こんにちは、戸田です。
先月、メキシコやアメリカ、カナダなどに現地視察に行ってきました。私自身、メキシコペソは外為どっとコムのサービス「らくらくFX積立」を通じて毎週、積み立てていますし、米ドルやカナダドルはFXで取引しているので、現地の雰囲気を肌で感じたいと考え、行動に移しました。
私はFXなど短期売買や、積立など中長期投資を行う場合にその国のファンダメンタルズ、つまりマクロ経済政策や経済指標を考慮に入れていますが、併せて現地における肌感覚も大切にしています。これは自身の中国における４年間の生活を通じて感じたことですが、その国が伸びそうかどうか、現在の物価水準および為替レートについて高すぎるとか、安すぎるとか、そう言ったことを感じるかどうかなど、肌感覚も重要と考えるに至ったからです。
そういった中で、今回フォーカスしたいのはメキシコです。メキシコペソは高金利通貨として高い人気を誇りますが、20年前に訪問した際には、特に国境沿いで治安の悪さを感じました。アメリカはテキサス州のエルパソという地域からメキシコへ車で入国したのですが、国境を超えた瞬間に車の周りをたくさんの物乞いの方に取り囲まれたのを今でも鮮明に覚えています。
今はどうなっているのか？この１点を知りたくて、今回は、メキシコはメキシコシティと呼ばれる首都に足を運んでまいりましたので、そこで感じた私の肌感覚をお伝えしていきます。
なおメキシコペソのファンダメンタルズ分析に関しましては、過去に精緻にまとめた記事がありますので、こちらをご参考ください。
目次
1.メキシコの治安と交通渋滞
2.メキシコとアメリカの関係
3.メキシコの物価は日本の7掛け
4.結局メキシコペソへの投資は「アリ」なのか？
1.メキシコの治安と交通渋滞
まずメキシコの治安についてですが、20年前と比べて随分と改善されていると感じました。中南米ということで、以前は海外生活における最も気をつけるべき国と教わっていましたが、街を歩いていても、少なくとも日の出ている時間帯は危険に感じることはありませんでした。もちろん首都でもあり、大通りでもありますが、そう言った場所においては、そこまで危険に感じることはなかったです。これは一つには私が最初に訪れた20年前と比べて経済的に成長したことが理由なのかも知れません。
それから渋滞に巻き込まれることが多い印象でした。これは道路が整っていないと見ることもできますが、それだけ経済活動が盛んにおこなわれていると考えることも出来ると思います。
どうでしょう、みなさんが思っているよりも栄えていませんか？
2.メキシコとアメリカの関係
次にお伝えしたいポイントが、アメリカには多くのメキシコ人が住んでいるということです。ニューヨークや特にロス・アンゼルスの街を歩いているとよくメキシコ人の容姿に近い方を見かけました。またメキシコ料理店も多く見かけまして、「テクス・メクス」と呼ばれるメキシコ風のアメリカ料理が流行っているそうです。
日本に置きなおして考えてみると、日本で生活している中国人やアジア人のイメージでしょうか。ただ実際にはもっと多くの方が住んでいて、アメリカ合衆国国勢調査局によれば、2019年時点でメキシカン、アメリカ人と呼ばれる、メキシコにルーツを持つ方がアメリカ全人口の11.3％を占めているようです。
となると当然メキシコ人（より広い意味ではスペイン語圏出身であるヒスパニックと呼ばれる分類の居民）向けの営業活動も活発に行われており、例えば電車内においても全てスペイン語で書かれた広告を目にしました。写真は撮り忘れてしまいましたが・・・テニスのUSオープン開催時期でしたので、スペイン出身のテニス選手ラファエル・ナダルが広告に載っていました。
そしてメキシコ系、アメリカ人が増えていくことでメキシコ本国とのビジネスや、メキシコ本国への仕送りも増えていきます。メキシコにとってのアメリカ市場というのは、非常に影響が大きい、繋がりが大きいのだと感じました。ご存じの通り、アメリカは世界最大の経済大国ですのでそのアメリカと地理的、民族的に繋がりが深いというのはメキシコの最大のストロングポイントかも知れませんね。
アメリカとメキシコの地理関係/googleマップより
3.メキシコの物価は日本の7掛け
なおメキシコの物価は日本よりも安く、レストランにいくとだいたい日本の７掛けくらいで食事をとることが出来ました。ホテルに併設されていたスターバックスに足を運び添付写真の朝食を選びましたが、メキシコペソ円を7.2円で計算して約500円と、パンが２つついていることを考えると、日本より安価と言えます。
メキシコシティのスターバックスにて
せっかくですので、少し横道にそれて現地の料理を紹介します。こちらがメキシコの独立記念日に食べる、「チレスエンノガダ」という料理です。
メキシコシティのレストランにて
唐辛子の一種であるポブラノに、挽肉やトマトなどの野菜のみじん切りを詰めているそうです。このようにメキシコ料理は色合いも綺麗で、ヘルシー、薄味で日本人の舌にも合います。最近、日本でメキシコ料理ブームらしいのですが、その一端を垣間見た気がします。
東京からメキシコシティの直行便も通っていますので、私たちにとって行きやすい国でもあります。メキシコペソに投資をされる方は一度、肌感覚を得るためにも、メキシコを訪れてみてはいかがでしょうか。
4.結局メキシコペソへの投資は「アリ」なのか？
まだまだメキシコについて知らないこともありますが、極めて好印象を受けました。特にアメリカとの地理的、民族的な繋がりというのを肌で感じて、これは他の新興国と比べてメキシコ経済にとって非常に大きなプラスとして働いているのだと感じました。
またメキシコの政策金利は9.25％まで上昇しスワップポイントも大きくつきます。ですからスワップポイント狙いに適した通貨であると言えます。
また対日本円レートでは直近２年間は上昇しています。円安傾向が続く限りにおいては投資しやすい通貨と考えます。
メキシコペソ/円の週足チャート/Investing.com
気をつけないといけないのは、1つには日銀が政策変更するなどした場合の円高回帰です。岸田首相は2023年の４月に日銀総裁人事を行うと公言しています。したがって、新しい日銀総裁が、現在の緩和的な政策を継続するかどうかは一つの注目点になるでしょう。
それからメキシコに関する情報は、先進国ほどは入ってこないので、現地における政変であったり、マクロ経済政策の変更に対してどうしても気づくのが難しく、また気づくのに遅れてしまうことがあります。そう言った点で考えると、リスクは小さくないので、やはりポートフォリオの一部にしておくという考えが良いと思います。
なおメキシコ中銀にも足を運んできました。いち外国客としてですけれども、暖かく接してくれまして、メキシコを訪れて良かったと思わせて頂きました。
メキシコ中銀
メキシコの文化的な魅力は本当に素晴らしくて、料理やお酒、観光地などなど色々とお伝えしたいのですが、あまりにも脱線してしまいそうですので、本日はこのあたりまでとさせて頂こうと思います。
それではみなさん、引き続き為替を通じて、世界を学んでいきましょう！
戸田裕大
＜参考文献・ご留意事項＞
本文に記載しています。
＜最新著書のご紹介＞
不安定な金融情勢の今、資産を増やす・守るために投資すべき金融商品、銘柄、通貨とは？
元・在中国 金融アナリストがチャイナ＆世界情勢から読み解く
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594092191
【インタビュー記事】
株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役
戸田裕大氏2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS（China Europe International Business School）にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
