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ドル円は押し目買い|解説:ここが転換点…強い米経済が引き起こす米株安は、リスクオフへ繋がる 8月18日(金)志摩力男

配信期間が終了しました。
最新動画は【外為マーケットビュー】で公開しています。

動画配信期間:2023/8/18~2023/9/1

外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。

目次

0:00 ドル円相場の上昇 CPI・ PPI
1:54 米30年債と為替、株価
4:10 今後の見通し ドル高が米株を下げる 
5:14 Apple社の株式チャート よろしくない形
6:04 ドル円分析 上昇継続もリスクオフの円高を意識
6:59 中国 為替の安定
7:36 米経済が強すぎる弊害

要約

本レポートは2週間ぶりとなります。この間にドル円相場は比較的易しく上がってきました。特にここ最近は、ドル円が8連騰でした。さすがに昨日は9連騰というのは滅多にないことなので、陰線の日となりました。もうだいぶいいところまでドル円は上昇しております。145円というところがポイントでした。なぜポイントだったかというと、昨年、上値を作ったところでは安値のレベルが145円でした。これが割れて、CPIのあとに急落しました。ここで引っかかっていた部分があるので、一度145円07銭まで行ったんですが、ここで1回天井をつけて、再挑戦で超えてきました、この2週間ぐらいの動きなんですが、もう少し細かく見ますと、淡々と上がっているだけです。その間に、先週はCPIとPPIの2つの大きな米経済指標がありました。CPIは予想はほぼ予想通りで、3.0%前回だったものが3.2%となりました。そして、PPIは予想を上回る数値となりました。ここでインフレ率がこれ以上下がるというのは簡単にはいかないのではないかという認識が出てきました。

アメリカの金利が非常に上がってきています。トレーディングビューを見ると、アメリカの30年債のチャートですが、4%のところが天井になっていました。一度、4.5%まで上昇しました。昨年の10月、11月頃がピークで、ここは金利のピークでもありました。その後調整して、4%のところを保っていましたが、最近の市場では、もしかしたらこれから下がっていくのではないかという見方が強かったです。債券市場の30年債を買っておけば、金利が高いところで購入するということは勝つ可能性が高いという感じでした。しかし、今月の頭から4%を突破し、現状は4.4%前後となっています。

このように、アメリカ金利の上昇がドルの上昇の要因になっています。この金利の上昇がアメリカの株式市場にも影響しており、株価が軟調になっています。全てはアメリカの金利から影響を受けています。日本のイールドカーブ・コントロール(YCC)が変更されたこと、世界の金利のアンカーだった日本が政策を変更したこと、そして日本の長期金利が上昇することで、日本の投資家がアメリカの債券市場から撤退するのではないかという恐れが影響して、アメリカの金利が上昇しました。

最近はフィッチの格下げなどのニュースもあり、これらが金利上昇に繋がったと考えられます。アメリカの債券の発行構造、つまりアメリカの政府が財政赤字を出しすぎているという背景も影響しています。
ここからどうなるかというと、アメリカの金利が高い限り、米ドルは比較的堅調に推移すると思います。しかし、株が軟調な雰囲気になっています。ナスダックは昨年の暮れにピークを迎えましたが、新たな天井を打つかもしれません。AIブームで上昇してきましたが、3月にアメリカの銀行の破綻などのニュースがあり、金利が低いまま収まるのではないかという思惑がありました。ナスダックは金利に対する反応が敏感で、金利が上がらないということは株が買われるという反応が見られました。そしてAIブームで16,000ドル近辺まで上昇しましたが、近くなるとチャートが重くなってきています。

アメリカのApple社についての株価チャートですが、あまり良ろしくないと感じます。決算も良くなかったですし、iPhoneなどもあまり売れていないようですね。この決算の発表の際に大きなギャップが生じ、価格が下落しました。その後、180ドル近辺でもみ合いが続いていましたが、特定のウェッジパターンを形成し、それを下抜けしています。個人的には、もう少し下がるのではないかと思っており、150ドル方向まで行くのではないかと感じています。さらに、ナスダックも14000ドル辺りまで落ちる可能性があると考えています。金利が上昇し、ドルが堅調ですが、株価が変調すると、リスクオフの円高へのシフトが始まるかもしれません。

この状況は、少し悩ましい部分もあります。最近のドル円市場は、137円から10円近く上昇してきました。ただ、この上昇には一時的な調整が入る可能性も感じています。それでも、下落時は「押し目買い」のチャンスとも言えるでしょう。しかし、市場は大きな転換点を迎えている気がします。ドル/円に関しての転換点ではないですが、アメリカの金利上昇と、アメリカ株の転換点を感じています。

そして、中国について、最近の人民元の動きについて、中国人民銀行の公式文書を見ました。内容は、翻訳ソフトを用いて読んでみたのですが、為替の安定に非常に重点を置いているようでした。文書の中でも特に「オーバーシュートしないように」という部分が強調されていました。

話は変わりますが、アメリカの金利上昇の背景には、アメリカ経済の過熱があると感じています。アトランタ連銀のGDPナウ予想は5.8%と、かなり高い数字となっております。この背景として、近々開催されるジャクソンホール会議で、アメリカの自然利子率上昇が主要な議題になるのではないかと言われています。その結果、アメリカの金利はさらに上昇圧力を受けるかもしれません。そして、アメリカの株価にとっては良い状況ではないかもしれません。その影響は、日経平均にも及ぶ可能性があります。

 
志摩力男氏96_130.jpg 志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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