ドル/円、135円を挟んだレンジ継続
9日のドル/円は、135円を挟んで方向感のない展開となりました。
東京市場では、一時135.32円前後まで強含みましたが、植田日銀総裁の「持続安定的な物価2%達成の見通しに至ればYCCを止める」等の発言を受けて円買いに傾くと、134.70円台まで反落しました。その後は、欧州株や米株式先物が軟調な動きを見せたことからドル買いが反応し135円台まで戻りを見せました。
NY市場では、米長期金利の上昇に伴いドル買い・円売りが強まり135.36円前後まで上値を拡大するも、上値が重く再び134円台まで押し戻されました。しかし、ウィリアムズNY連銀総裁が「今年利下げする理由は見当たらない」などの見解を示したことが伝わると米債利回りが上昇しドル/円も135.20円台まで上昇するなど、135円を挟んだ値動きが続いていました。
ドル/円、米4月CPI待ち
本日、東京市場のドル/円は小じっかりの展開となりました。5・10日の仲値公示前後に135.07円前後まで弱含む場面もありましたが、米長期金利が底堅く推移する中で135.47円前後まで上伸しました。しかし、欧州市場に入ると欧州株が軟調に推移したことからリスク回避の動きとなり、ドル/円は135.10円台まで押し戻されました。
今夜は米4月消費者物価指数(CPI)の結果に市場の関心が集まります。市場予想は前月比+0.4%(前回+0.1%)、前年比+5.0%(前回+5.0%)となっており、インフレの高止まりが見込まれています。食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+5.5%の予想で前回(+5.6%)から伸びが減速する見立てです。予想を上振れると6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを継続する予想が高まります。一方で下振れると利上げの打ち止めや7月の利下げ観測が高まる可能性もあるため注目です。
ドル/円をテクニカル分析で見ると、下値を切り上げる中、終値で135円台にのせていることや10・20・80日移動平均線が上向きを維持していることから上昇目線は継続です。しかし、10日線が上値を抑えておりしっかり上抜けるまでは反落の可能性があるため、注意しましょう。
ドル/円
この後の経済イベント
5/10(水)
21:30 米4月消費者物価指数
23:00 センテノ・ポルトガル中銀総裁講演
23:30 EIA週間原油在庫統計
26:00 米10年債入札(350億ドル)
27:00 米4月財政収支
今日の注目トピック
本日、トヨタ自動車が2023年3月期決算を発表しました。売上高が37兆1542億円で過去最高を更新しました。昨年からの円安相場が追い風となり、海外事業の売上を円換算した際の金額が膨らみました。一方、最終的な利益は2兆4513億円と減益になっています。エネルギー価格の高騰から世界的なインフレに伴い、原材料価格の高騰が影響したそうです。円安の恩恵よりインフレの影響が大きかったと見て取れます。これらは、トヨタ自動車のみならず海外生産をしている企業にも言えそうです。また、コストプッシュ型のインフレは我々の生活にも影響を及ぼしているため、今後落ち着きを取り戻すことを期待しています。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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