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ドル/円の3月見通し「円もユーロもドル主導の展開が続く公算」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 2月の推移
・2月の各市場
・2月のドル/円ポジション動向
・3月の日・米注目イベント
・ドル/円 3月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 2月の推移

2月のドル/円相場は128.081~136.917円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約4.7%上昇した(ドル高・円安)。

米1月ADP全国雇用者数が不冴に終わり、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げ幅を25bp(0.25%ポイント)に縮小した月初こそドル売りが優勢となったが、米1月雇用統計が予想以上の強さとなったことからドルは反発。4月に退任する黒田日銀総裁の後任を巡り円相場主導で乱高下する場面もあったが、14日に発表された米1月消費者物価指数(CPI)、15日の米1月小売売上高が相次いで予想を上回るとドルが続伸。堅調な経済とインフレの高止まりで米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測が広がった。

また、FRB当局者の発言などから3月FOMCでは利上げ幅が再び50bpに拡大する可能性があるとの見方も浮上した。次期日銀総裁候補に指名された植田和男氏が金融緩和の継続に前向きな発言したこともあって24日には2022年12月20日以来の136円台を回復した。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米1月ADP全国雇用者数は10.6万人増と予想(18.0万人増)を下回った。米1月ISM製造業景況指数は47.4と予想(48.0)を下回り、2020年5月以来の低水準となった。FOMCは政策金利を予想通りに25bp引き上げて4.50-4.75%とした。声明では「インフレは幾分緩和されたが、高止まりしている」「継続的な利上げが適切になると予想する」とあらためて表明。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「急速な引き締めの完全な効果はまだ感じられない」「あと2回ほどの利上げを協議中」としながらも「十分に抑制的な水準からそれほど遠くない」「モノのセクターでディスインフレのプロセスが始まった」などと述べた。

3日
米1月雇用統計は、非農業部門雇用者数が51.7万人増と予想(18.8万人増)を大幅に上回った。失業率は3.4%と予想(3.6%)を下回り、1969年5月以来およそ54年ぶりの低水準を記録。平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.4%であった(予想+0.3%、+4.3%)。米1月ISM非製造業景況指数は55.2と予想(50.5)を上回り、前月(49.2)から上昇した。

6日
「日本政府が日銀の黒田総裁の後任候補として雨宮副総裁に就任を打診した」と報じられた。総裁候補の中では最もハト派寄りと見られていたため緩和継続観測が強まった。その後、複数の政府要人が打診の事実はないと報道を否定した。

10日
「政府は黒田日銀総裁の後任に元日銀審議委員の植田氏を起用する人事を固めた」と伝わった。植田氏は「金融政策は景気と物価の現状と特に見通し、先行きに基づいて運営しないといけない。その観点から、現在の日本銀行の政策は適切であると考えている。いずれにせよ、現状では金融緩和の継続が必要であると考えている」と述べた。

14日
米1月CPIは前年比+6.4%と予想(+6.2%)よりやや高めの伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比+5.6%と前月(+5.7%)から小幅に鈍化したものの市場予想(+5.5%)を上回った。ウィリアムズNY連銀総裁は「インフレは依然として高すぎる」「インフレが2%に戻るには数年かかる」との認識を示した。

15日
米1月小売売上高は前月比+3.0%と予想(+2.0%)を大幅に上回り2021年3月以来の高い伸びを記録。自動車を除いた売上高も前月比+2.3%と予想(+0.9%)を上回る伸びとなった。

16日
メスター米クリーブランド連銀総裁は「前回の米FOMCでは50bpの利上げでも説得力があった」と発言。ブラード米セントルイス連銀総裁は「次回3月FOMCで50bpの利上げを支持する可能性を排除しない」と述べた。

22日
FOMC議事録では「ほぼ全員が0.25%の利上げが適切と判断した」ものの「数人の当局者が0.50%の利上げを支持した」ことも明らかになった。また、「抑制的な政策スタンスが不十分だった場合、インフレ圧力緩和に向けた最近の進展が止まりかねない」との認識も示された。

24日
日本1月CPI(除生鮮食)は前年比+4.2%と予想(+4.3%)は下回ったものの前月(+4.0%)から伸びが加速。伸び率は41年4カ月ぶりの高さとなった。

次期日銀総裁候補の植田氏は衆院議院運営委員会で「現在の金融緩和は適切」と述べて大規模金融緩和を当面継続する考えを示した。一方で「2%インフレの実現が見通せれば、正常化に踏み出すことできる。基調インフレの見通しが改善すればYCC(イールドカーブコントロール)の正常化を考えざるを得ない」とも発言。

2月の各市場

2月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

3月の日・米注目イベント

ドル/円 3月の見通し

2月は米1月雇用統計、米1月消費者物価指数(CPI)、米1月小売売上高と、重要経済指標が揃って予想を上回る中、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの思惑が広がった。1月には利上げが3月にも終了するとの見方が強まっていたが、2月終了時点では少なくとも6月までは利上げが続くとの見方が市場に織り込まれている。

こうした中、3月は21-22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。ターミナルレート(政策金利の最終到達点)の予測が12月に示した5.125%からどこまで引き上げられるか注目されよう。その前に発表される米2月雇用統計(10日)と米2月CPI(14日)の結果にも大いに注目が集まりそうだ。これらを経て利上げ長期化観測が一層高まればドル/円は節目の140円に向って続伸する可能性もある。

もっとも、米金利先物市場は政策金利が6月に5.375%まで引き上げられることをほぼ織り込んでいる。このためFOMCのターミナルレート予測がこの水準を上回らなければ、足元で広がる利上げ長期化観測が後退しかねない。そうなれば、ドル/円は2月の上げ幅の大半を失う可能性もある。

一方、日銀は9-10日に黒田総裁の下で最後となる金融政策決定会合を開催する。金融政策は現状維持で堅いと見るが、一部にはイールドカーブ・コントロール(YCC=長短金利操作付き量的・質的金融緩和)の再修正あるいは撤廃を予想する声もある。

私見では、次期日銀に対する無用な思惑を生じさせる可能性があるためYCCの再修正・撤廃は得策ではないと見るが、昨年12月に突然のYCC修正を発表した(ドル/円は137円台から130円台まで最大で7円近く急落)経緯があるだけに、今回も一定の警戒は必要だろう。

(予想レンジ:131.500~140.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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