執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
トルコリラ/円(週足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・円安主導で一方的なリラ安に歯止め
・対ドルでは過去最安値圏
・エルドアン大統領は利上げ容認
・利上げ期待はリラ押し上げに至らず
「足元のトルコリラ/円は下げ渋る展開」
先週12日に付けた過去最安値の5.77円前後から緩やかに下値を切り上げており、昨日20日には6.046円前後まで持ち直す場面もありました。一方的なリラ安にはひとまず歯止めがかかったとも言えますが、リラ/円の強含みは円安によるところが大きく、リラ自体に強さは見られません。リラの対ドル相場は13日に付けた過去最安値付近で引き続き推移しています。とはいえ、14日にエルドアン大統領が、新たな財務相と中銀総裁による「迅速な措置(=利上げ)を受け入れる」と発言したことで22日の金融政策決定会合における大幅利上げ観測が高まっています。こうした利上げ期待は、リラの押し上げには至らないまでも下値を支えていると言えそうです。
「目先のトルコリラ/円の注目ポイントは政策金利」
22日のトルコ中銀金融政策決定会合では、政策金利が20.00%に引き上げられるとの見方が優勢です。それでもリラが大きく買われないのは、利上げ政策に対する不透明感が強いために他なりません。エルドアン大統領は今回の利上げを容認したと見られていますが、元来は低金利至上主義者です。14日に「(利上げを)受け入れる」と発言した際も「『大統領は金利政策の大幅な変更を支持するのだろうか』といった思い違いをしてはならならい」とクギを刺すことを忘れませんでした。そうした中、市場関係者の利上げに対する見方は割れており、エコノミストの予想利上げ幅は5.5ポイント~31.5ポイントと広範囲に広がっています。上記の政策金利予想20.00%(引き上げ幅は11.5ポイント)は、あくまでもエコノミスト予想の中央値にすぎません。インフレを抑えるために思い切った大幅利上げを敢行するのか、金利の敵を自任する大統領への忖度で控えめな利上げにとどめるのか、エルカン新総裁の決断に注目が集まっています。
当面のトルコリラ/円の見通し
予想レンジ
5.500円~6.250円
基調
波乱含み
来週までの注目ポイント
・6/22 ☆トルコ中銀政策金利
・主要国株価、国際商品価格
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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