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ポンド/円・豪ドル/円の11月見通し「英国巡る市場の混乱はひとまず収束」

【外為総研 House View】

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執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 10月の推移
・10月の各市場
・10月のポンド/円ポジション動向
・11月の英国注目イベント
・ポンド/円 11月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 10月の推移
・10月の各市場
・10月の豪ドル/円ポジション動向
・11月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 11月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 10月の推移

10月のポンド/円相場は159.722~172.125円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約5.6%上昇した(ポンド高・円安)。

9月に英政府が発表した財源の裏付けがない経済対策を巡る不透明感が後退したことでポンドが上昇した。13日、トラス政権が減税案の撤回を検討していることが伝わると167円台へと上伸。財務相の更迭を経て減税案の撤回が正式に発表された17日には170円付近まで続伸した。その後、トラス首相も20日に辞任を表明したが一段の上値追いには至らなかった。

もっとも、政府・日銀による円買い介入(観測)でも165円前後で下げ渋ると、26日には170円台半ばへと切り返した。月末にかけてさらにポンド買いが強まると、31日には2016年2月以来の高値となる172.13円前後まで上値を伸ばした。

ポンド/円 10月の推移

ポンド/円4本値

出所:外為どっとコム

3日
英政府が先に発表した大規模減税案に盛り込んだ所得税の最高税率引き下げを撤回すると伝わると財政不安が和らぎポンドが急伸。その後クワーテング英財務相が「45%の最高税率の計画は進めない」として正式に撤回表明を行った。

10日
英中銀(BOE)は、国債市場安定化策の長期国債買い入れ措置が今週末に終了を迎えるのを前に、買い入れの上限を倍増するなど、市場が再び混乱するのを防ぐ措置を発表。また、この日クワーテング英財務相は中期財政計画の発表を10月31日に前倒しすることを明らかにした。財源の裏付けがない経済政策を発表して混乱させた金融市場を落ち着かせる狙いがあったと見られる。ただ、いずれもポンド相場の押し上げには至らなかった。

11日
英9月失業率は3カ月連続で48年ぶり低水準の3.9%となった。同新規失業保険申請件数は2.55万件増(前回0.11万件増)だった。また、6-8月ILO失業率は3.5%と1974年以来の水準へと低下した(予想3.6%)。6-8月週平均賃金は前年比+6.0%と予想(+5.9%)を上回った。その後ベイリーBOE総裁が「英国債の購入は金融安定化介入であることを明確にすることが非常に重要である」として緊急措置で導入した国債の買い入れを予定通りに14日で終了すると表明するとポンドは下落した。

12日
英8月国内総生産(GDP)は前月比-0.3%と予想(±0.0%)を下回った。英8月鉱工業生産も前月比-1.8%と予想(-0.1%)を大幅に下回る落ち込みとなった。英8月貿易収支は192.57億ポンドの赤字となり、赤字額は予想(204.50億ポンド)より小さかった。

14日
トラス英首相はクワーテング財務相を更迭し、後任にハント氏を指名。直後に財源の裏付けがない大規模減税計画について「法人税引き上げ凍結を撤回する」と表明した。

17日
英国のハント新財務相は、9月にクワーテング前財務相が示した税制計画を撤回すると発表。トラス政権が打ち出していた450億ポンド規模の経済対策は大部分が撤回されることになったことから英国の財政不安が緩和するとポンドが上昇した。

19日
英9月消費者物価指数(CPI)は前年比+10.1%と予想(+10.0%)を上回り、7月に記録した約40年ぶりの高水準と並んだ。エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコを除いたコアCPIも前年比+6.5%と予想(+6.4%)を上回る伸びとなった。

20日
トラス英首相が辞任を表明。就任から6週間での辞任となり、英国史上最も在任期間の短い首相となった。トラス首相の辞任により、大型減税を巡る金融市場の混乱が収束するとの期待からポンドを買い戻す動きが強まった。

24日
英10月製造業PMI・速報値は45.8、同サービス業PMI・速報値は47.5と、いずれも予想(48.0、49.0)を下回った。その後、トラス英首相の後任を決める与党・保守党の党首選で元財務相であるスナク氏が選出され、次期首相就任が決定的となった。スナク氏は演説で「英国が深刻な経済的課題に直面している」と強調し、「安定と団結が必要で、私は保守党および国を一つにまとめることを最優先とする」と述べた。

26日
ハント英財務相は、市場が高い関心を寄せる中期財政計画について発表を31日から11月17日に延期すると表明。財政計画は可能な限り最も正確な見通しに基づくことが重要として、スナク首相とともに延期が妥当と判断したと説明した。

10月の各市場

日経平均、FTSE

英国債利回り(2年、10年)

10月のポンド/円ポジション動向

10月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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11月の英国注目イベント

11月の英国注目イベント

ポンド/円 11月の見通し

英国のトラス前政権が模索した大幅減税を巡る市場の混乱は首相の交代を経てひとまず収束した。新首相のスナク氏は元財務相で財政規律を重視すると姿勢を示しており、10月25日の就任演説でも「経済の安定と信用を政府の中心課題に据える」と表明した。次の焦点は、英予算責任局(OBR)の経済見通しに基づいて財務省が11月17日に発表する秋季財政計画だ。財政計画では一転して支出の削減と大型増税が盛り込まれる可能性が報じられている。

一方、英中銀(BOE)は11月1日に量的引き締め(QT)を開始しており、月内に合計45億ポンドの保有債を売却する計画だ。また、3日のBOE金融政策委員会(MPC)では75bp(0.75%ポイント)の追加利上げに動く公算が大きい。英政府の緊縮財政でBOEの引き締めによる英国債の下落圧力(金利上昇圧力)を抑え込むことができればポンドにもポジティブな影響が見込めそうだ。

ただし、緊縮財政と金融引き締めによって英経済の落ち込みは避けられないとの見方が強い。こうした懸念はポンドの重しになると見られ、10月に6年半ぶりの高値を付けたポンド/円相場がさらに大幅な上昇を示現することは考えにくい。
(予想レンジ:164.000~174.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 10月の推移

10月の豪ドル/円相場は90.852~95.731円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.7%上昇した(豪ドル高・円安)。

豪中銀(RBA)が大方の予想に反して政策金利の引き上げ幅を25bp(0.25% ポイント)にとどめたことで豪ドル売りが先行。ウクライナ情勢の悪化が懸念されたことも豪ドルの重しとなり、米9月消費者物価指数(CPI)の上振れでドル高・豪ドル安に振れた13日には一時91円台を割り込んだ。

しかしその後は、英国の財政不安が首相の交代によって和らぐ中で市場心理が改善。ドル/円が150円台に上昇した20日には豪ドル/円も95円台を回復した。21日、24日と本邦財務相・日銀の円買い介入と見られる動きで乱高下する場面もあったが下値は堅く、月末にかけては94~95円台で推移した。

豪ドル/円 10月の推移

豪ドル/円 10月の4本値

出所:外為どっとコム

4日
RBAは政策金利を2.35%から2.60%へ25bp引き上げた。市場は50bpの利上げを見込んでいた。声明では「政策金利は短期間に大幅に引き上げられた」としながらも「インフレ率を目標に戻すという決意を堅持し、そのために必要なことを行う」「今後一定期間、さらに金利を引き上げると予想」などとしてさらなる利上げの可能性を示唆した。

6日
豪8月貿易収支は83.24億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(100.00億豪ドル)を下回った。

10日
ロシアがウクライナの首都キーウなどへのミサイル攻撃を行ったことを嫌気して欧州株が下落。地政学リスクの高まりを受けて豪ドル売り・円買いが強まった。

18日
RBAは10月会合の議事録を公表。4日に行った25bpの利上げについて「5月以降の急速な金融引き締めを受け、豪経済に影響が出る可能性があることを懸念して、利上げのペースを緩めることを選択した」と明らかにした。また今後の利上げペースについては「消費者物価指数と雇用のデータ次第である」と改めて表明した。

20日
豪9月雇用統計は、新規雇用者数が0.09万人増にとどまり予想(2.50万人増)を下回った。失業率は3.5%、労働参加率は66.6%といずれも予想と一致した。

24日
中国で共産党大会閉幕後に延期されていた経済指標の発表が行われた。中国7-9月期国内総生産(GDP)は前年比+3.9%と予想(+3.3%)を上回る伸びとなった。その他、9月小売売上高は前年比+2.5%と予想(+3.0%)を下回った一方、同鉱工業生産は前年比+6.3%と予想(+4.8%)を上回った。9月貿易収支は847.4億ドルの黒字となり、黒字額は予想(803.0億ドル)を上回った。

25日
豪連邦政府は、アルバニージー労働党政権にとって初となる2022/2023年度の予算案を発表。単年度の財政収支は369億豪ドルの赤字となる見込みとした。予算案の中で示した経済見通しでは22/23年度の成長率見通しを3.25%とし、23/24年度には1.5%に減速すると予測。5月の総選挙前に前政権が示した予測から下方修正した。チャーマーズ財務相は予算案演説で「過去15年間で3度目の世界的な景気減速に直面しようとしている。今回は、金融危機や感染症の拡大ではなく、グローバルな物価高と金利上昇を招いている戦争だ」と述べた。

26日
豪7-9月CPIは前年比+7.3%と4-6月期(+6.1%)から加速し32年ぶりの高い伸びとなった(予想+7.0%)。コアCPIに当たるCPIトリム平均値も前年比+6.1%と予想(+5.5%)を上回った。

28日
豪7-9月期生産者物価指数は前年比+6.4%と4-6月期の+5.6%から加速して1998年の統計開始以来、最も高い伸びとなった。

31日
豪9月小売売上高は前月比+0.6%と予想(+0.5%)を上回った。一方、中国10月製造業PMIは49.2と予想(49.8)を下回り、前月(50.1)から低下した。好不況の分かれ目となる50.0を下回るのは2カ月ぶり。同非製造業PMIも48.7と予想(50.1)を下回り、5カ月ぶりに50.0を下回った。

10月の各市場

日経平均、NYダウ平均

上海株、豪10年債利回り

10月の豪ドル/円ポジション動向

10月の豪ドル/円ポジション動向

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11月の豪州・中国注目イベント

11月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 11月の見通し

豪中銀(RBA)は11月1日の理事会で政策金利の引き上げを10月に続いて25bp(0.25%ポイント)にとどめた。ロウ総裁はこれについて「緩やかなペースでの利上げが適切と判断した」としながらも「必要であれば、より大幅な利上げに戻る可能性もある」と説明。5月以降の合計275bpに及ぶ利上げが豪経済にどのような影響を与えたかを確認した上で、インフレと雇用の情勢次第で、再び引き締めを強化することも厭わない姿勢を示した。今後の利上げの道筋が豪ドル相場の重要テーマになると見られ、その利上げペースを占う上では、11月16日に発表される豪7-9月賃金指数、17日の豪10月雇用統計、30日の豪10月消費者物価指数(CPI)が注目されよう。雇用情勢が堅調を維持する一方で、インフレが有意に鈍化しなければ、RBAが12月にも利上げペースを再加速させるとの観測が高まる可能性もある。

その他、中国を巡る動向も11月の豪ドル相場のキーポイントになりそうだ。11月1日のアジア市場では、中国当局が新型コロナウイルスを厳格に抑え込む「ゼロコロナ政策」からの段階的な脱却に向けて準備を始めたとの観測が浮上。「ゼロコロナ政策」からの出口戦略を巡る複数のシナリオを評価する委員会が設置されたとの未確認情報が出回った。仮に中国が「ウィズコロナ政策」へ移行すれば、同国の景気減速懸念を巡る過度な懸念が後退すると見られ、豪ドル相場の支援材料になるだろう。なお、中国情勢は豪州との経済的な結びつきの強さから豪ドル相場への影響が大きいことが知られている。
(予想レンジ:91.000~98.000円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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