、市場の一部に5.50%への利上げ予想があったことからポンドは売りが優勢となり180.41円前後まで下落した。

しかしその後は、英国の景気指標や物価指標が予想を上回る中でBOEの追加利上げ期待を背景に切り返すと、16日には7年8カ月ぶりに186円台へと上昇。日銀の金融緩和継続観測を受けた円安も相まって22日には2015年11月以来の高値となる186.77円前後まで上値を伸ばした。翌23日には183円台前半へと急落する場面もあったが、月末にかけて再び円安基調が強まると反発。186円台では伸び悩んだが月間の上昇は維持して184円台で取引を終えた。

出所:外為どっとコム

3日
BOEは大方の予想通りに政策金利を5.00%から5.25%へと引き上げた。声明で「インフレ率を目標の2%に下げるため、必要な期間、十分制約的になるようにする」「一段と持続的なインフレ圧力の一部リスクが顕在化し始めた可能性がある」などとして利上げ継続に含みを持たせた。

議事録では25bp(0.25%ポイント)の利上げが賛成6、反対3で決定したことが明らかとなった。反対票を投じた3名のうち2名は50bpの大幅利上げを主張、残り1名は据え置きを主張しており、BOE内で意見が割れていることが浮き彫りとなった。

ベイリー総裁は会見で「われわれは証拠に基づいた行動をし続けなければならない。インフレがさらに持続するという証拠が得られれば、それに対応する必要がある」と述べて、利上げ終了を宣言する時期ではないと表明。一方で、金融政策報告の経済予測では、インフレ率が23年末までに4.9%に低下するとして5月時点より急速な低下を見込んだ。

7日
BOEのMPCメンバーでチーフエコノミストのピル氏は「英国のインフレには両サイドのリスクがある」とした上で「現時点のわれわれの予想は、食品価格のインフレが今年末までに約10%に向けて鈍化し、来年には一段と減速するということだ」とし「それでも非常に心地よい水準とはいえない」と述べて、食品価格が現在の高水準から大きく下がらない可能性があるとの見解を示した。

11日
英4-6月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+0.2%と予想(±0.0%)を上回った。3四半期連続のプラス成長となったことで英国の景気後退(リセッション)懸念が和らいだ。また、BOEの追加利上げ観測が高まったためポンドが上昇した。なお、同時に発表された英6月鉱工業生産は前月比+1.8%(予想+0.2%)、同貿易収支は154.55億ポンドの赤字だった(予想165.00億ポンドの赤字)。

15日
英7月失業率は4.0%、同失業保険申請件数は2.90万件だった。英4-6月国際労働機関(ILO)基準の失業率は4.2%(予想、前回ともに4.0%)で、英4-6月週平均賃金は前年比+8.2%と予想(+7.4%)を上回り、2021年7月以来の高い伸びとなった。賞与を除いた週平均賃金は前年比+8.2%と過去最高の伸びを記録した。

16日
英7月消費者物価指数(CPI)は前年比+6.8%と6月(+7.9%)から大きく伸びが鈍化したものの市場予想(+6.7%)は上回った。一方、変動の大きいエネルギーや食品などを除いたコアCPIは+6.9%と6月と同水準にとどまった(予想+6.8%)。コアインフレの高止まりを受けてBOEの金融引き締めが長期化するとの観測が高まりポンドが上昇した。

18日
英7月小売売上高は前月比-1.2%と予想(-0.6%)を大幅に下回った。自動車燃料を除いた売上高も前月比-1.4%と予想(-0.7%)を超える落ち込みとなった。

23日
英8月製造業PMI・速報値は42.5と予想(45.0)を下回り、前月(45.3)から低下。同サービス業PMI・速報値も48.7と予想(51.0)および前月(51.5)を下回って悪化した。

8月の各市場



8月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の英国注目イベント

ポンド/円 9月の見通し

英中銀(BOE)は賃金の上昇とインフレの高止まりを受けて9月20-21日の金融政策委員会(MPC)でも25bp(0.25%ポイント)の追加利上げに動く可能性が高いと見る。英国の政策金利が5.50%に引き上げられることで日英金利差はさらに拡大。市場は9月MPCでの25bp利上げを8割方織り込むとともに、年内あと一回(11月もしくは12月)の追加利上げを想定しており、キャリー取引によるポンド買い・円売り圧力は当面続くことが予想される。

もっとも、8月の英購買担当者景気指数(PMI)が、製造業、サービス業ともに50.0を割り込んで低下するなど、英国の景況感は悪化している。そうした中でBOEのタカ派姿勢が弱まれば、キャリー取引を一時解消する形でポンド売り・円買いが強まる可能性もあろう。21日に発表される声明や議事録で示されるBOEの政策スタンスに注目しておきたい。

ポンド/円相場の週足チャートは、13週、26週、52週の各移動平均線が上から順番に並び、いずれも上向き(右上がり)となる強気のフォーメーション「パーフェクト・オーダー」を示現。多少の調整はあっても、相場が13週移動平均線より上の水準を維持している限り、上向きの流れは変わらないだろう。執筆時点(9月4日)で182.90円台に位置する13週移動平均線は、このまま行けば週を追うごとに183円台、184円台へと上昇する見通しだ。これを週足のサポートにできるかどうかが、8月に付けた約8年ぶりの高値186.77円前後の更新に向けたカギとなりそうだ。
(予想レンジ:180.000~189.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 8月の推移

8月の豪ドル/円相場は92.793~95.803円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.3%下落した(豪ドル安・円高)。1日、豪中銀(RBA)が2カ月連続で政策金利を据え置いたことで利上げサイクルが終了したとの見方から豪ドル売りが先行。その後、円安の進行を支えに持ち直したものの、中国の景気減速を巡る懸念などから豪ドルの上値は重く、10日、15日といずれも節目の95.00円手前で伸び悩んだ。

中国不動産大手・恒大グループが米国で破産法の適用を申請した翌日の18日には92.79円前後まで下落したが円安基調が続く中、再び93円割れの水準で下げ渋ると30日には95円台にワンタッチするなど、月末にかけて下げ幅を縮小。RBAの利上げ打ち止め観測や中国を巡る懸念が背景の豪ドル安と、日銀の金融緩和継続観測による円安の綱引きが月を通して続いた。

出所:外為どっとコム

1日
RBAは政策金利を4.10%に据え置くと発表。大方の予想通りの決定ではあったが、一部に利上げ予想があったことから豪ドルは売りが優勢となった。声明では「インフレが妥当な期間内に目標に戻ることを確実にするためには、金融政策のさらなる引き締めが必要になるかもしれないが、それは経済とインフレがどのように進展するかによって決まる」と改めて表明した。

3日
豪6月貿易収支は113.21億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(107.50億豪ドル)を上回った。その後に発表された中国7月財新サービス業PMIは54.1と予想(52.4)に反して前月(53.9)から上昇した。

4日
RBAは四半期ごとの金融政策報告を発表。「金利は23年末に4.25%でピークに達し、25年末に3.25%まで低下すると予想」「金利上昇が必要になる可能性があるが、これまでのところ金利上昇の完全な影響はまだ感じられていない」「中国経済の減速で、世界的なディスインフレーションが強まる」などとする見解が示された。

8日
中国7月貿易収支は806.0億ドルの黒字と、黒字額は市場予想(700.0億ドル)を上回った。ただ、輸出入ともに前年比で10%以上減少しており、同国の経済活動が鈍っている様子が示された。

9日
中国7月消費者物価指数(CPI)は前年比-0.3%と予想(-0.4%)を上回ったものの、2021年2月以来のマイナスとなった。同生産者物価指数(PPI)は前年比-4.4%と10カ月連続マイナスを記録(予想-4.0%)。需要低迷によるデフレ圧力が鮮明化した。

11日
ロウRBA総裁は半期に一度の議会証言で、これまでの利上げによって金融政策は景気抑制的な領域にあるとして「微調整」の段階に入ったとしつつも、「今後、インフレ率が妥当な期間内に目標に戻ることを確実にするために金融政策の幾分の追加引き締めが必要になる可能性がある」と発言した。

14日
中国有数の不動産開発業者である「碧桂園」の資金繰りが懸念される中、同社の一部の社債がこの日から取引停止となった。これを受けて香港株式市場で同社の株価が大幅に下落。中国の不動産不況を巡る懸念が高まり、豪ドルが下落した。

15日
豪4-6月期賃金指数は前年比+3.6%と市場予想および1-3月期の+3.7%を下回った。同時に発表された8月のRBA議事録では「政策金利を現在の水準で維持したまま、インフレを目標に戻す信頼できる道筋を確認した」との見解が示され、その上で「金利を据え置く論拠の方が(利上げよりも)強いことで見解が一致した」ことが明らかになった。

17日
豪7月雇用統計は新規雇用者数1.46万人減、失業率3.7%と市場予想(1.50万人増、3.6%)より弱い結果となった。労働参加率も66.7%に低下(予想、前回ともに66.8%)した。

18日
中国人民銀行(PBOC)が人民元相場の対ドル基準値を大幅な元高水準に設定すると豪ドルもこれに一時つれ高した。しかし、前日に中国不動産大手・恒大グループが米裁判所に破産法の適用を申請したことなどから中国経済を巡る市場の不安がくすぶる中で豪ドル買いは続かず失速した。

30日
豪7月CPIは前年比+4.9%と市場予想(+5.2%)を下回り、前月の+5.4%から伸びが鈍化した。また、豪7月住宅建設許可件数も前月比-8.1%と予想(-0.5%)を大幅に下回った。

8月の各市場

8月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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9月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 9月の見通し

ロウ豪中銀(RBA)総裁の任期満了に伴い、9月18日にブロック総裁(現副総裁)が就任する。ブロック氏は8月末の講演で「インフレ抑制のために金利を再び引き上げる必要があるかもしれないが、政策立案者はデータを注意深く見ており、当面は月ごとに判断することになる」と発言しており、ロウ総裁と同様に「様子見」の政策スタンスを維持すると見られる。このため、総裁の交代による混乱は避けられる見通しで豪ドル相場にも大きな影響はないと考えられる。

一方、8月に豪ドル相場の上値を抑えた要因のひとつである中国の経済不安は、当局による住宅購入規制の緩和などの対策でひとまず小康状態だが、大手不動産企業の資金繰り悪化や国内需要の低迷によるデフレを巡る懸念はくすぶり続けている。根本的に不安が解消されたとは言い難く、9月についても「中国不安」が豪ドルの重しとなりそうだ。

他方、ユーロ圏や米国で利上げの打ち止めが視野に入り始めたことで世界的に株価が戻り歩調にあることは、引き続き豪ドルを下支えしよう。9月に入りNY原油(WTI)が年初来高値を更新するなど、じわりと資源高が進んでいることも豪ドルにはポジティブだろう。9月の豪ドル相場は、強弱材料が入り混じる中で引き続き方向感が出にくい相場展開となりそうだ。
(予想レンジ:91.500~97.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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