総括
FX「ペソ円は円急騰で下落、ペソもドルより強いが円にかなわず」メキシコペソ見通し
予想レンジ 6.8-7.3
(ポイント)
*対円では下げたが、対ドルでは強かった11月
*今年は唯一ドルより強いのがペソ
*大統領は経済成長率が今年も今後もは3.5%を達成するとした
*メキシコ中銀は、物価と経済成長の先行きにより楽観的な見方を示す
*10月貿易収支は20.12億ドルの赤字
*大統領は、来年の最低賃金引き上げを数日中に発表すると表明、20%前後の引き上げが望ましいと述べた
*ファンダメンタルズは大きく変らず
*原油が安い。メキシコの長期金利が低下
*12月の政策金利は米国からデカップリングするか
*政策金利は、0.75%引き上げ10.0%
*10月消費者物価は8.41%上昇、総合インフレ低下もコアが高い
*バークレーズがペソ堅調見通し、ムーディーズは弱気
*ムーディーズは格下げ、S&Pは見通し引き上げ
*エスキベル中銀副総裁が利上げ減速論を展開
*米国向け自動車輸出はメキシコが日本を抜いてトップに
(11月のペソ円は円急騰で下落)
11月のペソ円は7.5円から7.17円に4.4%安となった。4か月ぶりに月足が陰線となった。対ドルではペソが2.8%高である。11月は円の上昇が大きく(12通貨中2位)ペソ円を下落させた。
年初来ではペソ円は27.81%高で最強通貨を維持している。10月に限れば33.69%高であった。
メキシコ・ボルサ株価指数は年初来2.98%安、長期金利は9.54%で10月のピークの10.32%より低下している。ただ12月も円が最強でスタートペソ円を押し下げている。
(大統領の強気な成長予想)
ロペスオブラドール大統領は11月27日、経済成長率が今年は3.5%を達成し、2023年と24年も少なくともこの伸び率を維持するとの見通しを示した。
アナリストらは今年の成長率を2.7%と予想しており、IMFの来年予測は1.2%まで鈍化となっている。メキシコでは工業部門などを中心に経済が減速しており、今年3Qは想定された伸び率を下回った。
(中銀は、物価と経済成長の先行きにより楽観的な見方)
メキシコ中銀は、物価と経済成長の先行きにより楽観的な見方を示すとともに、昨年6月に開始した利上げの打ち止めが視野に入ってきたと強調した。
物価上昇率については、既に3Qにピークを付けた公算が大きく、4Qから鈍化が始まって、来年いっぱいは減速がさらに鮮明になると予想した。
11月前半の総合ベースの消費者物価(CPI)前年比上昇率は8.14%で、前月の8.53%を下回った。ただ変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIの前年比上昇率は加速が続いている。
中銀はコアCPI上昇率も来年1Qには鈍化に転じ、2024年3Qに目標の3%に収まると見込んだ。これまでの中銀の利上げ幅は合計6.0%で、政策金利は10.0%に達したが、ロドリゲス総裁は少なくともあと1回の利上げが近く行われると発言している。
中銀は国内総生産(GDP)成長率予想に関しては、今年を1.7-2.7%から2.8-3.2%に、来年を0.8-2.4%から1.0-2.6%にそれぞれ上方修正した。
(10月貿易収支、失業率は)
10月貿易収支は20.12億ドルの赤字で9月の8.95億ドルの赤字を上回った。10月失業率は3.3%、9月は3.34%。11月製造業PMIは50.6で10月の50.3を上回った、来週は11月消費者物価の発表がある。
(最低賃金引き上げ)
ロペスオブラドール大統領は、来年の最低賃金引き上げを数日中に発表すると表明、20%前後の引き上げが望ましいと述べた。
ロペスオブラドール氏は「数日中に来年の最低賃金引き上げが発表される見通しだ。労使・政府が一致して合意することを望む。20%前後の引き上げが望ましい」と述べた。
大統領は2018年終盤の就任以降、貧困対策を優先し、所得格差を是正する意向を示している。
フィッチ・レーティングスは今月、最低賃金引き上げが緩やかなインフレ圧力につながる可能性があるとしながらも、慎重なマクロ経済政策の枠組みと安定した債務水準を理由に見通しを据え置いた。
テクニカル分析
8月3日以来の雲の下へ
日足、11月28日-30日の上昇ラインを下抜いて雲の下へ下落。8月2日-12月1日の上昇ラインがサポート。11月30日-12月1日の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下位。5日線、20日線下向き。
週足、11月14日週-21日週の上昇ラインを下抜く。3月14日週-8月1日週の上昇ラインがサポート。11月7日週-21日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、8月から毎月年初来高値を更新していたが11月は陰線。9月-10月の上昇ラインを下抜く。4月-8月の上昇ラインがサポート。ボリバン上位。
年足、2021年は陽転。20年-21年の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
中国BYD、来年にメキシコでEV発売
中国の電気自動車大手、比亜迪(BYD)、メキシコで来年に完全電動車を発売すると発表した。来年末までに代理店を15社に増やし、24年末までに30社にするという。販売目標については来年に計1万台、24年に2万-3万台とした。長期的にはメキシコ市場でのシェア約10%を目指すという。メキシコ政府が販売への課税や輸入関税を引き下げてEVに手が届きやすくするよう動いていることを評価した。
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