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ユーロ/円の3月見通し「ユーロは円より強いがドルより弱い」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のユーロ/円ポジション動向
・3月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 3月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 2月の推移

2月のユーロ/円相場は139.556~145.470円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.9%上昇した(ユーロ高・円安)。

2日の欧州中銀(ECB)理事会後に行われたラガルド総裁の会見がハト派的(タカ派色が薄れた)だったとの見方などから上旬はユーロの上値が重い展開となった。次期日銀総裁候補に植田氏が指名された10日には139.56円前後まで下落したものの、次第に植田氏は緩和策を継続するとの見方に傾くと円安主導で上昇に転じた。

2月は米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め長期化観測などからドルが強かったため、対ドルではユーロ安が進行したが、円がそれ以上に対ドルで下落したことからユーロ/円は上昇した。欧州連合(EU)と英国が北アイルランドの物流ルール修正に合意した27日には144円台後半へ続伸。翌28日には前年12月20日以来の高値となる145.47円前後まで上値を伸ばした。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
ユーロ圏1月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+8.5%と予想(+8.9%)を下回り、前月(+9.2%)から伸びが減速した。ユーロ圏12月失業率は6.6%と予想(6.5%)を上回った。

2日
ECBは主要政策金利を予想通りに50bp(0.50%ポイント)引き上げて2.50%から3.00%にすると発表。中銀預金金利も2.00%から2.50%へと引き上げた。声明では「金利は依然として安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と表明。「3月も50bpの利上げを実施する意向」とした上で「その時点でその後の金融政策の道筋を評価する」と今後に選択肢を残した。

その後、ラガルドECB総裁が会見を行い、物価圧力は依然として強いとしながらも「インフレ見通しを巡るリスクはより均衡しつつある」と発言。「経済成長の見通しに対するリスクは、より均衡化している」とも指摘した。

8日
デギンドスECB副総裁は「市場はインフレ傾向に関して楽観的すぎる可能性」との認識を示し「3月以降の追加利上げを除外しない」と発言。その後、クノット・オランダ中銀総裁も「5月に50bpの利上げが必要になる可能性がある」と述べた。

9日
独1月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+8.7%と前月の+8.6%からわずかに加速した(予想+8.9%)。一方EU基準の1月CPIは前年比+9.2%と前月の+9.6%から減速した(予想+10.0%)。

13日
欧州委員会は経済見通しを発表。ユーロ圏経済が今年はリセッション(景気後退)を回避し、予想を上回るペースで回復するとの見方を示した。2023年の実質成長率見通しを0.9%と前回予測の0.3%から上方修正した。エネルギー価格の低下が上方修正の主な背景で、ここ数カ月のインフレ圧力の緩和にも寄与しているとした。

17日
ビルロワドガロー仏中銀総裁は「ECBの政策金利は今年の夏(遅くとも9月)にかけてピークに達する可能性が高い」と発言。一方で「年内の利下げは問題外である」との考えを示した。

21日
独2月PMIは製造業が46.5(予想48.1)はサービス業が51.3(51.0)となった。 その後に発表されたユーロ圏2月PMIも製造業48.5(予想49.3)、サービス業53.0(51.0)と、製造業は予想を下回った一方で、サービス業は予想を上回った。さらにその後、独2月ZEW景気期待指数は+28.1と予想(+23.0)を上回った。

22日
独2月Ifo企業景況感指数は91.1と予想(91.2)には届かなかったものの前月(90.1)から上昇した。Ifoは「ドイツ経済は弱い局面から段階的に脱しつつある」との見解を示した。

27日
スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長が会談を行い、英領北アイルランドの国境を巡る物流規制の見直しについて合意したと伝わった。これによって、英国のEU離脱=Brexit後も維持されている英EU間の関税ゼロの貿易が一部停止になるといったリスクは当面回避されるとの見方が広がった。

2月の各市場

2月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

3月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 3月の見通し

3月のユーロ/円相場は、ドル/円とユーロ/ドルの動きに挟まれて方向感が出にくい展開が続きそうだ。2月はドルが全面高となる中でドル/円が約4.7%上昇した一方、ユーロ/ドルは約2.7%下落。その結果、ユーロ/円は約1.9%上昇した。つまり、不等式で表すとドル>ユーロ>円という強弱関係であった。

欧州中銀(ECB) は3月16日の理事会で50bp(0.50%ポイント)の追加利上げに動く事が確実視されている。米連邦準備制度理事会(FRB)は21-22日の連邦公開市場委員会(FOMC)でECBより小幅な25bpの利上げを決めると見られている。にもかかわらず、足元でドルのほうが強いのは景気の先行きに対する見方が米国優位のためだろう。利上げでも堅調な米景気と、利上げによる経済圧迫への懸念がくすぶる欧州景気という景況感格差がユーロとドルの力関係に影響していると考えられる。

実際に、国際通貨基金(IMF)の予測では2023年の米国の経済成長率見通しが1.7%であるのに対し、ユーロ圏は0.7%にとどまる。ユーロ圏の経済見通しが急激に改善しない限り、ドルに対してユーロの上値は重いままだろう。

他方、円を巡っては次期日銀総裁候補に指名された植田氏が「金融緩和を維持するのが適切」と表明したことから、日銀に対する過度な緩和修正期待が後退している。黒田体制下で最後となる3月9-10日の会合でイールドカーブ・コントロール(YCC=長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を再び修正するとの観測も一部にはあるようだが、少なくとも日銀の緩和修正期待による円高リスクは一時より大幅に低下したと考えられる。こうした中、3月のユーロは引き続き、「円より強いがドルより弱い」展開が予想される。

(予想レンジ:140.500~147.000円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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