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ユーロ/円の2月見通し「ユーロ圏景気回復を巡る期待と不安」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 1月の推移
・1月の各市場
・1月のユーロ/円ポジション動向
・2月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 2月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 1月の推移

1月のユーロ/円相場は137.386~142.850円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.7%上昇した(ユーロ高・円安)。

日銀の緩和修正を巡る観測から円買いが先行すると3日には、前年9月以来の137.39円前後まで下落した。しかし、ユーロ圏の景気後退を巡る懸念が和らぐ中で持ち直すと11日には142.85円前後まで反発。その後も、ドル/円の下げにつれて138.00円台に押し戻される場面はあったが、独1月ZEW景気期待指数の改善などを支えに底堅く推移した。

ラガルド欧州中銀(ECB)総裁以下、ECBメンバーからタカ派発言が相次いだ23日には142円台を回復した。ただ、月末にかけて動意が薄れると142円台では伸び悩んだ一方、140円台に入ると底堅く推移。141.33円前後で1月の取引を終えた。


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

3日
独12月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+8.6%と前月の+10.0%から減速した(予想+9.0%)。欧州連合(EU)基準の12月CPIも前年比+9.6%と前月の+11.3%から大幅に伸びが鈍化した(予想+10.2%)。

6日
ユーロ圏12月CPI・速報値は前年比+9.2%と予想(+9.5%)を下回り前月(+10.1%)から鈍感した。一方、エネルギーや食品など一部の品目を除いたコアCPIは前年比+5.2%で、前月(+5.0%)から加速した(予想+5.1%)。

11日
ビルロワドガロー仏中銀総裁は「夏までには、インフレを2%に戻すために十分な水準まで金利を引き上げる必要がある」「現在の(政策金利)2%は中立水準、今後数カ月さらに引き上げなければならない」と発言。また、この日はオーストリア中銀のホルツマン総裁が「コアインフレ率はピークを付けていない」とした上で「ECBの利上げの決意を変えることができるのはコアインフレ率の低下だけだ」との認識を示した。

17日
独1月ZEW景気期待指数は+16.9と市場予想(-15.0)を上回り前月(-23.3)から大幅に上昇した。同指数のプラスは、ロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月以来。ただその後、「ECBは2月に50bp(0.50%ポイント)の利上げを実施する公算が大きいが、3月は利上げ幅を25bpとする案に支持が集まりつつある」とする関係者の話が伝わるとユーロは下落した。

19日
ラガルドECB総裁は、「インフレは高すぎる」として「目標(2%)に戻す取り組みを緩めない」との見解を示し、ECBが3月にも利上げのペースを緩めるとの市場の観測をけん制した。

23日
ラガルドECB総裁は、「インフレを速やかかつ確実に目標水準に戻すため、ECBは現在の路線を継続する」と表明。その上で、金利は依然として大幅に引き上げる必要があるとの見解を示した。この日は、スロバキア中銀のカジミール総裁が2月と3月にそれぞれ50bpの追加利上げを行うべきと主張。クロアチア中銀のブイチッチ総裁も、2月と3月に50bpの利上げを行うとのガイダンスは「合理的」だと述べた。

24日
独1月製造業PMI・速報値は47.0(予想48.0)、同サービス業PMI・速報値は50.4(予想49.5)。その後に発表されたユーロ圏1月製造業PMI・速報値は48.8(予想48.5)、同サービス業PMI・速報値は50.7(予想50.1)だった。ユーロ圏のサービス業PMIは6カ月ぶりに好不況の分岐点となる50.0を上回った。

25日
独1月Ifo企業景況感指数は90.2と予想(90.3)を僅かに下回ったものの、前月(88.6)から上昇。Ifo経済研究所は「ドイツ経済は、2023年の初めに信頼感が高まった」と表明した。その後ナーゲル独連銀総裁は「政策金利はさらに上昇する必要がある」「3月以降に金利をさらに引き上げる必要があっても驚かない」と述べた。

30日
スペインのEU基準1月CPIは前年比+5.8%と予想(+4.8%)に反して前月(+5.5%)から伸びが加速した。これを受けてECBが積極利上げを継続するとの観測が広がった。

1月の各市場

1月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

2月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 2月の見通し

1月のユーロは対円で約0.7%上昇したが、対ドルでは約1.5%上昇、対ポンドでは0.3%下落、対豪ドルでは約1.9%下落とマチマチの動きであった。ユーロ圏の景気について、資源価格の落ち着きなどから最悪期を脱したとの見方は多いが、景気回復期待が高まっているとまでは言えない微妙な情勢だろう。「過度な悲観の修正」を原動力とするユーロの上昇には限界があり、「景気回復期待」による上昇ほどの力強さがないのは当然であろう。

こうした中、2月のユーロ相場は、ユーロ圏の景気回復が本格化するかが焦点となりそうだ。1月に発表されたユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)は、7カ月ぶりに活動拡大・縮小の分岐点である50.0を上回った。こうした景況感の改善が続くかどうかがユーロ相場のカギを握ることになるだろう。

その他、欧州中銀(ECB)の金融政策の舵取りにも注目が集まりそうだ。2月2日の理事会では50bp(0.50%)の追加利上げが濃厚で、3月16日の次回理事会でも50bp利上げを継続するとの見方が優勢だ。当面は、米連邦準備制度理事会(FRB)を上回るペースで利上げを行なう公算が高まっており、こうした見方はユーロの押し上げに繫がると考えられる。

ただし、政策金利が景気に中立的とされる水準(2%前後)を上回ることで景気に下押し圧力がかかるとの懸念はくすぶり続けよう。なお、国際通貨基金(IMF)が1月31日に示した予測によればユーロ圏の2023年の成長率は0.7%にとどまる見通しで、これは日本の1.8%や米国の1.4%よりも低い。ユーロは景気格差の観点からは他の通貨より分が悪いと見ることもできる。

(予想レンジ:138.000~144.500円)

kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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