ドル/円、米債務上限問題が意識され上値が重い
本日、東京市場のドル/円は、弱含みの展開。米債務上限問題を巡る交渉が難航する中で、上値の重い動きとなりました。日経平均株価の軟調推移も相まって138.20円台まで下落する場面もありましたが、米債利回りが上昇したことから138.73円前後まで切り返しました。
欧州市場に入ると、『中国海警当局 「正当な権利保護」の通常パトロールで5月24日に釣魚島(尖閣諸島)の領海に進入』との報道から一時リスク回避の円買いが強まりましたが138円台半ばで底堅く推移しています。
今夜は、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表されます。米連邦準備制度理事会(FRB)高官のタカ派発言が相次ぐ中、6月会合で利上げ継続となる可能性を高める内容かどうか注目が集まります。また、米債務上限問題について、Xデーとされる6月1日までに議会で法案を成立させる必要があり、残された期間は1週間です。引き続き与野党トップ同士の交渉に進展があるか注視しましょう。
ではドル円の見通しをテクニカル分析で行いましょう。4時間足で見ると下値を切り上げるも138円台後半で伸び悩む展開が続いており、三角保ち合いを形成しています。上昇途中の三角保ち合いだけに上値抵抗をブレイクすれば139円台を突破する可能性があります。
ドル/円
この後の経済イベント
5/24(水)
22:00☆ベイリーBOE総裁講演
23:30 米EIA週間原油在庫統計
25:10 米ウォラーFRB理事講演
26:00 米5年債入札(430億ドル)
26:45☆ラガルドECB総裁講演
27:00☆FOMC議事録
※☆は特に注目の材料
今日の注目トピック
アメリカのマネー・マーケット・ファンド(MMF)の資産残高が過去最高の5兆8000億ドルに達したと発表されました。米債務上限問題に対する懸念があるにもかかわらず、資産は増加し続けているようです。
一方、米投資信託協会(ICI)によると、米債務上限協議が最後まで合意に至らなかった2011年の事例では、S&Pによる米国債の格下げが引き起こされ、その1週間で660億ドルの資金がMMFから流出し、その大部分が銀行預金に移されたとのことです。つまり、投資家が投資資金を引き上げたという事で、これは為替市場や株式投資などにもリスクが波及する可能性があるという事になります。金融市場が混乱する可能性がある米債務上限問題には引き続き注視しておく必要があります。
※米MMFは、外貨建ての短期債券を中心に運用する投資信託です。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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