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ポンド/円・豪ドル/円の5月見通し「世界的に利上げの最終局面へ」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月のポンド/円ポジション動向
・5月の英国注目イベント
・ポンド/円 5月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 4月の推移
・4月の各市場
・4月の豪ドル/円ポジション動向
・5月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 5月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 4月の推移

4月のポンド/円相場は162.769~171.172円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約4.5%上昇した(ポンド高・円安)。植田新総裁の発言などから、日銀がすぐには金融緩和の修正に動きそうにないとの見方が強まる中、円が全面的に下落。

一方、英国では景気に鈍化傾向は見られるものの、インフレ率が2ケタ台で高止まりする中、英中銀(BOE)が利上げを継続するとの見方でポンドが上昇した。5日にはドル/円の下落につれて162.77円前後まで軟化したが、その後はじり高となり、英3月消費者物価指数(CPI)が発表された19日には167.90円台へと上昇した。

168円台を前に伸び悩む場面もあったが、日銀の大規模緩和維持を受けて28日には一気に心理的節目の170.00円を突破。2022年10月以来、約半年ぶりの高値となる171.17円前後まで上値を伸ばした。

出所:外為どっとコム

4日
BOEのピル金融政策委員会(MPC)委員は「これまでに実施した大幅な金融引き締めの影響は近く顕在化する」との見方を示しながらも「インフレ抑制に十分な利上げが行われたか、まだ確信できない」と述べた。

11日
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを発表。2023年の世界成長率予測を2.8%に下方修正(1月時点2.9%)した。一方、英国の成長率予測は-0.6%から-0.3%に引き上げた。

13日
英2月国内総生産(GDP)は前月比±0.0%と市場予想(+0.1%)を下回った。同鉱工業生産は前月比-0.2%(予想+0.2%)、同貿易収支は175.34億ポンドの赤字(予想170.00億ポンドの赤字)となった。

18日
英3月失業率は3.9%、失業保険申請件数は2.82万件増だった(前回3.8%、1.88万件減)。英12-2月失業率(ILO基準)は3.8%(前回3.7%、予想3.7%)に上昇した一方、同週平均賃金は前年比+5.9%と前月と同様の伸びとなり、市場予想(+5.1%)を上回った。平均賃金の高止まりを受けて英長期金利が上昇した。

19日
英3月CPIは前年比+10.1%と、前月(+10.4%)から伸びが鈍化したものの市場予想(+9.8%)を上回った。これを受けてBOEの追加利上げ観測が高まった。

21日
英3月小売売上高は前月比-0.9%と予想(-0.5%)以上に低下。物価高に加え悪天候も小売りの減少に影響したと見られる。その後発表された英4月PMI・速報値は製造業が46.6(予想48.4、前月47.9)、サービス業は54.9(予想52.8、前月52.9)だった。

25日
ブロードベントBOE副総裁は「先週発表の(物価)データにもかかわらず、この3カ月間の公式データや調査結果でインフレ圧力が緩和され始めている兆候が見られている」との見解を示した。

28日
日銀は大方の予想通りに現行の金融緩和策の現状維持を決定。声明文で「粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく」と表明。

植田総裁は「政策の引き締めが遅れて2%を超えるインフレ率が持続するリスクより、拙速な引き締めで2%の物価安定目標を実現できなくなるリスクの方が大きい」などと述べて金融緩和を継続する姿勢を強調した。日英中銀の金融政策の方向性の違いが改めて意識されるとポンド買い・円売りが活発化した。

4月の各市場

4月のポンド/円ポジション動向

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5月の英国注目イベント

ポンド/円 5月の見通し

5月5日時点で、英中銀(BOE)が11日に25bp(0.25%ポイント)の追加利上げを行なう可能性を英金利先物は9割方織り込んでいる。一方、次回6月利上げの織り込みは6割程度で7月については5割程度となっている。市場の見立てどおりに5月は25bpの追加利上げがあると見るが、6月については極めて不透明だ。英国のインフレ率がまだ10%台で高止まりしており(3月分)、米国やユーロ圏と比べてもひときわ高いことから、利上げ休止観測が浮上しにくいことは事実だが、米国の地銀破綻によって世界的に金融環境は引き締まりを見せている。加えてブロードベント副総裁らBOEメンバーから、インフレは鈍化の兆候があるとの指摘が複数出ている。これらを踏まえると、BOEが6月に利上げを見送る可能性は相応にあると見ておくべきだろう。

まずは、5月の声明などから窺える今後の政策スタンスに注目したい。なお、5月会合は声明文のほか、議事録と金融政策報告書(物価・経済見通し)に加え、ベイリー総裁の会見も行われる3カ月に一度の重要会合となる。上記の通り、6月の追加利上げについて市場は概ね半信半疑。つまり、追加利上げ期待が高まる余地も、利上げ見送り観測が広がる余地もおよそ同等ということになる。5月のポンド相場は、6月の追加利上げを巡る市場の見通しに大きく左右されることになりそうだ。

(予想レンジ:164.000~174.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 4月の推移

4月の豪ドル/円相場は87.588~90.783円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.5%上昇した(豪ドル高・円安)。上旬は豪中銀(RBA)の利上げ休止を受けて弱含みの展開となり、5日には豪ドル/NZドルの下落やドル/円の下落で一時88円台を割り込んだ。もっとも、その後も87円台では底堅さを見せ、日銀がすぐには大規模金融緩和の修正に動きそうにないとの見方が強まると11日には一時89円台へと持ち直した。

13日に発表された豪3月雇用統計の好結果や18日に公表されたRBA議事録が利上げ再開に含みを持たせる内容だったことで90円台を回復。20日には90.78円前後まで上昇した。月末にかけては米地銀の破綻を受けたリスク回避の動きで再び87円台に差し込む場面もあったが、28日に日銀が金融政策の現状維持を決め、当面は大規模緩和を継続する姿勢を示すと円売りが活発化。あらためて90円台を回復して4月の取引を終えた。

出所:外為どっとコム

3日
前日2日に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で作る「OPECプラス」が予想外の減産を決定したことで原油価格が急騰。資源国通貨の豪ドルにも買いが波及した。

4日
RBAは大方の予想通りに政策金利を3.60%に据え置き、利上げを一時停止した。声明で「これまでの利上げの影響と経済見通しを評価するさらなる時間を確保するため、理事会は金利を据え置くという決定を下した」と説明。その上で「インフレ率を目標値に戻すために、さらなる金融政策の引き締めが必要になる可能性が十分にあると予想している」として、利上げの再開にも含みを持たせた。

5日
NZ中銀(RBNZ)が予想外に50bp(0.50%ポイント)の大幅利上げを決めたことでNZドルが急伸するとつれて豪ドルにも買いが入った。しかし、前日に利上げの一時停止を決めたRBAとのスタンスの違いが意識されて豪ドル/NZドルが急落したため、次第に豪ドル/円も上値が重くなった。その後、ロウRBA総裁は「4月の金利据え置きは利上げが終了したことを意味するものではない」と発言した。

13日
豪3月失業率は3.5%となり市場予想(3.6%)を下回った。同新規雇用者数は5.30万人増と予想(2.00万人増)以上に伸びた。同労働参加率も66.7%で予想(66.6%)を上回った。

18日
RBAは4月理事会の議事録で、利上げも検討したが「金融政策が短期間ですでに大幅に引き締められていたことに基づいて利上げ停止を決定した」と明らかにした。その上で「今後の理事会で金融政策を引き締める必要がある可能性を明確にすることが重要」と表明。その後に発表された中国1-3月期国内総生産(GDP)は前年同期比+4.5%と予想(+4.0%)を上回った。

26日
豪1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比+7.0%と予想(+6.9%)を上回ったが、10-12月期の+7.8%から伸びが鈍化した。コアCPIにあたるCPIトリム平均値も前年比+6.6%に鈍化した(予想+6.7%、10-12月期+6.9%)。

28日
日銀は大方の予想通りに現行の金融緩和策の現状維持を決定。声明文で「粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく」と表明。

植田総裁は「政策の引き締めが遅れて2%を超えるインフレ率が持続するリスクより、拙速な引き締めで2%の物価安定目標を実現できなくなるリスクの方が大きい」などと述べて金融緩和を継続する姿勢を強調した。円売り主導で豪ドル/円が大幅に上昇した。

4月の各市場

4月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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5月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 5月の見通し

豪中銀(RBA)は5月2日の理事会で大方の予想に反して政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き上げ3.85%とした。4月には一旦利上げを見送っていたことから、予想外の利上げ再開となり市場に大きなサプライズをもたらした。RBAは声明で利上げ再開の理由を「特に経済の余剰生産能力が限られ、失業率が歴史的低水準にある状況を踏まえ、持続的高インフレの期待が、物価と賃金の一層大幅な上昇の一因となるリスクを引き続き警戒している」と説明。「妥当な時間枠の範囲内でインフレ率が目標に戻るよう確実を期すには、さらに一定の金融政策引き締めが必要になる可能性があるが、それは景気およびインフレ動向次第になろう」と表明した。

6月も利上げを続けるかどうかは、5月17日に発表される豪1-3月期賃金指数および18日の豪4月雇用統計、31日の豪4月消費者物価指数(CPI)の結果がカギを握ることになりそうだ。RBAが5月声明でインフレ期待に言及したことから、11日にメルボルン応用経済社会研究所が発表する4月の消費者インフレ期待にも注目したい。

なお、5月5日時点で豪金利先物は6月利上げの可能性を全く織り込んでいない。これには、米国の地銀破綻によって世界的な金融システムを巡る不透明感が広がったことが影響していると考えられる。リスクに敏感な豪ドルにとって、4行目の米地銀破綻が起きないか否かも重要なポイントになりそうだ。

(予想レンジ:87.500~93.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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