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ドル/円の4月見通し「欧米金融システム不安一服 日銀新体制発足」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 3月の推移
・3月の各市場
・3月のドル/円ポジション動向
・4月の日・米注目イベント
・ドル/円 4月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 3月の推移

3月のドル/円相場は129.647~137.909円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.5%下落した(ドル安・円高)。2月以降、米経済指標に好結果が相次ぎドル高の流れが続く中、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が7日の議会証言で利上げペースの加速に言及すると8日には前年12月15日以来の137.91円前後まで上値を伸ばした。しかし、米地銀シリコンバレー銀行(SVB)の破綻(10日)をきっかけに利上げ期待が急速に後退すると下げ足を速めた。

スイス金融大手クレディ・スイスの経営不安も相まって上値の重い展開となり、22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを決めたがドルの押し上げには繋がらなかった。金融不安を契機に米景気の早期後退が意識されると24日には130円台を割り込み129.65円前後まで下値を拡大した。ただ、その後は金融不安の拡大が抑えられたことや、四半期末(日本の年度末)に絡むドル需要が観測されたことから持ち直すと、31日には一時133円台を回復した。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

7日
パウエルFRB議長は上院銀行委員会で半期に一度の証言を行い「最新の経済データは予想以上に強く、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性が高いことを示唆している」「データ全体が正当化すれば、利上げペースを加速させる用意がある」と表明。これを受けて米2年債利回りは一時2007年7月以来の5.0%台に上昇した。

10日
日銀は大方の予想通りに金融政策の現状維持を決定。黒田総裁は退任前の最後の会見で、過去10年の大規模な金融緩和について「2%物価目標の実現に至らず残念」としながらも「日本経済の潜在成長力が発揮され金融緩和は成功」と振り返った。また植田次期総裁に対しては「物価安定・金融システム安定に向けた手腕発揮を期待」と述べた。

米2月雇用統計は、非農業部門雇用者数が31.1万人増(予想22.5万人増)と堅調だった一方、失業率は3.6%(予想3.4%)に上昇。平均時給は前月比+0.2%、前年比+4.6%であった(予想+0.3%、+4.7%)。平均時給の伸びが予想に届かなかったことで米長期金利が低下するとドル売りが強まった。新興ハイテク企業を主要取引先とするSVBの資金繰り悪化を巡る懸念も相まってFRBの利上げ観測が後退。

その後、米連邦預金保険公社(FDIC)は全米16位の資産規模を持つSVBについて、経営破綻し事業を停止したと発表した。なお、翌週12日には暗号資産の取引で知られる全米29位の米地銀シグネチャー銀行も経営破綻した。

14日
米2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%、前年比+6.0%と予想通りの伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比+5.5%と予想に一致。いずれも前月から鈍化したものの高止まりした。

16日
経営不安に陥ったスイス大手銀行クレディ・スイスは、スイス中銀(SNB)から最大500億スイスフランを借り入れる計画を発表。また、預金流出に直面していた米地銀ファースト・リパブリック・バンクについても「米銀大手11行が預金の形で計300億ドルの資金支援を実施する」と報じられた。これらを受けて市場のリスク回避ムードが和らいだ。

20日
前日19日未明、クレディ・スイスをスイス金融最大手UBSが30億スイスフランで買収することが決まった。これを好感して円売りが先行したものの、その後は欧州市場にかけて円が買い戻された。スイス金融市場監督機構(FINMA)がクレディ・スイスの救済買収に伴い、同行の160億スイスフランのAT1債(永久劣後債)の無価値化を表明したことが市場の不安を煽った。

22日
FOMCは政策金利を市場の予想通り25bp(0.25%ポイント)引き上げて4.75-5.00%とした。声明ではこれまでの「インフレ目標達成のため、継続的な利上げが適切になると予想する」を削除し「追加引き締めが適切となる可能性がある」とした。同時に公表した政策金利見通し(ドットチャート)では2023年末の予想中央値が5.125%に据え置かれた。これらを受けて米利上げはあと一回で終了との見方が強まった。

その後、イエレン米財務長官は議会で「預金保険の適用範囲について、大幅な拡大は検討していない」と発言。前日には「今後、金融不安が広がった場合に預金の全額保護という異例の措置を再び行う可能性がある」と発言していたことから、NYダウ平均が500ドル超下落するなど市場の動揺を誘った。

27日
「米地銀ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズは経営破綻したSVBを買収することで合意した」と報じられた。また、FRBはバー副議長が翌日に行う議会証言の原稿を公表し、「必要なら、金融機関の規模にかかわらず、すべての手段を使う用意がある」と表明することを明らかにした。

3月の各市場

3月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

4月の日・米注目イベント

ドル/円 4月の見通し

米地銀シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発した米国の金融システム不安は、完全に収束したとは言えないまでも、米当局が預金保護の拡充と銀行規制の強化に向けた動きを強めたことで連鎖的な危機を巡る過度な不安は後退しているようだ。もっとも、銀行規制の強化については業界からコストアップにつながるとして批判の声が挙がっている。バイデン米大統領は、規制強化について議会の承認を得ずに実行可能だとの見解を示しているが、強行すれば野党共和党の反発は必至と見られる。仮に、預金保護や銀行規制で政治の混乱が深まれば市場の不安が再燃するおそれもあろう。また、SVB破綻の影響が実態経済にどの程度波及したかが、3月分の経済指標から徐々に明らかになる見通しだ。これらが予想以上に下振れするようなら、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ停止観測や、ひいては早期利下げ転換の思惑が広がることも考えられるため注目したい。

他方、日銀は植田新総裁の下で初となる金融政策決定会合を27-28日に開く。その前に、黒田現総裁の任期が4月8日で終了することから、週明けの10日にも植田新総裁の就任会見が行われる可能性が高そうだ。足元では金融システム不安の余波もあって日銀の政策正常化への期待は大きく後退している。ただ、長期金利が低位にある今こそ、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正・撤廃に動きやすい(動いても長期金利が急騰しにくい)との考え方もある。植田新総裁の発信に注目が集まりそうだ。4月のドル/円相場は、米金融システム不安の行方と米金融政策への影響および、新体制下の日銀の動向がカギとなりそうだ。

(予想レンジ:129.500~137.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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